著者
大谷 道輝 佐久間 博文 高山 和郎 小滝 一 澤田 康文 伊賀 立二
出版者
一般社団法人 日本医療薬学会
雑誌
病院薬学 (ISSN:03899098)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.11-18, 1997 (Released:2011-08-11)
参考文献数
24
被引用文献数
11 9

Six kinds of well-prescribed admixtures of commercially available ointments and/or creams were selected from the prescribed sheets in our hospital. The skin permeability of corticosteroid from these admixtures was investigated by in vitro experiments using hairless mice skin. The permeability of corticosteroid through skin after adaptation of corticosteroid creams (Lidomex®) alone was approximately 9-fold larger as compared with that of the ointments only.The pemeability of conicosteroid in the admixture of Nedsona Universal®cream or Lidomex®ointment and urea ointments respectively was 3-and 5-fold larger than that from the cream and ointments alone. However, urea ointments did not influence the permeability of the drug in Lidomex®creams.This suggested that the w/o-type urea ointments more greatly enhanced the permeability of corticosteroid as compared with the o/w type urea ointments. The extent of the stability of the emulsion after mixing was related to the permeability. These results suggest that admixing ointments and/or creams should be carried done among bases having similar physicochemical characteristics.
著者
奥田 花也 片山 郁夫 佐久間 博 河合 研志
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

Brucite (水酸化マグネシウム)は蛇紋岩の主構成鉱物の一つであり、超苦鉄質岩の水和反応によって形成される。これまでbruciteは粒径が非常に小さく天然環境で観察されにくいことから注目されてこなかったが、近年の研究では含水下マントルウェッジにおいてantigoriteと安定に共存し(Kawahara et al., 2016)、さらにマントルウェッジでの長期スロースリップがbruciteの形成に伴う高有効法線応力によって説明される可能性も示唆されている(Mizukami et al., 2014)。さらに、bruciteの存在はマントルウェッジ中の岩石の摩擦の安定性を変える可能性がある。このようにbruciteは水和した超苦鉄質岩帯における地震活動に影響する可能性があるが、bruciteの摩擦特性はこれまであまり調べられていなかった。本研究では一連の摩擦実験によりbruciteの基礎的な摩擦特性を報告する。摩擦実験は粒径70 nmの合成試薬を用いて広島大学の二軸摩擦試験機により行った。大気乾燥下と含水条件下の両方で、様々な垂直応力下(10, 20, 40, 60 MPa)で実験を行った。最大の剪断変位は20 mmであり、実験初期の剪断速度は3 μm/secとした。33 μm/secでのvelocity step testを数回行い、それぞれのstepから速度状態依存摩擦構成則(RSF)を用いて定量的に摩擦の不安定性を解析した。乾燥下において、定常状態の摩擦係数はおよそ0.40であり、不安定滑り(velocity-weakeningまたはstick-slip)が全ての垂直応力で観察された。剪断変位が2 mm程度において摩擦係数に明瞭なピークが観察され、このピークの摩擦係数は垂直応力に反比例した。含水下においては、ピークの摩擦係数は乾燥下と同様垂直応力に反比例したが、摩擦係数自体は乾燥下の場合より低かった。垂直応力が10と20 MPaの場合はvelocity-weakeningが観察されたが、40と60 MPaの高い垂直応力の場合はvelocity-strengtheningに変化した。こう垂直応力での安定滑りは100 MPaの垂直応力での先行研究と調和的である(Moore & Lockner, 2007)。RSF則のaとbの値は乾燥下の場合の方が含水下の場合より小さく、臨界すべり距離dcも乾燥下の場合の方が含水下の場合より短かった。Antigoriteはbruciteよりも高い摩擦係数を示すため、bruciteの不安定な摩擦挙動は含水した超苦鉄質岩帯において地震を引き起こす可能性がある。なお本研究では温度依存性については調べていない。発表では、実験したガウジの微細構造観察を通して摩擦特性のメカニズムについて考察を行い、実験結果と先行研究でのモデルから天然の超苦鉄質岩帯における地震活動について議論する予定である。
著者
佐久間 博也 廣田 卓男 村松 学 宗 友厚
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.4, pp.662-667, 2006-04-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
6

Apparent mineralocorticoid excess症候群 (AME) は, アルドステロンは低いにもかかわらず, 低K・低レニン性高血圧や代謝性アルカローシスなど, あたかも原発性アルドステロン症を思わせる徴候をきたす先天性疾患である. コルチゾールをコーチゾンに代謝不活化する酵素である11βHSDタイプ2の異常により, ミネラルコルチコイドレセプター防御機構が破綻し, コルチゾールがミネラルコルチコイドとして働くために起きることが判明した.
著者
黒澤 耕介 小松 吾郎 薮田 ひかる 森脇 涼太 岡本 尚也 佐久間 博 松井 孝典
出版者
日本高圧力学会
雑誌
高圧力の科学と技術 (ISSN:0917639X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.140-148, 2021 (Released:2022-02-10)
参考文献数
29

In this article we first review the roles of hypervelocity impacts in volatile partitioning on planetary surfaces and thermodynamics of shock vaporization/devolatilization of geologic materials. Impact experiment in an open system is essential to accurately estimate the shock pressure required for incipient vaporization/devolatilization, and we introduce a newly-developed open system experimental technique applied to two-stage light gas guns. This experimental apparatus allows us to measure impact-generated gases with a mass spectrometer at the same geometry of natural impacts with a limited risk of chemical contamination from the gun operation. The threshold pressures of vaporization/devolatilization for halite and gypsum were measured to be 18-31 GPa and <11 GPa, respectively. The new open system method is expected to serve as a powerful tool to explore the nature of shock vaporization/devolatilization of geologic materials.
著者
杉本 諭 三品 礼子 佐久間 博子 町田 明子 前田 晃宏 伊勢﨑 嘉則 丸谷 康平 工藤 紗希 室岡 修 大隈 統 小林 正宏 加藤 美香 小島 慎一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.E3P1189, 2009

【目的】後出しジャンケンはレクリエーション活動において、しばしば行なわれる課題の1つである.先行研究において我々は、後出しジャンケンの成績がMini Mental State Examination(MMSE)や転倒経験の有無と関連していることを報告した.本研究の目的は、週2回の後出しジャンケンの介入効果について検討することである.【対象および方法】当院の通所リハサービス利用者および介護老人保健施設の通所・入所者のうち、本研究に同意の得られた高齢者42名を対象とした.性別は女性29名、男性13名、平均年齢は81.3歳であった.後出しジャンケンは、検者が刺激としてランダムに提示した「グー」・「チョキ」・「パー」に対し、指示に従って「あいこ」・「勝ち」・「負け」の何れかに該当するものを素早く出すという課題である.測定では30秒間の遂行回数を求め、「あいこ」→「勝ち」→「負け」→「負け」→「勝ち」→「あいこ」の順に2セットずつ施行し、2セットのうちの最大値をそれぞれの測定値とした.初回測定を行った後、ランダムに16名を選択して介入を行った.介入群に対しては、指示に従って該当するものを素早く出す練習を、5分間を1セットとして休憩をはさんで2セット行い、週2回1ヶ月間施行した.また、後出しジャンケンの遂行回数に加え、MMSE、Kohs立方体組み合わせテストを測定した.介入終了直後に対象全員に対して再測定を行い、介入前後の変化を介入群16名および対照群26名のそれぞれについて、対応のあるt検定を用いて分析した.【結果】介入群における介入前後の後出しジャンケン遂行回数は、「あいこ」は29.5回→30.6回、「勝ち」は18.3回→21.7回、「負け」は10.1回→13.0回と、「勝ち」および「負け」において介入後に有意に遂行回数が増加した.一方対照群では、「あいこ」は30.8回→31.2回、「勝ち」は20.0回→19.7回、「負け」は12.8回→12.4回と、何れにおいても有意な変化は見られなかった.MMSEおよびKohs立方体組み合わせテストについては、介入群ではMMSEが23.6点→23.8点、Kohsが57.6点→61.1点、対照群ではMMSEが25.5点→25.2点、Kohsが62.9点→64.9点と、何れの群においても有意な変化は見られなかった.【考察】以上の結果より、後出しジャンケン練習は、「勝ち」および「負け」すなわち提示された刺激を単に真似るのではなく、ジャンケンに対する既知概念に基づいて、刺激に対して適切に反応するような課題において介入効果が見られた.今回は短期間の介入であったためジャンケンの遂行回数にのみ変化が見られたが、今後更なる持続的介入を行い、他の異なる検査やADLなどへの影響について検討したい.
著者
工藤 紗希 小島 慎一郎 佐久間 博子 町田 明子 杉本 諭 丸谷 康平 伊勢崎 嘉則 室岡 修 大隈 統 加藤 美香 小林 正宏 三品 礼子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.E3P2246, 2009

【目的】<BR> 近年では在院日数の短縮化に伴い、介護老人保健施設(老健)を経て在宅復帰されるケースが増加している.一方在宅復帰した者の中には、機能低下により在宅生活が困難となり、施設入所となることも多い.従って通所者の在宅生活の継続、入所者の在宅復帰を目標とした際に、在宅生活に必要なADL能力及びバランス能力を把握することは、理学療法を進める上で重要であると考えられる.本研究の目的は、通所・入所者のADL自立度の違いを明らかにし、その違いをバランス能力に焦点を当てて分析することである.<BR>【対象と方法】<BR> 対象は通所リハサービス利用者及び老健施設入所者のうち本研究に同意の得られた高齢者247名(男性75名、女性172名、平均年齢79.1±8.8歳)で、通所者188名、入所者59名であった.疾患の内訳は、脳血管疾患95名、神経疾患20名、整形疾患87名、内部障害27名、その他18名であった.ADL自立度の評価にはFIMの運動項目を、バランス能力の評価にはBerg Balance Scale(BBS)を用いた.なおFIM下位項目のうちの階段昇降は、運動能力の違いに関わらず使用している者が少ないため、階段を除く12項目の合計(FIM12項目合計点)及び各下位項目の素点を用いた.BBSは合計点及び14の下位項目を用いた.分析方法は、まず通所者と入所者のFIM12項目合計点及び下位12項目の得点の違いをMann-Whitney検定を用いて分析し、有意差のみられた下位項目の分布と臨床的意味合いをもとに、各下位項目を良好・不良の2段階に分類した.次に抽出されたFIM下位項目を独立変数、利用状況(通所・入所)を従属変数として、Stepwise法による判別分析を行った.更に判別分析により最終選択された下位項目を従属変数、BBS下位項目を独立変数とし、Stepwise法による重回帰分析を行い、バランス能力との関連について分析した.<BR>【結果および考察】<BR>FIM12項目合計点の中央値は通所者78点、入所者61点、BBSは通所者44点、入所者27点であった.Mann-Whitney検定の結果、FIM12項目合計点、FIM下位12項目のうち食事と移動を除く10項目に有意差がみられ、判別分析ではトイレ動作と浴槽への移乗が最終選択された.この2項目が良好と判断される境界点は、トイレ動作は6点、浴槽への移乗は5点であった.重回帰分析によるBBS下位項目との分析では、トイレ動作では着座、リーチ、起立、浴槽への移乗では一回転、リーチ、タンデム立位、車いすへの移乗が最終選択された.以上より、在宅復帰の可否にはトイレ動作が修正自立、浴槽への移乗が見守りで可能であることが関連し、このような動作の獲得には、着座、起立、リーチ、一回転、タンデム立位、移乗動作のようなバランス能力の向上が重要であることが示唆された.
著者
北村 圭吾 佐久間 博 ステイコフ アレクサンダー
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では汎密度関数計算(DFT)と分子動力学(MD)のハイブリッド計算(DFT-MD法)に基づいて高温条件下での粘土鉱物の電気伝導度を評価する手法の開発を行う.高温条件下での粘土鉱物の電気伝導度は地熱地域の熱水資源と粘土鉱物を主要構成鉱物とする帽岩層を比抵抗探査から区別する上で重要な情報になると期待されている.しかし実験的方法による高温条件下での粘土鉱物の電気伝導度の測定は多くの困難が伴い未だに成功していない.本研究のように計算科学的手法に基づくイオン伝導度評価手法の開発は地熱開発現場などの地球工学分野においても強く望まれており,開発に成功した際の波及効果は大きいと考えられる.
著者
佐久間 博
出版者
国立研究開発法人物質・材料研究機構
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2017-04-01

最近の断層掘削により、多くの断層で雲母・粘土鉱物の存在が明らかとなった。これまで雲母・粘土鉱物の摩擦物性は主としてガウジを模擬した摩擦実験で測定されてきたが、その背景にある物理に関しては理解が進んでいない。本研究では雲母・粘土鉱物の摩擦を支配する要因を明らかにするために、雲母・粘土鉱物の(001)面の性質に着目する。本年度は(1)原子スケールの摩擦力とセンチメートルスケールの摩擦力の関係を明らかにし、白雲母について巨視的な摩擦力の起源を明らかとすること、(2)低法線応力(<1 MPa)で湿度制御下における粘土鉱物の摩擦力を測定すること、を目的とした。(1)ミクロとマクロの摩擦現象を接続するためには、真実接触面積を見積もることが必要となる。過去の研究から、マイクロメートルスケールでは、物質のインデンテーション硬さの逆数が、荷重と接触面積の比例定数であることが経験的に知られている。そこでこの関係がナノメートルスケールまで外挿できると仮定し、白雲母のインデンテーション硬さを計測することとした。物質本来のインデンテーション硬さを計測するため、ナノインデンテーション試験を行い、白雲母の硬さを求めた。この硬さから、荷重に応じた真実接触面積を導出した。また白雲母表面の第一原理計算から微視的な摩擦力を求め、この力と真実接触面積から巨視的な摩擦力の理論値を導出したところ、巨視的な摩擦実験の結果と良い一致が見られた。このことは巨視的な摩擦力の起源が原子スケールの摩擦力に起因することを示唆している。本成果をScience Advances誌に報告した。(2)低法線応力下では摩擦面の粗さが摩擦力に大きく影響することがわかり、粗さが影響する法線応力の範囲今後明らかとし、その原因を探る必要がある。
著者
平田 晃己 嶺井 陽 南部 路治 佐久間 博明 池宮 秀一郎 新里 朋子 石原 綾乃 相澤 直輝 大屋 祐輔
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.A-98_2-A-98_2, 2019

<p>【背景および目的】</p><p>当院では, 心肺運動負荷試験(以下CPX)実施中に, 毎分ごと被験者が指さしでBorg scaleを表出し自覚的運動強度評価を確認する. 症例によっては運動と同時にBorg scaleを表出するというdual taskが困難な場合がある. 我々はCPX中のBorg scaleの確認が困難となる因子を検討した.</p><p> </p><p>【対象と方法】</p><p>当院にて2014年1月7日から2017年12月6日の期間に症候限界性CPXを実施した心大血管症例を対象とし, AT到達時にBorg scale確認の可否によって可能群(のべ206名, 男性163名, 女性43名, 55.5±14.5歳)と不可能群(のべ21名, 男性15名, 女性6名, 72.7±11.1歳)に分けた. はじめに2群間の基本情報(年齢, 性別, NYHA , BMI, β遮断薬の有無, CPX経験回数), ラボデータ(NT-proBNP , Hb , eGFR , Alb , Na , K , Cl , AST, ALT , CRP), 心エコー検査結果(LVEF, E/A), CPXデータ(Peak VO<sub>2</sub>/W, Peak P<sub>ET</sub> CO<sub>2</sub> , VE/VCO<sub>2</sub> Slope)に関して単変量解析を実施した. 次にBorg Scale確認の可否を従属変数, 各項目を独立変数としてロジスティック回帰分析を実施し, 抽出された因子に対してROC解析を実施した. 統計解析ソフトはJMP Pro ver13(SAS)を用いて5%未満を有意水準とした.</p><p> </p><p>【結果】</p><p>可能群に対して不可能群では, 年齢が有意に高く(P<0.01), CPX経験回数が有意に少なかった(P<0.01). Peak VO<sub>2</sub>/Wは有意に低かった(P<0.01). ロジスティック回帰分析の結果, 年齢が独立因子として抽出された(単位OR:1.13 , 95%CI:1.06-1.20 , P<0.001). 年齢に対するROC解析の結果ではカットオフ値が73歳(AUC:0.84 , 感度:0.71 , 特異度:0.88)であった.</p><p> </p><p>【考察および結論】</p><p>dual taskは, 各課題に対する処理能力と適切な注意配分・分割が必要とされる. 不可能群は, 運動耐容能の低下を認めており, CPX中のペダリングに対する負担が強く, 一方のBorg Scale表出が困難になったと考える. CPX実施においてBorg確認を困難にさせる因子は年齢であり, そのカットオフ値は73歳であった. 73歳以上の症例で初めてCPXを実施する際には, 丁寧な説明と準備が必要と考える.</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は琉球大学臨床研究倫理審査において承認されており(承認番号1078), 「ヘルシンキ宣言」及び「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を遵守して実施している. 研究の意義, 目的, 方法, および個人情報保護の手続きを院内に掲載し, オプトアウトできるよう環境を整え, 研究に対しては特に説明と同意は行っていない.</p>