- 著者
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正保 正惠
- 出版者
- 福山市立女子短期大学
- 雑誌
- 萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2003
現在進行している保育の社会化を社会全体で支援する社会を「子育て支援社会」ととらえると、支援の方向性として、(1)施設型保育:a 保育所の量の充実、b 保育所の質の充実(1)=生活空間化(幼保一元化を考えるときに問題となる給食システム、生活の見通しを考えることができ、また保育士の労働環境の改善にもつながる食寝分離、子どもの自己決定能力を高めるためのコーナー保育等) c 保育所の質の問題(2)=保育内容の現代化(女性労働の一般化、国際化、消費社会化など新しい保育ニーズに応えられるような保育内容の充実) (2)家庭型保育:a 保育ママ制度の充実 b ベビーシツター制度の充実、(3)(直接)・子育て支援:a 子育て支援センター等の相談事業等の充実 b 子育て支援組織のネットワーキングに整理することができる。このなかで、保育所の食寝分離については、日本では同じ教室で食事の後布団を敷いて寝るのが一般的であり、現在問題が気づかれ始めている段階である。アメリカでは簡易ベッドが用いられ、デンマークでは、乳児は乳母車・幼児はお昼寝をしないというそれぞれ別の方法ではあるが保育士の過重労働は避けられている。24時間保育については、今後圧倒的に増加していくという状況は考えにくいが、それでもそこに預けられて生活をしていく子どもたちが今よりは増加していくに違いない。そのためにも保育所の「生活空間化」は重要なタームとなるであろう。しかしながら、24時間保育は世界の保育の潮流とは逆行するものである。欧米では女性たちは社会進出を果たしつつも生活者として親として保育をする権利も捨てることなく職業生活についている。また、中間施設として保育ママ制度も活発に機能している。メインストリームとしては保育所の「生活空間」化を重視すべきであるが、補助的な支援のバリエーションを揃える必要がある。