著者
杉浦 滋子 Shigeko Sugiura
出版者
麗澤大学大学院言語教育研究科
雑誌
言語と文明 = Language & Civilization (ISSN:21859752)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.33-53, 2012-03-30

日本語で比況、例示、推量の用法をもつ「~みたいだ」は「~を見たようだ」が文法化した形式である。先行研究はその過程での形式が変化したこと、及び名詞以外の品詞の語に付くようになったことを指摘しているが、用法の広がりとして捉えるべきであること、用法の広がりにおいて意味の再解釈があることを指摘した。
著者
楊 海程
出版者
麗澤大学大学院言語教育研究科
雑誌
言語と文明 = Language & Civilization (ISSN:21859752)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.55-64, 2012-03-30

筆者は、1910 年代の21 ヶ条要求交渉から1930 年代の日中全面戦争が勃発するまでを対象とし、日中間の矛盾や軋轢がどのようなメカニズムで生成され、どのようにして関係悪化を引き起こしていったかについて、明らかにすることに関心を持っている。本稿は、「川越・張群会談」を対象とし、1936 年後半における日中国交調整交渉問題を取り上げた研究である。
著者
高 春玲
出版者
麗澤大学大学院言語教育研究科
雑誌
言語と文明 = Language & Civilization (ISSN:21859752)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.73-93, 2013-03-30

本稿では『おくのほそ道』の平泉の章に於いて、杜甫の『春望』を踏まえている「国破れて山河あり、城春にして草青みたり」の諸外国語への翻訳文を比較し分析した。『おくのほそ道』の野坡本、曾良本、柿衞本及び西村本、これらの四つの原本を分析し、野坡本の「城春にして青〻たり」から柿衞本の「城春にして草青みたり」に至る補筆訂正は、芭蕉が句文の推敲を重ね、内容・表現上の様々な工夫をこらしたものであることを確認した。『春望』についての解釈を調べたところ、東洋の自然観が中国と日本の場合に、違いがあることが判明した。『春望』の「草木深し」を芭蕉が「草青みたり」に換えたことによって、『春望』の「詩的表現」は変わった。「城春にして草青みたり」の「草青みたり」についての先行研究の論点をまとめ、「草青みたり」の意味について考察した。
著者
丁 仁京
出版者
麗澤大学大学院言語教育研究科
雑誌
言語と文明 : 論集 (ISSN:21859752)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.35-49, 2014-03

本稿では、韓国語の「連体形+名詞」構造における語形成と、日本語の連用形における語形成との比較を行った。韓国語の「連体形+名詞」構造の中には、①日本語の「動詞連用形+接尾辞」と同様に、実質的に名詞一語相当の総称的表現を作るもの([[連体形]VP geos/gos]N)と、②「連体修飾+主名詞=名詞句」という構造を持ち、連体節が文字通り名詞を修飾し、主名詞が表すものの分類・限定を表す節を構成するもの([[連体形]VP N]NP)がある。[[連体形]VP geos/gos]N において、'geos(もの)' 'gos(ところ)'が主名詞というよりは名詞化辞に近い機能を持ち、形容詞-n 連体形、動詞-l 連体形も、分類・限定というよりは内容補充的な機能を持ち、形容詞は「属性」を、動詞は「目的・用途」を表す。日本語は形態面から一語であることが明確であるのに対し、韓国語では形態面からは一語である場合も句である場合もあり得る。