著者
尾崎 竜史 一杉 裕志
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2016-NL-228, no.8, pp.1-4, 2016-09-22

双閉モノイド圏 (biclosed monoidal category) を紹介し,これが古典的な範疇文法のモデルとなることを説明する.また,このモデルでは古典的な範疇文法において ad hoc に導入されていた文法範疇の同値性 (X\Y ) /Z ● X\ (Y/Z) のようなルールが自然同型として構成されることを示す.また,単一の文に対して同じ意味を与えるような二通りの構文解析が可能な現象を,双閉モノイド圏における図式の可換性を通して捉えることを提案する.最後に,組み合わせ範疇文法への拡張を簡単に検討する.
著者
一杉 裕志 松岡 聡 米澤 明憲
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.3_225-3_237, 1994-05-16 (Released:2018-11-05)

分散環境で稼働する,リフレクティブな並列オブジェクト指向言語RbClとその実現方法について述べる.RbClの処理系を構成するすべての実行時ルーチンは,言語のユーザが動的に変更・拡張可能である.つまり,並列実行やリフレクションを含むすべての言語機構が,固定された実行時カーネルとしてではなく,ユーザが置き換え可能な形で実現されている.記述言語との言語的共生と,直接実行のリフレクティブタワーという2つの概念によってこのような言語が実現可能になることを示した.
著者
須崎 有康 田沼 均 平野 聡 一杉 裕志 塚本 享治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第51回, no.ソフトウェア, pp.21-22, 1995-09-20

筆者らは文献[1]においてパーティショニングアルゴリズムを使った時分割処理方式を提案した。時分割処理方式の性能はシミュレータにより、投入された全タスクの処理時間、タスクの応答性、プロセッサ利用率などで従来のパーティショニングアルゴリズムより効率が良いことを示した。しかし、ここでの解析は主に全体性能の解析であり、投入される個々のタスクの動的な振舞いの解析は不十分であった。また、個々のタスクの解析が不十分のため、タスクの優先度を導入するための指標が立たなかった。このため筆者らは作成したシミュレータにアルゴリズムアニメーションの手法を適用し、時分割処理方式の動的な振舞いを解析した。ここではアルゴリズムの動作と共にグラフ表示を連動させることにより、動的に変化する振舞いの解析を容易にした。
著者
一杉 裕志
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

脳とdeep learning のアーキテクチャには共通の特徴が多くあるが、 脳にはあるのに現在の deep learning にはない重要な特徴もある。 その中には deep learning の性能をさらに向上させる 有望なヒントが含まれている可能性がある。 そこで、大脳皮質と deep learning の類似点と相違点について考察する。
著者
一杉 裕志 佐野 崇 中田 秀基 高橋 直人 竹内 泉
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究ではヒトのような合目的的な言語理解・発話計画を行う機構の基本原理を明らかにする。対話の目的は長期的な報酬期待値最大化であると仮定し、我々が開発した再帰的強化学習 RGoal を用いて、対話を行うための行動ルールを自律的に学習・実行する知的エージェントを実装する。さらに、エージェントの脳内のワーキングメモリの機構や、知識獲得を促進させるためにエージェントの脳・身体に備わる様々な機構を実装し、性能との関係を明らかにする。
著者
須崎有康 田沼 均 一杉裕志
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.77(1997-OS-076), pp.1-6, 1997-08-21

時分割と空間分割を融合した並列プロセススケジューリングを並列計算機AP1000+上に実装するための設計方針を示す。並列計算機OS AP/Linuxをベースとし、AP/Linux本来のGang Schedulingにプロセス割り当てとwake?up同期を行なうデーモン(lice)を加えることで可能とした。ここでは、時分割は個々のプロセッサ上でのローカルなスケジューリングを利用し、slicedが空間共有できる並列プロセスを一定間隔で一斉にwake?up割り込み起こす。性能評価には複数のプロセスを実際に走らせ、時分割と空間分割を融合したスケジューリングが効率的であることを確認した。
著者
一杉 裕志 高橋 直人

大脳皮質の言語野における、構文解析・意味解析機構のモデルを提案する。このモデルは、計算論的神経科学における大脳皮質ベイジアンネット仮説と、形式言語学における組み合わせ範疇文法(CCG)の理論を融合している。文の意味を階層アドレス表現と呼ぶ方法で表現することで、従来の CCG で用いられてきたラムダ計算を不要にし、ベイジアンネットでの実現を容易にする。モデルの一部を破壊することでブローカー失語とウェルニッケ失語に似た振る舞いを再現できる。
著者
一杉 裕志 高橋 直人
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

ベイジアンネットは深い生成モデルを素直に表現できる上、 文脈情報も自然に扱えるという特徴がある。 我々は条件付確率表に制限を加えることでベイジアンネットの認識時の計算量を大幅に抑え、 それを用いた深層学習アルゴリズムを実装した。 このアルゴリズムは大脳皮質の解剖学的構造と多くの共通点を持ち、 脳と同じ機能を持つ強い人工知能の実現に向けた重要な進展であると考えている。
著者
一杉 裕志
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

ヒトの脳は大脳皮質、大脳基底核、海馬などの器官から構成される汎用の機械学習装置である。この脳全体のアーキテクチャの詳細が解明できれば、人間のような知能を持ったロボットが実現可能になり、人類に莫大な富と利益をもたらすだろう。脳の各器官の計算論的モデルは不完全ながらすでに出そろっており、それらがどう連携して脳全体の機能を実現しているのか解明することが、汎用人工知能への有望なアプローチであると考える。
著者
一杉 裕志 田中 哲 渡部 卓雄
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.292-299, 2003-05-23

複数のクラスにまたがるコードを分離して記述できる言語として,アスペクト指向言語がある.独立して開発されたアスペクトであっても,個々のアスペクトが何らかのルールに従って設計されていれば,複数同時に組合わせて動作させることが可能であるとわれわれは考えている.本論文ではそのようなルールを見いだし検証するための第一歩として,安全に結合可能なmixinを提供するためのルールを検証する方法について述べる.ルールの記述および検証には, Design by Contractやbehavioral subtypingの考え方を用いる.