著者
江原 由美子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.553-571, 2013 (Released:2015-03-31)
参考文献数
18

本稿の主題は, 現代フェミニズムと家族との関連性を考察することである. まず, 第1に, 現代フェミニズムの家族に関する主要な論点を明らかにする. それは「家族の否定」ではなく, 「性別分業家族」批判であった. 「性別分業家族」においては, 女性の過重な家庭内役割のゆえに, 女性の経済的自立が困難だったからである. 次に, 現代フェミニズムの家族批判の根底にある公私分離規範に関する論点を, 「家族領域」を社会から切り離す公私分離規範批判と, 女性の「身体の自由」権を認めない公私分離規範批判の, 2点で把握し, それらがいずれも, いわゆる「近代家族」への批判につながることを示す. この観点から「近代家族」類型を位置づけると, 「近代家族」とは, 女性の人権を認めない前近代的要素を含んでいる家族類型と位置づけることができる. 最後に, 現代フェミニズムの公私分離規範批判から導かれた論点に関連する家族変動要因を, ハビトゥスの水準と, 社会制度的水準において把握し, 「ジェンダー秩序論」の視点から, 「これからの家族」を考える.

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”では、実際フェミニズムはその主張内容において、「家族を否定し」てきたのだろうか。”

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フェミニズムと家族 https://t.co/5y3gL2hRMe
RT>ちょうど江原由美子はかせのフェミニズムにおける家族批判の論点整理の論考読んだばっかだからタイムリーな話題なのだ フェミニズムと家族 https://t.co/5y3gL1ZIy6
J-STAGE Articles - フェミニズムと家族 https://t.co/YVRRO5lSR1
承前)いくつか読んでみたけど、江原由美子先生の「フェミニズムと家族」が、第二派以降の公私分離規範批判の流れと「私的領域」への介入の影響と問題点が整理されていて分かりやすかった。学術系フェミニストの大御所としての貫禄を感じた。https://t.co/KBrPRRBjiQ (続く
”では、実際フェミニズムはその主張内容において、「家族を否定し」てきたのだろうか。” / “江原由美子「フェミニズムと家族」『社会学評論』(pdf)” http://t.co/0Kk8ieTWOg
フェミニズムと家族【特集論文】 江原 由美子 #社会学評論 64(4):553-71 (2014) 全文 http://t.co/hmsISahwfg on #feminism and modern #family

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