著者
白川 智昭 三木 信弘 小川 吉彦 北島 秀夫 下野 哲雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-2, 通信2-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.82-91, 1998-01
参考文献数
9
被引用文献数
4

二つの離散系列の相関関数の近似的な値を高速に計算する方法を提案し, これをSAR像再生処理におけるレンジ圧縮に適用することにより評価する。系列の長さが非常に長い場合, 周波数領域を用いた相関関数の計算を行っても多くの計算時間を要するため, リアルタイム性が必要な場合には問題になる。しかし, このような応用では相関関数の正確な値を求めるよりも, その近似的な値をできるだけ高速に求めるほうが重要な場合がある。そこで本論文では, 二つの系列にウェーブレット変換を行い, 得られる短い系列の相関関数をもとの系列の相関関数の近似値とする。ウェーブレット変換を階層化することにより, 近似値もその精度により階層化される。また, 精度の粗い近似値から段階的に精度を上げてゆく方法を示すことで, 最終的に正確な値を求めることも可能となる。ここではそのアルゴリズムを示した後, SARレンジ圧縮にこれを適用することにより, 提案手法を実験的に評価する。
著者
ブンクムクラオ ウィチャイ 三木 信弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.11, pp.2171-2179, 2000-11-25
参考文献数
11
被引用文献数
5

FPGA(Field Programmable Gate Array)は, プログラマブルデバイスであり, いくつかの方式があって何回も回路を書換え可能である.特殊DSPを少量生産する場合, コストが安くできるという大きな利点がある.音声信号とデータ(DTMF信号)を同一の帯域に混在させて通信する無線通信方式があり, この方式では, データの帯域を消去して音声信号を聞きやすくするフィルタが要求される.我々が提案するアーキテクチャでは, 音声信号とデータの混在する信号を効率良くDTMF信号だけ消去できる高次帯域消去フィルタをFPGAで実現するために有用である.実際に設計したフィルタを実現する方法を示し, また実現した回路での実験結果を示す.
著者
横山 徹 三木 信弘 小川 吉彦 正木 信夫 島田 育廣 藤木 一郎 中村 祐二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.98, no.557, pp.57-64, 1999-01-22
被引用文献数
2

我々は, 声道の3次元形状を考慮した音声生成モデルの構築を目的として, 断層画像群を基に3次元声道形状のワイヤフレームモデルを構成する方法を提案した.そして声道形状を1次元縦続音響管モデルに近似することで声道伝達特性を推定した.しかし上記の変換の過程には多くの不確定な要素が含まれており, これらが伝達特性にどのように影響するかについての検討は成されていない.本稿では, その中でも特に音響的に影響すると考えられる要素として, 音波伝搬経路のずれ, およびセクション数の違い, および口唇形状を考慮することによって, 主要フォルマント周波数にどのような影響が出るかについて検討を行う.
著者
長谷山 美紀 永井 信夫 三木 信弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.1714-1724, 1993-12-25
被引用文献数
23

入力信号が未知のモデルについて,周波数重みを付けたモデル同定を可能とするARMA4線格子形フィルタが既に提案され,その応用が重要であることが述べられているが,乗算器個数が多いことが欠点とされていた.そこで本論文では,このような同定法が可能な乗算器個数の少ないARMA格子形フィルタの実現法を提案する.乗算器個数の削減は,直接計算量の削減につながり,特に適応処理を行う場合には重要である.本論文では,2種類のフィルタの実現法を提案している.提案されている2種類のARMA格子形フィルタは,実現に用いられる予測誤差の違いにより異なった性質をもつ.本論文では,提案する二つのフィルタおよび乗算器個数の多い従来のフィルタについて,各々を用いる場合にどのような点が異なるかを示す.最後に,本論文で提案するフィルタおよび従来のフィルタは,得られたラティス構造を保ったまま,信号合成フィルタとして用いることができることから,そのような応用を行った場合の係数感度についての考察を実験により行う.実験より,乗算器個数の削減による感度特性の劣化が生じていないことを確認する.