著者
横田 勝 三船 温尚 清水 克朗
出版者
高岡短期大学
雑誌
高岡短期大学紀要 (ISSN:09157387)
巻号頁・発行日
no.5, pp.19-26, 1994

スズを基としたスズ-銅-アンチモン合金は一般にホワイトメタルと呼ばれ,工業用軸受け材料やピューターと呼ばれる工芸材料に多く利用されている。本実験では工芸材料の立場から金相学および機械的性質について実験と検討を行った。得られた結果は次の通りである ; (1)Sn-CuおよびSn-Sb 2元系合金の冷却過程において熱分析曲線の上で2種類の発熱ピークが観察された。一方,Sn-Cu-Sb 3元系合金では3種類のピークが観察された。これら3種類の合金の60OK付近で現われる第1ピークは平衡状態図中の液相線上の点に相当する。約500Kで現われる第2ピークは,それぞれSn-Cu系ではa/α+η,Sn-Sb系ではα/α+β. Sn-Cu-Sb系ではα+γ/α+β+γの変態温度に相当する。Sn-Cu-Sb 3元合金だけは520K付近で第3のピークが観察された。これは平衡状態図中の固相線温度に相当する。(2)5mass% CuまでのSnへの参加による硬さへの影響はほとんど認められなかった。しかしながら、SnへのSbの添加は硬さを著しく向上させた。SnへのCuとSbの同時添加は3元系合金の硬さを効果的に高めた。(3)本3元系合金の強化機構は時効硬化型であると考えられる。
著者
秦 正徳
出版者
高岡短期大学
雑誌
高岡短期大学紀要 (ISSN:09157387)
巻号頁・発行日
no.8, pp.23-36, 1996

埋め戻した土地に構築された東遊園地の彫刻および屋外建築物は,兵庫県南部沖地震で,傾斜,転倒,崩落などの典型的な被害を呈した。この被害状況を報告するとともに,彫刻や屋外構築物の力学的性質に検討を加えた。得られた結果は次のとおりである。(1)石を用いた組積造の構造は,被害を受けやすい。(2)石と金属製ダボの接着は充分でない。(3)プラスチック造,鋳造,鉄筋コンクリート造のような一体化された構造は地震に強い。(4)重量が小さく,断面二次モーメントが大きい構造は地震に強い。(5)埋め戻した土地は軟弱であるので,転倒防止のためにフーチンを広くとる必要がある。
著者
磯部 祐子
出版者
高岡短期大学
雑誌
高岡短期大学紀要 (ISSN:09157387)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.159-170, 2004

小論は、2003年の現地調査に基づき、中国浙江省紹興における民間演劇の再燃について考察を加えたものである。改革開放後、経済の自由化と共に、それまで息を潜めていた民間の芸能活動は復興の兆しを見せた。爾来20年、今日、江南では、中華人民共和国成立以前の活況さえも紡彿とさせるほど民間芸能の盛んな地域も生まれ始めた。小論は、調査を行った5つの事例によって、今日の紹興における演劇の上演状況と宗教との関わり、伝統の継続性と異質性、そしてその背景にある人々の精神世界について明らかにする。
著者
小郷 直言
出版者
高岡短期大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

本研究は人間の協働活動をコンピュータにより支援するために必要な実システムの実現と利用実験を行った。ならびに、内外のコラボレーションに関する理論的、工学的な展開について調査を行った。1.協働支援システム(もんじゅと呼ぶ)のLAN上への移植作業を行った。 協働支援システム(もんじゅ)はわれわれの考えるグループウェアの基礎となるシステムであり、サーバ/クライアント方式を採用した。2.リアルタイム・グループライティング&ドローイング 本格的なグループウェアとしてリアルタイム・グループライティング&ドローイングはネットワーク上で共有ウィンドウを使って共同執筆を試みるプログラムであり、これをわれわれの手でワークステーション上に開発した。このグループライティングの特徴は応答性能に優れ、WYSWISが満たされ、利用者はいつでも書込みが可能な点である。現在さらにシステムの機能を充実する作業を続けている。3.グループウェア利用実験 学生を対照にシステムを実際に利用し実験データを集め、分析を行い、システムの改良を続けている。協働を対象とする研究にあっては、実践を目指し、それに対して検討がなによりも重要である。4.内外の文献を調べた後、市販されているグループウェア商品を導入している企業を訪問し、その利用形態、状況を実態調査した。協働についての研究のサーベイの結果、協働は学際的な研究対象であり、経営組織論、相互作用的状況論、メディア論、分散協調システム、分散人工知能、ネットワーク論などを含む広範囲な研究領域と関係することがますます明確になった。