著者
林 知己夫 林 文
出版者
統計数理研究所
雑誌
統計数理 (ISSN:09126112)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.p27-80, 1995
被引用文献数
1
著者
伊藤 栄明
出版者
統計数理研究所
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

幾何学的な対称性を群論をもちいて記述する方法はよく知られている. 3次元空間における周期的な構造について対称性を記述する230個の群があり, それらは空間群と呼ばれている. 結晶における原子の配列を解析する際に空間群はもちいられる. 結晶の対称性は230の空間群のいずれかによりあらわされる. 対称性の統計的分布について, 球の充填あるいは楕円球の充填等にもとづいたモデルが考えられる. 本研究ではこのような幾何学的構造を直接考えずに群とその表現にもとづいたモデルについて議論した. 個々の結晶の対称性が何になるかという問題は物理的, 化学的な議論にもとづいて行われるべきものであるが, 多数の結晶について対称性についての分布をしらべるには統計的モデルを考えうる. 群を値としてとる確率分布という見方が可能である. 群を値としてとる確率分布あるいは確率過程という見方でとらえることのできる現象は多くあると思われる. 群を値としてはる確率過程も興味ある今後の課題と思われるがこれについては別の機会に行いたい. 幾何学的対称性と平行移動の操作を考慮に入れずに記述する点群といわれている32個の群がある. それらは定点0を通る軸による回転及び定点0についての反転からなる有限群である. 点群は結晶の形態を記述する際にもちいられる. 点群における対称操作に平行移動の操作を組み合わせたものが空間群であり, 各空間群は32個の点群のいずれかにもとづいて構成されている. 本研究においては各空間群に対応する点群についての統計的分布を考えた. 多く存在している群は, 群として生成されやすいということと考え, 生成されやすさということについてのモデル化をこころみた. 計算機をもちいてこのモデルにより得られる結果とデータを比較した. さらにモデルについての確率論的性質をしらべた.
著者
赤池 弘次
出版者
統計数理研究所
雑誌
統計数理 = Proceedings of the Institute of Statistical Mathematics (ISSN:09126112)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.iii-ix, 1994-06 (Released:2016-10-19)

創立50周年記念号(1)
著者
植松 良公
出版者
統計数理研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2014-04-25

平成28年度の研究内容は主に,1.高次元時系列予測,2.スパース直交ファクター回帰,3.非定常非線形分位点回帰,4.非線形ファクターモデル,5.高次元FDRコントロール,の5点である:1.理論面では最適な予測誤差の上限とモデル選択の一致性を示したほか,実証面では米国の高次元マクロ経済データを用いたGDP予測を行った.この論文は昨年度末にJournal of Business & Economic Statisticsからの改定要求を受けていたため,今年度はその改訂作業を行い,同ジャーナルに再投稿した.2.昨年度に得られた理論的成果の証明について若干の修正を加え,論文全体も新しい理論に合わせて改訂した.この論文は最終的に,Journal of the Royal Statistical Society: Series B に再投稿した.3.昨年度再投稿したEconometric Reviewsからの2回目の改訂要求を受けて,再び論文の修正・加筆を行った.推定精度とパラメータ制約の検定に関するシミュレーションを刷新し,またバイアス修正した推定量の漸近理論も付け足した.結果,同ジャーナルに掲載が決まった.4.今年度は実証分析に焦点を当て,非線形ファクターがマクロ経済時系列の予測に有効かどうかを考察した.方法論は確立しているものの,細かなモデリングの差や,チューニングによって実証結果が変わるため,より良い結果が出るよう現在も研究を続けている.5.Barber and Candes (2015)は,FDRのコントロール手法として,Knockoff filterを提案した.これは既存の方法よりも優れた性能を示すが,モデルが高次元の場合には適用できない.この点を解決すべく,ファクター構造やモデルのスパース性を仮定することで次元縮約をしつつFDRをコントロールする枠組みを模索している.
著者
石黒 真木夫 OTTO Marc C. CHEN Bor Chu BELL William MONSELL Bria FINDLEY Davi 川崎 能典 北川 源四郎 尾崎 統 BOR Chung H. R.BELL Willi 浪花 貞夫 赤池 弘次 LARRY G Bobb BRIAN C Mons DAVID F Find 田辺 國士
出版者
統計数理研究所
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1992

この研究で扱われた問題は以下の通りである:1.譲歩量基準EICの利用:季節調整の問題におけるEIC(Extended Information Criterion)の利用が論じられ、提案されたリサンプリング法によると、外挿による予測に適したトレンドが選択されることが示された。2.多変量経済時系列解析:多次元時系列解析のための前処理としての季節調整の役割を研究した。相互に関連している時系列を個々に季節調整し、トレンドを除去すると相互の関係に関する情報が失われる危険があることが湿された。3.動的X11モデル:米国センサス局の開発した季節調整法であるX11法は手続きの総体として定義されている。これをモデルベースの現代的統計手法に再構成するためにその中味を分析するなかでそれが乗算的時系列のトレンド推定に関してユニークな特色を持っていることが明らかになり、その特色をモデルベースで実現する方法を考えた。一つの方法はlog変換した後で加算的モデルベース季節調整法を適用してトレンド推定し、その後バイアスを修正してやる方法で既にYoung.A.H(1968)の仕事があるがそれをさらに拡張した方法を導入しその有効さを実データを用いて示した。もう一つはX11的性質を持ったモデルを新たに導入し直接そのようなトレンドを推定することで、動的X11モデルとでもいえるモデルを開発し、その有効さを示した。4.モンテカルロ・フィルター:任意の密度関数を多数の粒子を用いて表現する方法を用いて、非線形・非ガウス型の状態空間モデルのフィルタリング・平滑化を行なうためのモンテカルロ・フィルタを呼ばれる新しいアルゴリズムを開発した。この方法は従来の非ガウス型フィルタと異なり数値積分を必要としないので高次元の状態空間モデルへの適用が可能となった。モンテカルロ・フィルターの開発により季節性を持つ時系列の解析においても自由に非線形・非ガウス型のモデルを利用することが可能となった。具体的には以下の問題への応用を行なった。1)トレンドや季節成分のステップ状の変化の検出2)異常値の処理3)積型・混合型モデルの推定4)システムノイズなどのハイパーパラメータのベイズ推定5.遺伝的アルゴリズム:パラメータ間に一次元的な特殊な構造をもつようなもの-例えば時系列-は、一般化された状態空間表現の枠組みで問題解決を行うのが、計算手続きの見通しが良く様々な点に於いて都合が良い。状態ベクトルの次元が比較的高い場合に提案されたモンテカルロフィルタは(以後MCF)、自然淘汰と発生のメカニズムを模倣する最適化の一手法の遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm、以後GA)とほぼ同じ構造をもつことが指摘されている。GAと対応づけることでMCFの理解は容易になるうえに、アルゴリズムに内在する本質的な問題点の認識も深まる。また、MCFの予測の操作にGAのCross-overやMutationの操作をとりこんだ手法が考えられる。実際にその試みを季節調整などの具体的な問題に適用した。6.DECOMPの改良:ベイズ型季節調整モデルDECOMPにおける定常自己回帰成分推定について、トレンド成分や季節成分とのデータの「食い合い」を避けるために、周波数領域で制約つきの最適化を行なうことで、business cycleに相当する成分の摘出を安定的に行なうような改善を行なった。一方、トレンドのジャンプやキンクのモデリングについては十分な検討を行なうことができなかった。7.共和分モデル:また、多変量時系列モデルで共通トレンド成分を考慮する共和分モデルについて、その代表的な推定法を取り上げ、状態空間表現を与えることでone-stepで推定する方法を提案した。8.X-12-REGARIMA:移動平均法を基礎としたセンサス局の季節調整プログラムX-11にAICを利用した回帰モデル選択による予測方式を組み込んだ。
著者
土屋 隆裕
出版者
統計数理研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

率直には答えにくい内容を調査する間接質問法の一つであるItem Count法において、適切な推定値を得るため、Item Count法における回答特性である過少回答傾向の原因とその補正方法を研究した。Item Count法の従来の回答方法である「当てはまる項目の数」と同時に、「当てはまらない項目の数」も回答してもらう改良型の回答方法を採用することで、過少回答傾向は抑制されることが明らかとなった。
著者
長谷川 政美 堀 寛 岡田 典弘 宝来 聰 五條堀 孝 宮田 隆 植田 信太郎
出版者
統計数理研究所
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

ミトコンドリアを持たない真核生物について、蛋白質をコードしているいくつかの遺伝子の系統学的な解析を行い、真核生物の初期進化に関して新たな知見を得た(長谷川)。進化の過程で遺伝子の多様化がどのように進んだかという問題を明らかにするために、多数の遺伝子族の分子進化学的解析を行った。その結果、遺伝子重複による遺伝子の多様化は、真核生物の進化の過程で徐々に起きたのではなく、断続的かつ急速に起きたことが明らかになった(宮田)。HIVの遺伝子を分子進化的に解析し、その進化速度が異常に高いことを明らかにし、このウイルスの感染者体内における進化のメカニズムに関してもいくつかの知見を得た(五條堀)。3人の現代人と4種の類人猿で、ミトコンドリアDNAの全塩基配列を調べた結果、現代人の共通祖先の年代は約14万年前と推定され、「アフリカ単一起源説」が強く支持された(宝来)。独自に開発したSINEによる系統樹推定法を用いて、クジラの起源の解明とタンガニイカ湖のカワスズメ科魚類の系統関係の決定を行った。クジラの起源に関しては、クジラ目と反芻亜目とカバが単系統をなすことを明らかにした(岡田)。その他、動物体色の発現機構の進化(堀)、細胞内共生細菌の進化(石川)、脳で特異的に発現している転写因子class III POUの分子進化(植田)、無脊椎動物の生体防御系の進化(石和)、などについても成果を挙げた。
著者
石黒 真木夫 三分一 史和 越久 仁敬 岡田 泰昌
出版者
統計数理研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

イメージングデータの事前処理として,画像強度の不均性やモーションアーチファクトなどの実用的な補正方法の開発を行った。そして,イメージングデータの分散や時間依存相互相関などの統計量マップを用いて脳幹内の呼吸活動生成部位におけるニューロンとアストロサイトを効率的に識別する方法を確立した。生理学的には遅い周期で活動し,ニューロンネットワークと弱く結合するアストロサイトネットワークの存在を示唆する結果や,呼吸バースト毎に活性化するニューロンの組み合わせが異なるという知見を得ることが出来,今後のニューロンネットワークの数理モデリング研究に新たなパラダイムをもたらす可能性のある成果を得ることが出来た。
著者
廣瀬 雅代 Partha Lahiri
出版者
統計数理研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

小地域推定の現場でよく用いられている経験的最良線形不偏予測量(EBLUP)に対する研究を行った.具体的には, 数値実験を用いて近年提案された複数のEBLUPの性能比較を行い, 先行研究より広いモデルのクラス下においてEBLUPを用いた非現実的な予測値発生回避法の理論的保証を与えた. さらに, EBLUPの予測精度指標に対する非現実的な推定値の発生回避法や信頼区間法の改良も行った.
著者
庄 建倉
出版者
統計数理研究所
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、地震の発生時系列を例として、欠測事象がある場合の点過程に関する統計的推測手法を開発し、地震に関連したいくつかの経験則の性質を明らかにした。本研究は以下の成果生み出した。:1)統計モデルによる地震クラスタリングを生成することによって前震現象の経験則といわれているものが再現が出来た;2)本震と最大余震のマグニチュードの差に関するBath法則の理論的解釈を与えた;3)Neyman-Scott点過程の点配置データからクラスタの親点の推定する方法を与えた;4)一般に認知されていない方法や主観的要素を含む地震予測(ブラックボックス型予測法)に対する性能を実際の地震発生データに基づいて客観的に評価できるのギャンブリング評価法を考案した。
著者
吉野 諒三 松本 渉 林 文 山岡 和枝 鄭 躍軍 佐々木 正道 林 文 山岡 和枝 佐々木 正道 鄭 躍軍 前田 忠彦 土屋 隆裕
出版者
統計数理研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

急変する世界情勢を考慮し、特に日本と他の東アジアやその周辺諸国の人々の価値観、対人的信頼感など人間関係に関する意識、自然観や生命観など、各国の人々の意見を、偏らずに集約する統計的方法にもとづいて面接調査を遂行した。政治体制と国民性との交絡など多様な側面が明らかなってきたが、特に、洋の東西を問わず、「家族の大切さ」の普遍的価値が浮き彫りとなった。我々は、これを「文化の多様体解析」としてまとめあげた。
著者
柏木 宣久
出版者
統計数理研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

東京湾に於ける水質の長期変動の推定、ダイオキシン類の発生源寄与率の推定、熱帯降雨観測衛星搭載の降雨レーダにより得られるレーダ反射量に基づく降雨量の推定等を題材に、ベイズ的方法を用いたデータ解析法を開発すると共に、その応用について研究した。東京湾に関しては、ベイズ型時空間季節変動調整法を開発すると共に、水温、塩分濃度、COD、DO、窒素、隣等の測定データを解析し、湾内全体の水質の長期変動および季節変動を明らかにした。特に、水温については冬季に上昇し夏季に下降する傾向を見出し、併せてその原因が湾内への外洋水の流入量の増加にあるのを指摘し、窒素および隣については近年に於ける低減傾向が鈍化し、併せてCODの改善も鈍化しているのを指摘し、DOについては底層における低酸素水塊の月毎の消長を明らかにすると共に、その長期拡大傾向を指摘した。これらの成果を国際会議および関係雑誌に発表し、特に「The 5th International Conference on the Environmental Management of Enclosed Coastal Seas」では「The Best Effort Award」を受賞した。ダイオキシン類については、発生源寄与率を推定するための関数関係解析に基づくChemical Mass Balance法を開発すると共に、研究協力者が収集したデータを解析し、様々な媒体に存在するダイオキシン類の発生源の同定と寄与率の推定を行った。熱帯降雨観測衛星については、レーダ反射量から降雨量を推定する際の基盤となる雨滴粒径分布の同定について考察すると共に、NASAで運用している降雨量推定プログラムの改善に尽力した。その他、比較遺伝子地図を用いた未マッピング遺伝子の染色体予測法の開発や、疫学データの解析も実施した。
著者
長谷川 政美 加藤 真 湯浅 浩史 池谷 和信 安高 雄治 原 慶明 金子 明 宝来 聰 飯田 卓
出版者
統計数理研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

マダガスカル固有のいくつかの生物群について、その起源とこの島における多様化の様相を明らかにする分子系統学的研究を行った。(1)マダガスカル原猿類(レムール類)とアフリカ、アジアの原猿類との進化的な関係を、ミトコンドリアのゲノム解析から明らかにし、レムール類の起源に関して新しい仮説を提唱した。(2)テンレック類についても分子系統解析によって、その起源とマダガスカルでの多様化進化を明らかにする研究を行った。テンレックについては、前肢運動器官の比較解剖学的解析を行い、この島における適応戦略を探った。(3)マダガスカル固有のマダガスカルガエル科から、アデガエル、マントガエル、イロメガエル3属のミトコンドリア・ゲノムを解析し、この科がアオガエル科に近縁であることを示した。(4)マダガスカル固有のバオバブAdansonia属6種とアフリカ、オーストラリアのものとの進化的な関係を、葉緑体ゲノムの解析から明らかにした。マダガスカルの6つの植生において、植物の開花を探索し、それぞれの植物での訪花昆虫を調査した。いずれの場所でも、訪花昆虫としてマダガスカルミツバチが優占していたが、自然林ではPachymelus属などのマダガスカル固有のハナバチが観察された.このほか,鳥媒,蛾媒,甲虫媒なども観察された。マダガスカル特有の現象として、長舌のガガンボ類Elephantomyiaの送粉への関与が、さまざまな植物で観察された。Phyllanthus属4種で、ホソガによる絶対送粉共生が示唆された。マダガスカルの自然と人間の共生に関する基礎的知見の蓄積のため、同国の海藻のフロラとその利用に関する研究、及びマングローブ域に特異的に生育する藻類の生育分布と交雑実験による生殖的隔離に基づく系統地理学的解析を行った。マダガスカル南西部漁村の継続調査から、生態システムと文化システムの相互交渉を浮かび上がらせた。
著者
尾形 良彦 種村 正美 遠田 晋次 庄 建倉 鶴岡 弘 田村 義保 佐藤 整尚 川崎 能典 島崎 邦彦 間瀬 茂 柴田 里程 ANDREA Llenos SEBASTIAN Hainzl JEFFREY J. DAVID Vere-Jones
出版者
統計数理研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

ETAS(epidemic type aftershock sequence)などの統計的点過程モデルで各地の地震活動の確率的予測を行う同時に,モデルを物差しにして静穏化・活発化などの地震活動異常を検出できる解析手法を確立した.地震活動予測からの逸脱による地震活動異常の空間パタンから,断層内の非地震性すべりによる地殻のストレス変化との因果関係を実証研究した.このような地震活動の異常性が殻歪変化のセンサーとして有用である.さらに地震活動異常とGPSによる地殻変動データとの整合性を確かめ,大地震の前駆的なすべり現象の解明に迫った.