著者
北村 繁幸 佐能 正剛 清水 良 杉原 数美 藤本 成明 渡部 容子
出版者
日本薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-10-21

生活用品に含まれる化学物質は日常生活を豊かにするうえで欠かせない。生活用品には、防腐剤、品質の維持、着色料、着香料、柔軟剤、可塑剤、紫外線吸収剤や難燃剤などがあり、多かれ少なかれ化学物質が含まれている。本研究課題では、生活用品に含まれる化学物質を広く取り上げ、生体機能維持に重要な働きをする核内受容体に対する活性化についての検討を行った。その結果、幾つかの化学物質が核内受容体を活性化することを見出した。さらに、それぞれの核内受容体の活性化に対応したシトクロムP450分子種が誘導されることを明らかにした。また、近年使用量が増えているリン系難燃剤が薬物代謝酵素活性へ直接的な影響を及ぼすことを示した。
著者
前田 智司 千葉 健史 浦丸 直人
出版者
日本薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

母乳中のセロトニン(5-HT)およびノルアドレナリン(NA)の母乳産生および乳児に対する役割の解明を行った。母乳中の5-HTの経時的変動についての検討では、初乳、出産後1ヵ月、3ヵ月では母乳中の5-HTの含有量にほぼ同程度であった。母乳産生を担う乳腺上皮細胞は、NAを自ら合成し、母乳中へ分泌していることを明らかにした。さらに、授乳期にストレスを受けたマウスでは、母乳のNAが上昇し、β-カゼインを減少させることが分かった。これらの結果から母乳中に含まれている生理活性物質は母乳産生および乳児の成長に関与している可能性が示唆された。
著者
高城 徳子
出版者
日本薬科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

脂質過酸化反応において、産生される反応産物は酵素による生体反応とラジカルや活性酸素による酸化ストレスで生じる反応産物も同じものとして測定している。そこで、これらを区別することが、抗酸化剤による酸化ストレス防止には重要であると考えられる。リポキシゲナーゼによる酵素的反応と、ラジカル発生剤による化学的反応、紫外線照射による物理的反応において産生される物質と生体内のアミノ酸等との反応で産生される反応産物で相違があるか検討を行った。結果としては、酵素反応、化学的反応および物理的反応で生じる反応中間体、反応産物に相違は認められなかった。
著者
高野 文英 桜田 誓
出版者
日本薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

防己はツヅラフジ科を基原とし、リウマチなどの痛みに有効性を示すが、その作用機序は未解明である。防己黄耆湯およびこれに含まれるシノメニンは、熱刺激や化学刺激による痛みに鎮痛作用を示すとともに坐骨神経を結紮した臨床に近い痛みに対しても効果があった。シノメニンは麻薬性鎮痛薬のモルヒネに構造が類似するが、痛みを抑える機序はモルヒネとは異なることも分かった。さらに詳細な検討を加えた結果、炎症性を抑えるメカニズムが関与している一部に関与している可能性が考えられた。防己黄耆湯および主成分のシノメニンは、麻薬性鎮痛薬とは異なるタイプの痛み止めになり、慢性的な痛みに対して有効である可能性が考えられた。
著者
高野 文英 太田 富久 石垣 靖人 矢萩 信夫
出版者
日本薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

研究代表者は研究機期間内に、冬虫夏草属菌が産生する消化管免疫調節物質の構成成分を明らかにする研究を行った。その結果、ハナサナギタケ培養物に強い免疫調節活性があり、精製の結果、糖タンパクであることが判明し、詳細な解析の結果、ペプチドは8種類のアミノ酸、糖はβ(1→3)グルカンから構成されることが分かった。さらに詳細な構造解析の結果、免疫賦活化高分子は多糖とペプチドの混合物であった。また、冬虫夏草属菌を用いた機能性食品等に配合されるプロアントシアニジンやニンニクについても経口免疫アジュバント活性を調べたところ、強い活性を示すことを明らかにすることができた。
著者
村橋 毅
出版者
日本薬科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究課題では、開発した包括的二次元HPLCがディーゼル排出粒子中の成分の分析以外にも幅広く使用できることを確かめるため、近年に話題となっている化合物の分析に適用した。(1)平成19年度は大気中の発がん性/変異原性多環芳香族化合物の分析法を開発した。(2)平成20年度は内分泌かく乱物質の代謝生成物の分析法を開発した。(3)平成21年度は生薬中の残留農薬分析法を開発した。(4)平成22年度は魚介類中の内分泌かく乱物質の分析法を開発した。