- 著者
-
永崎 研宣
- 出版者
- 一般社団法人情報処理学会
- 雑誌
- 情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
- 巻号頁・発行日
- vol.2005, no.105, pp.17-24, 2005-10-28
- 参考文献数
- 42
- 被引用文献数
-
2
「デジタルアーカイブ」という言葉が登場し、人口に膾炙するようになったのはこの10年程のことである。文化資産をデジタル化して、記録し、発信するという営み自体はそれ以前より行なわれてきている。しかしながら、かつては、学術利用のために学術的価値のある資料を蓄積・公開したり、博物館・美術館が所蔵資料をデジタル化するといったものが主流だったのに対して、「デジタルアーカイブ」の登場以後は、文化資産の「正しい継承」や商業的利用にも重きが置かれるようになった。デジタルアーカイブはその性質上、評価や批判が容易ではないが、各々の合目的性に基づいて評価し、建設的に批判するための枠組みが必要である。Digital Archives have appeard and spread rapidly in these ten years. We have continued to digitize, store and publish intellectual properties for twenty years or more. At the beginning, scholars dealt with academic materials for their own research and museums digitized their own materials using databases. However, after "Digital Archives" appeared, new concepts such as orthodox succession of culture and commercial use have become the mainstream. It is difficult to evaluate or criticize digital archives, but we must do so for each digital archive based on its particular purpose.