著者
松本 鮎美 三上 弾 木全 英明
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.10, pp.1448-1461, 2018-10-01

本論文では,スポーツ映像を対象として,動作中のイベントの発生タイミングを時間的に詳細に検出することを目指し,映像を疑似的に高フレームレート化した上で,高フレームレート化された映像からイベントを検出する手法を提案する.一般的に,スポーツの動作は非常に高速である.例えば野球において投手のボールのリリースタイミングを分析することを考えると,フレームとフレームの間で撮影されていない可能性がある.一般的な映像からのイベント検出手法の時間分解能は映像のフレームレートに制約されてしまう.この問題を解決するために我々は,低次元特徴に着目し,低次元特徴空間における映像の疑似高フレームレート化による高い時間分解能でのイベントタイミング検出方法を提案する.これは,映像をダイナミックスを保持したまま低次元特徴空間へマッピングするものであり,これにより高フレームレート化が容易となり,フレームレートより詳細なレベルでのイベントのタイミング検出が可能となる.更に,クラスタリングによるアノテーションを行うデータの自動抽出と,ストリームデータに対する逐次的なアノテーションの導入により,実環境での利用への拡張を行う.
著者
三上 弾 紺谷 精一 森本 正志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.526-534, 2007-02-01
被引用文献数
5

本論文では,野球映像からピッチャーによる投球イベントを検出する方法を提案する.提案手法では,(1)映像撮影環境(撮影角度など)の影響を受けにくい音響解析によって,投球後に発生する打球音あるいは捕球音を取得し,投球イベントの候補とする.(2)音響解析により求めた投球イベント候補について,各候補の時刻における動き特徴によりクラスタリングを行うことで,投球イベント候補の中から投球イベントのみを選別する.(3)投球イベントから投球動作テンプレートを作成する.(4)投球動作テンプレートを処理対象映像から自動的に選び,映像全体を再検索する.以上の処理により,音響解析によって検出が不可能であった投球イベントについても検出することが可能となり,高精度な投球イベント検出が実現できる.野球の放送映像及び個人撮影の野球映像を用いて実験を行い,放送映像において,音響解析による投球イベント検出の適合率は約60%,再現率は約81%であったが,提案手法を用いることにより,適合率約90%,再現率約95%(検出漏れはテロップによる投手の遮へいなど)の精度で検出が可能となり,野球映像構造化の第1段階として十分な精度を得ることができた.
著者
三上 弾
巻号頁・発行日
2012

筑波大学博士 (工学) 学位論文・平成24年3月23日授与 (甲第6071号)