著者
吉本 敦 庄司 功 尾張 敏章 加茂 憲一 二宮 嘉行 木島 真志 庄司 功 加茂 憲一 尾張 敏章 柳原 宏和 二宮 嘉行 佐々木 ノピア 木島 真志
出版者
統計数理研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

1992年の生物多様性条約採択以降、生態系保全政策のグローバルな影響への関心が高まっている。このような保全政策はある地域の政策が他の地域の生産活動に及ぼす影響を考慮しながら、地域レベルの生態系サービス(多次元的な財)の生産調整を行う必要がある。その結果、地域的あるいは国際的に効果的・効率的かつ実行可能な保全政策を展開することが可能となる。本研究では、トルコ、韓国、日本を中心に、森林資源から供与される多次元的な財の中で、特に生息地供与機能、侵略的外来種防止機能、美的景観供与機能を特定するモデルを開発し、森林資源・生態系管理に対する時空間最適化モデルの構築により、それら機能を定量的に明らかにした。
著者
田辺 國士 石黒 真木夫 土谷 隆
出版者
統計数理研究所
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

1984年にカ-マ-カ-がシンプレックス法とは全く異なる線形計画の新解法を提案してセンセ-ションを巻起こして以来、これに触発されて内点法のアプロ-チによる様々な新解法が現れている。方法論的には、最近の動向はbarrier function法の復活であると一般には考えられているが、むしろNewton法への回帰であると見る考えからこの研究を進めている。Newton法が定めるベクトル場を解析すると自然に最適化問題の微分幾何学的構造に導かれる。「LagrangeとNewtonに帰ろう」という立場から、不等式制約条件下の最適化問題にも特殊な可微分構造を導入して、従来解析的に取り扱われてきた最適化の理論を微分幾何学的立場から再構成し、それを基に新しいアルゴリズムを開発しつつある。具体的には1.甘利氏によって提案されている「情報幾何」に射影幾何学的構造を加味した微分幾何学の構成2.新しい微分幾何学に基づく最適化問題の双対理論の再構成3.微分幾何学の立場からカ-マ-カ-法、伊理・今井法、山下法、Centered Newton法等の既存の解法の解析と関連性の解明4.数値的最適化の新しいアルゴリズムの開発5.アルゴリズムを実装化するために必要な数値線形代数等の数値計算法の研究6.実用化にむけてのプログラムの作成、数値実験を行なっている。
著者
種村 正美
出版者
統計数理研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

空間のある領域の中に多数の点(粒子と呼ぶ)が配置されているとき、粒子配置の統計的性質を特徴付けて配置データがもつ情報を適切に引き出し、当該分野で有用となる結論を導く手段を提供するのが「空間統計学」の重要な役割である。一方、与えられた配置図データ(粒子座標データ)にもとづいて観測領域を分割して得られるボロノイ・セルやデローネイ・セルの形状の統計分布から、空間データの性質を導き出す手法が「ボロノイ・デローネイ解析」である。しかし、従来は「ボロノイ・デローネイ解析」は「空間統計学」のいわば補助的手段にとどまっていた感がある。本研究計画はボロノイ・デローネイ解析を空間データに関する詳細な情報抽出の手段として、また多様な統計モデルの構築手段として利用することによって、空間統計学との融合を積極的に図ることを目標とした。ランダムな粒子配置の典型であるボアソン点過程に対するボロノイ・セルの統計分布の研究においては、4次元,5次元におけるボアソン・ボロノイ・セルの種々の特徴量に関する統計分布を精度良く求め、多変量の空間統計学へのプロトタイプを提出することができた。また大規模な時空間データのボロノイ・デローネイ分割計算も行った。このデータは国内の余震活動記録であって、緯度・経度・発生時刻の3次元データとなっている。データ数(粒子数)は560,000程度であり、この規模のデータの3次元ポロノイ・デローネイ分割を行うため、統計数理研究所のスーパーコンピュータ・システムAItixと本研究計画で導入したUMIXワークステーションを併用した。今回の大規模計算のためにはデローネイ・セルのリスト作成のために効率の良い計算プログラムを開発した。さらに、全地球規模の余震活動データのボロノイ・デローネイ解析を準備した。後者の計算を実行するためには、球面上のボロノィ・デローネイ分割が必要となる。われわれは、すでにそのためのコンピュータ・プログラムを開発済みである。その他、生物組織におけるランゲルハンス細胞の配置データなどのボロノイ解析を空間配置の分析に用いた。