著者
山本 英嗣
出版者
日本ニュージーランド学会
雑誌
日本ニュージーランド学会誌 (ISSN:18839304)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.40-50, 2014-06-21 (Released:2017-04-15)

The purpose of this essay shows that the the author analyze the present immigration policy and legisration in New Zealand. Some important cases-Ye, Ding and Zaoui- has been influenced the legistration of New Zealand immigration policy. Among some difiicult interpretation between international lawsand domestic laws, New Zeland has tried to solve in adptable way, especially, "the child's interests." In this paper, by comparing the situation of immigration and refugees in Japan and New Zealand, the author will consider the gap of the law and reality of immigration policy.
著者
山本 英嗣
出版者
日本ニュージーランド学会
雑誌
日本ニュージーランド学会誌 (ISSN:18839304)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.29-44, 2012-06-23 (Released:2017-04-15)

In this essay, we will make a comparative assessment of the electoral systems of Japan and New Zealand and the respective right of foreigners to vote. The last general election in New Zealand was held in 2011. Every citizen of New Zealand enjoys the right to vote under Section 12 (a) of BORA. Advocating similar provisions for suffrage, Article 15 of the Japanese Constitution states that the selection and dismissal of public officials are the inherent rights of the people. Section 2 of Article 93 also mentions that the tenure of local governments and other official members of the Congress are established by law, that is, the residents of the country elect their representatives to direct them. Comparing with New Zealand, which grants the right to vote to 'citizens' above 18, not only 'permanent residents' but also 'non-permanent residents' are recognized as "foreigners" and do not grant voting rights in Japan. In this paper, by comparing the rights of foreigners to vote in Japan and New Zealand, the author will describe the legal history related to domestic legislation of the voting rights in New Zealand.
著者
松岡 博幸
出版者
日本ニュージーランド学会
雑誌
日本ニュージーランド学会誌 (ISSN:18839304)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.62-67, 2003-06-21 (Released:2017-04-15)

A key aspect of New Zealand's immigration issues is the quantity and quality of the immigrants. For example, the National party discusses that the total number of immigrants should be reduced. Moreover, NZ government has to put priority on particular skilled immigrants. Also, the contents of investments by business immigrants should be reexamined to stimulate economic activities of NZ.
著者
Johnston Charles 河井 潤二
出版者
日本ニュージーランド学会
雑誌
日本ニュージーランド学会誌 (ISSN:18839304)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.5-19, 2011-06-18

国境を越えた人的移動が容易となった現在、貧困や迫害を逃れるためではなく、よりよいライフスタイルを求めて、生まれた祖国を離れ、異国に移り住む人々も増加してきた。日本人もその例外ではなく、例えば、オーストラリアへの「ライフスタイル移住」は、1980年代から頻繁に見られるようになり、ニュージーランドでも日本人永住者数はこの10年でほぼ倍増している。オーストラリアのライフスタイル移住者に関する調査研究は、佐藤(1993、2001)、長友(2007、2008)などが詳細に行っているが、ニュージーランドにおける同様の調査研究は、筆者の知る限りまだなされていない。本稿では、オークランドに在住する日本人25人へのインタビュー結果に基づき、彼らがなぜニュージーランドに来ることにしたのかを旅行学で用いられる動機付け理論の観点から分析してみた。本稿で用いた理論は、Howard&Sheath(1968)の「一般・特定」、Hudman(1977)の「プッシュ・プル」、Crompton(1979)の「不均衡」の3つである。日本を離れる理由やニュージーランドに移り住む目的は人により様々だが、分析の結果、いくつかのパターンが見えてきた。(1)日本にいづらいというプッシュか、あるいはニュージーランドに引かれるというプルのどちらか一方だけが要因になることは珍しく、多くの場合はその相互作用によるものであること、(2)仕事のストレスや社会慣習によりバランスを失った不均衡な生活から逃れ、自分を取り戻すために一時的に海外に渡った経験を有する人が多いこと、(3)漠然と海外に引かれる一般的な思いが短期旅行やワーキング・ホリデー、語学留学などを通して次第にニュージーランドに引かれる特定の要因に変わっていくこと、などがそのパターンとして挙げられる。また、初めてニュージーランドに渡る際にすでに移住を決意していることは非常に稀で、現地滞在中に要因がプッシュもしくは一般的なプルから特定のプルに移行し、何らかの引き金がもとで転換点を迎え移住に踏み切るというパターンが一般的であることも、この調査を通じて明らかになった。
著者
橘 日出来
出版者
日本ニュージーランド学会
雑誌
日本ニュージーランド学会誌 (ISSN:18839304)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.72-74, 2003-06-21 (Released:2017-04-15)

One of the words which originated in Polynesia and spread all over the world is 'tapu'. Among the Maori society which belongs to Polynesia, the word 'tapu' is used variously in the daily life aspects, namely the word has many meanings. And also the meanings of 'tapu' seem to be connected with public interest. The purpose of this paper is to analyze the meanings of 'tapu' and to find the fundamental meaning of the word, and to examine the relation between 'tapu' and public interest.
著者
サワダ ハンナ・ジョイ
出版者
日本ニュージーランド学会
雑誌
日本ニュージーランド学会誌
巻号頁・発行日
vol.13, pp.45-55, 2006-06-17

ギャビン・ビショップの絵本、『ジャックが建てた家』はニュージーランド・ポスト・チルドレンズ・ブック・アワードを2000年に受賞し、幅広い年齢層に読まれ、反響を巻き起こした。この絵本について様々な解釈が提示されてきたが、その中で際立つのは、この作品が今後のマオリとパケハの文化間の争いを予告し、二つの文化が共通のアイデンテティをもつ可能性を拒んでいると主張するクレア・ブラッドフォードの分析である。しかし、この論文はビショップ自身のバイカルチュラルな生い立ち、彼の作品にたびたび登場するハイブリディティ、そして彼の他の作品が提供するコンテクストに基づき、ブラッドフォードと相反する解釈を提案するものである。著者がビショップと2006年3月に行ったインタビューを踏まえ、この作品が文化間の争いの可能性よりも今後の平和を築くために不可欠なマオリとパケハの共通の歴史理解、そして未解決の問題の早急な決着の重要性を強調している事を示唆する。
著者
杉原 利治
出版者
日本ニュージーランド学会
雑誌
日本ニュージーランド学会誌 (ISSN:18839304)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.5-16, 2012-06-23

In New Zealand Maori-medium education has developed greatly under the Maori principle, kaupapa Maori promoting unique school systems such as Te Kohanga Reo or Kura Kaupapa Maori. The principle depends on the critical theory that awakens suppressed people by colonial western culture and leads them to the resistance and praxis for their liberation. However the progress of the Maori education appears to be less in the new millennium as ethnic diversity among Maori people as well as that in New Zealand society has become prominent. The decline of Maori education by kaupapa Maori comes partly from the limited application of critical theory to the decolonization but not to the post-colonization. The inspection of the Maori education at an early stage indicates cross-cultural elements in Maori initiatives without any influence of the critical theory. The innovation of kaupapa Maori and tikanga Maori could be attained through the cross-cultural struggles retaining intrinsic Maori values and protocols.
著者
宮崎 智世
出版者
日本ニュージーランド学会
雑誌
日本ニュージーランド学会誌
巻号頁・発行日
vol.2, pp.72-77, 1996-06-10

The New Zealand/Japan relationship is flourishing in various spheres including politics, economics, trade, tourism and education. It is no exaggeration to say that grassroots level exchanges, which are represented by sister city links, have played an important role in building a firm foundation for good bilateral relations. There are currently 28 sister city links with New Zealand throughout Japan. The oldest link (Christchurch and Kurashiki) was established in 1974, while the latest one (Bullar and Amagase) was established in March this year. Many cities are very active in exchanges and seem to receive a great deal of support from local residents. One new aspect, which is now evident, is their interest in building up economic linkages with counterparts. The relationships are well beyond the "getting to know each other" stage, and are now operating on a basis of mutual trust. New Zealand and Japan have never been so close together. In the APEC era this process will continue. Strong ties at grass-roots level will continue to be very important for maintaining the healthy relationships that have been established.
著者
マクニール ケン
出版者
日本ニュージーランド学会
雑誌
日本ニュージーランド学会誌
巻号頁・発行日
vol.13, pp.30-44, 2006-06-17

西洋人が日本を「発見」した19世紀中期以後の二、三十年間、日本のイメージは主として美術工芸によって形成されたと言える。日本を訪ずれた西洋人が持ち帰った美術工芸品、彼らの著作物、写真などによって、1880年代から1890年代前半にわたって、美感にすぐれたこの異国の民族が生活の中にみごとに美術を融合させ、絵のように美しく、また子供の楽園でもある日本のイメージがしっかりと形成された。しかし、1890年代後半以後、日清戦争の勝利、イギリスなどとの通商条約締結、ロシアとの軋轢、中国の義和団の乱への出兵などの歴史的事件を経て、西洋は日本の近代化・西洋化を、認めざるを得なくなった。にもかかわらず、自分達が作り上げた、あこがれの不思議の国という、魅力的な日本のイメージにしがみつく傾向は依然として強かった。この偏ったイメージを打ち壊したのは日露戦争における日本の勝利であった。小論では、1900年前後のニュージーランド人による日本のイメージの形成とその変遷について、主に当時のマスメディア(新聞、雑誌)を資料として論じる。まだ近代日本のイメージが弱かった、義和団の乱直前の1899年から、「不思議の国」と「近代国家」という異なったイメージのせめぎ合いを経て、日露戦争をきっかけに西洋人が日本の台頭の秘密(西洋人にとって)を見極め、日本のイメージを修正せざるを得なくかった1905年までを検討する。
著者
ジョンソン チャールズ スイッチャー ケイ
出版者
日本ニュージーランド学会
雑誌
日本ニュージーランド学会誌
巻号頁・発行日
vol.13, pp.56-74, 2006-06-17

本稿では、大規模なイヴェントを開催することが、開催地の経済、特に観光業界とレジャー産業に勝者と敗者を生み出すことを検証する。この「ミクロ的」な現象は、地域全体を取り扱う「マクロ的」結果を検討する経済効果研究では明らかにされない。本稿では、 1999年から2000年にかけて、ニュージーランドのオークランド市で開催されたアメリカス・カップのヨットレースを事例として取り上げて、この分析を試みる。まず初めに、勝者と敗者という視点から文献研究を行う。その際に、ほとんどの過去の開催都市はヨットレースの開催で利益を得ているが、しかしこの利益の規模を測定する方式では、現地の経済的実情を計れないということに注目する。次に、オークランド市でのヨットレースの開催以前・開催中・開催以後といったように時系列でイヴェント内容を提示し、オークランド市全体としては、利益があったことを示す。第3章では、勝者と敗者という視点から、『公式的』な事後的な経済的アセスメントの調査結果を解釈する。ここでは、まず第1に、観光業それ自身が、ヨットレースの金銭的成功に対する通常の原因であること、第2に、オークランド市民の行動の変化という視点から見ると、規模が大きいにもかかわらず分析がなされていないことを明らかにする。次に、オークランド市の中心街に位置する観光業とレジャー産業や、「中心地の近郊のカフェー」に関する実地調査の結果を提示する。その分析結果として明らかとなったのは、中心街の企業は、小規模のたなぼた的利益を得るが、郊外の企業は、常連客が来なくなるという移転効果を経験したことがある。結論としては、大規模なイヴェントの効果分析は、このイヴェントによって影響を受ける全ての企業の実態に基づくべきことである。全体的な結論として、「ミクロ」と「マクロ」の両方の分析が、イヴェントの企画者にとって、開催地の企業の損失をより的確に予測し、回避するのに必要であることを強調している。