著者
國松 淳和
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.227-233, 2020 (Released:2020-04-01)
参考文献数
4

発熱 (fever) と高体温 (hyperthermia) は異なるものである. これは, 機能性高体温症の理解, ひいては不明熱患者から機能性高体温症を適切に診断するために核となる知識である. 機能性高体温症は本来, 古典的不明熱からは除外されていた. しかし現在本邦では, 予後不良ではない病態であっても, 症状苦痛から少しでも解放されたいという価値観が優勢となりつつあり, 機能性高体温症は比較的独立した問題となってきている. 機能性高体温症を診断するには, 慢性炎症を除外し, 全身性エリテマトーデス, Sjögren症候群, 特発性後天性全身性無汗症, 家族性地中海熱といった疾患を検討しつつ臨床的に判断する. 選択的セロトニン再取り込み阻害薬が奏効しやすい小児・思春期の高体温症と違い, 成人例では治療は困難を極める. 成人の場合の治療の基本骨格は, まず併存している器質的疾患を特定しそれを改善することに努める. そして続発する心身ストレスとしての高体温状態を改善すべく, 多因子に対して多元的にアプローチするのがよく, 心身医学的な介入はそれを構成するものとして重要である.

言及状況

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@galea_mainmaku あと効きそうなのは悪性症候群の時に使うダントリウムでしょうか、こちらは点滴で投与すれば副作用はほとんどないと思います。 また小児の高体温の時には下記のようにSSRIを使うそうですが、どちらもエビデンスは弱いと思います。 https://t.co/Ci5efhZK76
#研鑽ジャーナル #読了 https://t.co/tw1Or6Oblm 高温下など発汗を促すに十分な環境においても発汗が欠如しているため発汗しない疾患を無汗症というが、それが後天性・全身に起き、エクリン汗腺の異常,交感神経の異常、自己免疫性疾患、薬剤など続発性の要素が不明瞭であるものを特発性後天性全身性
なんだか定期的に高体温になるけど検査してもとくに変わらないからこのあたりのこと調べてみよかな https://t.co/tEs3tS2N0f
國松淳和先生執筆の「機能性高体温症」の総説で学びながら、外来で六味丸(87番漢方薬)処方継続しているケースがあります。もし漢方薬で症状緩和続けば、治療の選択肢の一つになり得ますか。 https://t.co/538x1nuAG7
「機能性高体温症の臨床」 https://t.co/wF3skR5uKF 『器質か心因か』を読んだ後(まだ全部は読み終えていないけど)だと、非常に腑に落ちました。
南多摩病院国松先生の総説、わかりやすかったです 「機能性高体温症の臨床」 https://t.co/2gklq4VIt6
さらに発熱外来で問題となることとして、発熱(fever)と異なる高体温(hyperthermia)という病態、とりわけ機能性高体温症という概念があることも最近のトピックです。 https://t.co/AdVZEct8A8
機能性高体温症の臨床 國松淳和 https://t.co/V9Y5hHATTg

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