著者
魏 回 北村 正 岩田 彰 鈴村 宣夫
出版者
電子情報通信学会情報・システムソサイエティ
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.689-696, 1992-04-25
被引用文献数
4

多数のカテゴリーを分類する一つの手法として,我々は大規模ニューラルネット(CombNET-II)を提案した.これは,前段に入力ベクトルを大分類するためのベクトル量子化型ニューラルネットを配置し,後段にグループ内のデータを細分類するための階層ニューラルネットを配置した.くし型の構成をしている.本論文では,CombNET-IIを用いる大語いの音声認識手法を提案し,この方法を中国語の単語音声認識に適用し,その有用性について検討する.音声信号から2次元メルケプストラム法によって求められる特徴量をCombNET-IIの入力に用いる.2次元メルケプストラムは音声の静的特徴と動的特徴を同時に分析でき,音声認識には有効なパラメータである.今回の音声認識実験では,特定話者が中国語で発声した世界の国名と都市名1000単語を用いた,各単語を5回ずつ発声し,この中の4回分のデータで学習を行い,残りの1回分のデータを認識させたところ,99.0%の認識率が得られ,本方法の有効性が示された.
著者
中川 俊明 林 佳典 畑中 裕司 青山 陽 水草 豊 藤田 明宏 加古川 正勝 原 武史 藤田 広志 山本 哲也
出版者
電子情報通信学会情報・システムソサイエティ
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.2491-2501, 2006-11-01
参考文献数
31
被引用文献数
14

我々は,眼底画像の異常を自動検出することによって眼科医の診断を支援するコンピュータ支援診断(CAD)システムの開発を行っている.本研究では,眼底画像の視神経乳頭を認識するために,血管の抽出及び消去を行う手法を提案する.また,血管消去画像の応用例として,患者説明に利用する擬似立体視画像の作成を行った.血管はカラー眼底画像の緑成分画像に対して,モフォロジー演算の一種であるBlack-top-hat変換を行い抽出した.抽出した血管領域に対して周囲の画素のRGB値を利用した補間を行い血管消去画像を作成した.このように作成した血管消去画像を視神経乳頭の認識に適用した.視神経乳頭は,血管消去画像を用いたP-タイル法によって認識した.78枚の画像を用いて評価実験を行った結果,認識率は94%(73/78)であった.更に,抽出した血管像及び血管消去画像を利用して,擬似立体視画像の作成を試みた.その結果,血管が網膜の硝子体側を走行している様子を表現できた.本手法が眼底CADシステムの精度向上に寄与することを示唆した.
著者
堀田 健一 岩田 彰 松尾 啓志 鈴村 宣夫
出版者
電子情報通信学会情報・システムソサイエティ
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.545-553, 1992-03-25
被引用文献数
37

一般にニューラルネットが大規模になると,結合数が急速に増加し,また学習の収束が困難になるなどさまざまな問題が生じる.これを改善するために我々は,ベクトル量子化ニューラルネットと階層型ニューラルネットを組み合せたCombNETと名づけたネットワークモデルを提案している.しかし,前段のベクトル量子化ニューラルネットにおけるカテゴリーの大分類が均等にならないという問題が生じた.本論文ではこの問題を解決する手法として,自己増殖型ニューラルネットと呼ぶベクトル量子化ニューラルネットを考案し,このネットワークを適用したCombNET- IIを提案する.このネットワークの利点は二つある.まず第1に,前段で各グループに属するカテゴリーがほぼ均等になるように分割されることである.また第2には,分類するカテゴリーの増減にニューロンの数を柔軟に対応させて変化する点にある.今回はこのCombNET-IIをJIS第1,2水準印刷漢字の識別に適用し,前段における大分類の様子,カテゴリー数の変動に対する能力および識別率の検証を行った.