著者
金田 忠裕
出版者
大阪府立工業高等専門学校
雑誌
大阪府立工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:0387365X)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.75-78, 2006-07-30

地域貢献を目的としたモータ2つで動作する簡単なロボット工作入門用キットを開発した.開発したキットを用いて小学校の総合的な学習の時間で利用できるようにポートフォリオを用いた授業形態を2回の研修で32名の小学校教員に提示した.45分授業2コマ分であり,教材価格も安価で,工具もハサミのみであり,手軽に利用できるとの評価をいただいた.また,小学生には夏休みや冬休みに実施しているロボット工作教室の中で,約150名の参加者に使ってもらった.基本的な構造は一緒で,3種類の形態から自由に選んで独自の装飾を行うことができる.参加者は2時間程度でロボットを制作し,装飾後は自由に動かして楽しんだ.
著者
濱口 雄人 有末 宏明
出版者
大阪府立工業高等専門学校
雑誌
大阪府立工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:0387365X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.27-34, 2008-07

Napier's constant is computed in ultra high precision. Using the Divide and Rationalize method and the Fast Fourier Transform, the CPU time to calculate the constant in digits N has been reduced drastically to be proportional to N(log N)^3. We obtained the constant in 500,000,000 digits.
著者
島野 達雄 湯城 吉信
出版者
大阪府立工業高等専門学校
雑誌
大阪府立工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:0387365X)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.25-28, 2007-07
被引用文献数
1

返り点や連結記号がついている漢文の文法的構造は、一般順序点や空の漢字列の概念の導入により、有限個の基本形式からなる、並置構造と入れ子構造の二種に分類できる。数学的に与えた基本形式に対し、連接を用いて返読写像を再帰的に定義すると、返接を用いて定義したカッコつき表示と等しいことが数学的帰納法により証明できる。同時に、これらは訓読の木とよぶグラフと一対一に対応している。
著者
黒田 達也
出版者
大阪府立工業高等専門学校
雑誌
大阪府立工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:0387365X)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.13-24, 2007-07

埼玉稲荷山古墳出土鉄剣銘の乎獲居臣系譜を考えるための一つの素材として,関東と中央有力氏族との関係を明らかにするのが課題である。「上祖意冨比〓」を『記』『紀』の孝元皇子オホヒコと見做すことを前提とし,(1)オホヒコ系と伝えられる氏族,(2)関東地域の国造・品部と中央や地方の豪族との関係,(3)関東と関係する中央・地方豪族相互の関係,の検討を通じて,関東と和珥氏系・多氏系の中央有力氏族,とりわけ和珥氏系との関係を重視する必要性を説いている。
著者
金田 忠裕
出版者
大阪府立工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

小中学生向けの操作型ロボットを対象とした段階的なロボット教材および作成補助資料の開発を目的とし、下記のような研究成果を得た。1.小学生向けの2つのモータで動く簡単なロボット教材を製作し、授業実践やロボット工作教室を実施した。製作の手順を書いた説明書以外に製作手順をカード形式にしたものを用意して、あえて順番を示さずに自分で考えさせる訓練をさせた。この教材を用いて、公立、私立の2つの小学校で実践授業を行った。7枚のカードを用いた実践授業では、論理的な思考力を育成することがわかった。2.小学生向けのゼンマイで動く簡単なロボット教材を製作した。茶運び人形をモチーフにしたゼンマイ動力を用いた機構を作成し、からくりの面白さがわかるようにした。杯を置くとおもりによってゼンマイのストッパーがはずれて、ロボットが動き出す仕組みを実現した。3.中学生向けロボット製作指導用として参考になる書籍6冊及びビデオ教材2件を収集し、生徒及び中学校教員の参考となる知識を整理した。4.中学生向けの競技用ロボットとして参考となる走行機構とハンドリング機構のモデルをそれぞれ21種類と7種類製作した。5.中学生向けの具体的なロボット教材として、4chリモコンで操作する走行部(車輪・クローラー・脚)の変形が可能なロボットを作成した。また車輪式で不整地走行が可能なようにサスペンション機能を持つロボットとして、2chリモコンで操作するロッカーボギーサスペンションを模擬したロボットを製作した。
著者
岩野 優樹 山内 慎 上村 匡敬 金田 忠裕 西 高志
出版者
大阪府立工業高等専門学校
雑誌
大阪府立工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:0387365X)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.57-63, 2006-07-30

本校システム制御工学科において4年生で展開する「基礎研究」は,学科設立当初より「ものづくり」教育の一環として,ロボット製作を主テーマに課題を設定し,種々のロボットを製作してきた.2005年度は,ここ数年世界各地で大小様々な災害が多数発生しているという社会情勢を踏まえ,災害現場の情報収集を行うことを主目的に「小型飛行機による災害監視システムの製作」とした.本稿では,2005年度に実施した「基礎研究」を紹介し,各班の成果を事例に挙げ,その教育的効果について述べる.
著者
小川 清次
出版者
大阪府立工業高等専門学校
雑誌
大阪府立工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:0387365X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.1-10, 2008-07

本稿はウィトルーウィウス『建築の書』における「技術」と「学」との関係を考察したものである.この書は紀元前1世紀に,「建築」やさまざまな人工物の「教本」として著された.しかるに,そこには単に設計指南書的な性格だけでなく,建築や人工物の設計,製作という営みのなかに学の契機を取り出そうとする意図をも読み取ることができる.本論考では,それらを「自然学」(ギリシア自然哲学)および哲学,幾何学(シュムメトリア論)に限定する手続きを先ず展開した.そして,「自然学」および哲学が『建築の書』でどのような基盤をなしているか,概観し,次いで,『建築の書』の設計理論の骨格をなすシュムメトリア論を簡単ながらもやや詳しく,現代的に解釈した.最後に,『建築の書』において建築という営みのうちに見出されるとされる「学」のあり方を,考察した.
著者
福本 隆弘 大久保 智史 窪田 哲也
出版者
大阪府立工業高等専門学校
雑誌
大阪府立工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:0387365X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.57-62, 2008-07

本校では,学生への連絡は掲示板を用いて行っている,しかし,多数の情報が一つの掲示板に収まるために情報の取捨選択が面倒であり,確認のための手間も多い.そこで本研究では,学内における各種の情報のうち,各個人が必要とするものを個人認証によって提供し,また,情報の登録・管理も容易に行えるシステムについて開発を行う.
著者
湯城 吉信
出版者
大阪府立工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、江戸時代の中井履軒の暦法、時法、解剖学に関する思想を明らかにした。中井履軒は漢学塾懐徳堂出身の儒者であったが、自然科学にも関心を持っていた。本研究では、彼の『華胥国暦書』『華胥国新暦』を中心に彼の暦学に関する考えを、『履軒数聞』を中心に彼の時法に関する考えを、『越俎弄筆』およびその草稿である『越俎載筆』を中心にその人体に関する考えを探った。筆者はすでにその宇宙観については分析を終えている(拙稿「中井履軒の宇宙観-その天文関係図を読む」(『日本中国学会報』57号、2005))。また、本研究と同時に執筆した拙稿「中井履軒の名物学-その『左九羅帖』『画〓』を読む」(『杏雨』11号、武田科学振興財団杏雨書屋、2008)では、彼の動植物の名前に関する考えを明らかにした。以上の一連の研究で中井履軒の科学思想の全貌はほぼ明らかにできたと考える。暦法については、履軒は、月を廃したラジカルな太陽暦を作り、百刻法による定時法を提唱した。それは、古代はシンプルでわかりやすい暦法、時法であったが、後世複雑でわかりにくい制度になっていったという彼の考えに基づく。彼の理論は、中国の古典の歴史研究に基づき、おおむね妥当であるが、斗建についての認識は歴史的根拠に欠ける。解剖学に関しては、『越俎弄筆』の草稿である『越俎載筆』の発見など最新の資料調査の成果に基づき、また、同時代の解剖書や西洋の解剖書と比較することにより、『越俎弄筆』の特徴を探った。当時の大坂ですでに西洋の解剖学書が出回っていたという事実は注目に値する。