著者
加藤 一彦
出版者
東京経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

日本の議院内閣制の特質に関する研究である。特に、参議院が「強い権限」を行使したとき、内閣統治がどのような変化を経験するかについて、論究した。その中で、(1)両院協議会の改革の方向性と立法改革の必要性、(2)内閣の連帯責任制が、事実上、個別大臣責任制に変化し、政治過程において内閣権限の強化が困難になった点を解明した。
著者
青木 亮 中村 彰宏 大西 靖 轟 朝幸 松本 修一
出版者
東京経済大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

路上駐車対策の実態調査および路上駐車の配置が旅行時間に与える影響や、路上駐車と実交通流の関係をモデル化することで、環境負荷を含めた路上駐車の社会的費用を計測した。シミュレーターを用いた社会的費用のモデル化については、理論仮説の成果にLIME などの手法を組み込み、路上駐車配置が交通流に与える影響を明らかにした。また実交通流をもとにモデル化することで、バス停付近における路上駐車が交通流および公共交通に与える社会的費用を、浦安駅周辺を事例に推計した。さらに表明選好法の一つであるコンジョイント型のアンケート調査データを用いて、違法路上駐車の利用傾向を分析した。これら成果をもとに、交通政策への適応可能性の検討に関する議論を行った。
著者
柴田 高
出版者
東京経済大学
雑誌
東京経大学会誌. 経営学 (ISSN:13486411)
巻号頁・発行日
no.252, pp.3-16, 2006-10-25

「日本的経営」に関する研究は,企業風土や労資慣行,日本人の価値観やメンタリティーなど文化論的な側面から論じる立場と,企業集団や所有構造,産業政策などの制度論的な側面から論じる立場の2つの側面がある。文化的側面からの分析は1958 年のアベグレンを始祖として,オオウチの「セオリーZ」などに受け継がれた。一方制度的側面からの分析は,1970 年代に盛んとなり,6大企業集団による系列内取引,長期的視野に立った先行投資などの特徴を明らかにしてきた。この考えはジョンソンの「日本株式会社」論などに発展した。しかし1990 年代以降,米国流の株主資本主義と,日本流の人本主義の対比に見られるようにコーポレート・ガバナンスの仕組みの違いに焦点が移ってきた。本稿では,これら日本的経営研究の系譜を明らかにするとともに,アベグレンの日本的経営分析の特徴を「アベグレン的解釈」と名付け,その影響および限界を考察した。その結果,アベグレン的解釈は,1950年,60 年代の日本の状況を説明する枠組みとしては有効に機能し,その後の論議に大きな影響を与えたが,個別最適という限界があり,地域的,時代的な変化を越えた普遍性を持つところまで至っていないという結論を得た。