- 著者
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アマロ ベビオ ヴィエイラ
- 出版者
- 建築史学会
- 雑誌
- 建築史学 (ISSN:02892839)
- 巻号頁・発行日
- vol.67, pp.2-29, 2016 (Released:2018-02-15)
- 参考文献数
- 56
本論文は、様々な言語で(ポルトガル語、スペイン語、日本語、英語、イタリア語、ラテン語など)書かれている数多くの未刊行の原稿史料を分析し、港市長崎の成立過程を明らかにする。また、分析の結果をGISソフトで作成された16世紀ごろの長崎湾の地形復元図と比較して、防衛、宗教、航海と国際貿易の面で長崎の湾と港市の特徴と長所を説明する。
主な結論点としては、①布教長コスメ=デ=トレスは遅くとも一五六八年から長崎港の設立を計画していた、②大村純忠(あるいは友永対馬)、有馬義貞と宣教師たちは、協力して集落の設立にあたった、③開発最初期における六丁町以外の町の存在は疑わしい、④新規集落の場所を決定するにあたっては、軍事的な懸念、航行可航性と恒久住宅の三点が重要であった、⑤「港」から「港市」への変化は、表面的なものではなく、港のインフラストラクチャーおよび使用方法に急激な変化をもたらしたのである、という点が述べられる。