著者
佐々木 新介
出版者
関西福祉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では,静脈穿刺時の上肢温罨法の効果について検討した.静脈穿刺時の静脈怒張を評価する場合,駆血の影響を考慮する必要がある.そこで,適切な駆血条件を設定し温熱刺激による血管怒張を評価した.まず,実験室内で健常人を対象に5分間の簡便な上肢温罨法を考案し,有意な血管拡張が得られることを確認した.次に,血液透析患者23名に対してクロスオーバーデザインの臨床介入試験を実施した.その結果,シャント穿刺時に温罨法を実施した場合,1回での穿刺成功率は100%であったが,非温罨法時の穿刺成功率は91%であった.以上より,上肢温罨法による血管拡張効果を認め,看護援助としても有用である可能性が示唆された.
著者
米倉 裕希子 山口 創生
出版者
関西福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は知的障害者のスティグマに関する海外や国内の文献及び知的障害福祉に従事する職員対象の大規模調査を基に、スティグマティゼーション是正のため肯定的態度や共感性を高めるプログラムを作成した。文献から知識と情緒的教材に加えディスカッションすることが肯定的態度の要因になることがわかった。また大規模調査では資格の有無、統合教育の経験、研修の受講が影響することが明らかになった。そこで「知識・情報」「対処方法」「サポート」を柱としたプログラムを実施し、前後及び未実施群と比較した。研修の効果は明らかではなかったが、肯定的態度や共感性は上昇し3か月後も低下しなかった。学校教育や職員研修での活用が期待できる。
著者
井上 寿美 笹倉 千佳弘
出版者
関西福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

妊婦健診未受診妊産婦に対する周産期の支援を手がかりとして,社会的ハイリスク要因をもつ子育てハイリスク群に対する周産期医療を組み込んだ子育て支援ネットワークの実践モデル構築のための視座を明らかにした.支援の前提となる実態把握では,未受診妊産婦は6類型となった.子育てハイリスク群である未受診妊産婦支援に必要なことは次の4点である.(1)関係に働きかける,(2)自己肯定感回復支援と他者に対する信頼感回復支援を行う,(3)出生児の新生児期は支援者が常時存在する,(4)若年未受診妊産婦問題を子ども問題としてとらえた支援を行う.