著者
前川 道隆 加藤 千洋 三木 祐介
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.265-270, 2020 (Released:2020-05-28)
参考文献数
18

医療現場では, 困難な決断を迫られることで医療チーム, 患者, 家族の間に軋轢が生じることがある. また, 腎不全が進行し透析の説明を受けることで, 病気や生活の変化に直面し, 透析治療を勧められても拒む患者もいる. 内的な動機づけが不十分なまま透析を始めると, 内服や透析へのアドヒアランス低下やセルフケアの不足などにより予後悪化や生活の質の低下につながる懸念がある. 本稿では, 高齢末期腎不全患者の透析拒否に動機づけ面接を用いた心理的アプローチで対応した事例を報告する. 治療への恐怖に寄り添うとともに, 治療を行った場合に得られる利益や家族との関係の重要性を意識できるように介入し, 透析を受けて生きていくという決意を患者から引き出した. 動機づけ面接は生活習慣病など行動変化を必要とする領域で有用性が実証されている技法だが, 患者の自律性を尊重し, 治療選択に関する両価性を扱うことを通し, 疾病受容を促すことにも活用できる.
著者
矢田 充男 高橋 香 三木 祐 鵜飼 克明 小林 英嗣 小松 由佳 石田 さやか 平間 麻衣子 一戸 集平 渡辺 真衣 水吉 勝彦 澤田 真樹
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
日本臨床薬理学会学術総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.2-P-O-6, 2021

<p>【はじめに】新型コロナウイルス感染症は、2019年12月以降、中国湖北省武漢市を中心に発生し、短期間で全世界に広がった。本邦において2021年2月14日に新型コロナウイルスワクチンとして販売名コミナティ筋注(以下「本剤」という)が特例承認となった。国立病院機構においては、投与初期における安全性確認を主たる目的としたコホート調査(以下「調査」という)を兼ね先行接種を行った。当院において、本剤先行接種に際し、医師、薬剤師、看護師、事務職員により構成された新型コロナウイルスワクチン検討チーム(以下「検討チーム」という)を立ち上げ、当院職員に対し本剤接種を安心・安全を第一に接種行うこととした。【目的】当院において2021年1月26日に検討チームの第1回目の打ち合わせを開始し、その後も随時打ち合わせを行いながらの対応となった。2月5日に本剤保管用のディープフリーザーの設置、2月12日より院内において本剤接種および調査の説明会を実施した。当院には2月18日に本剤が搬入となり、翌2月19日より接種を開始した。その後3月26日までの先行接種終了までの流れについて紹介する。【方法】当院職員を対象とした先行接種に1207名を対象に接種希望調査を実施し、1062名の職員が先行接種の希望をされ、うち2021年2月25日までに接種を受けた378名に調査にご協力いただくこととなった。ワクチン接種は院内大講堂を会場に行い、予診票等の事前確認、問診、接種、予診票等の回収という流れで行い、被接種者は接種後に大講堂若しくは職場等で観察を行い、一人で過ごすことがないような環境を整えた。【結果】本剤の接種にあたり、問診等は医師、本剤の管理・調製は薬剤師、接種は看護師、職員の接種スケジュール管理は事務、調査関係は治験管理室とそれぞれの役割を分担したことにより、接種を希望する全職員への接種は大きな問題はなく終えることができた。また調査における日誌の回収、データ入力についても関係各所に協力をいただきながら期限までに入力を終えることができた。しかしながら、各部署の担当者への負担が増加したところは否定できない状況であった。【考察】本剤先行接種に際し、各種情報が日々更新される中で、円滑に接種を終えることができたのは、医師、薬剤師、看護師、事務職員をはじめとした病院の全ての職員が一丸となり、一つのチームとして対応したことが一番の要因であると考える。</p>
著者
矢下 博輝 楠 由希奈 小野田 尚佳 野田 諭 田内 幸枝 三木 祐哉 大澤 政彦 大平 雅一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.1239-1243, 2019 (Released:2019-12-30)
参考文献数
7

症例は28歳,女性.1年間の無月経を主訴に近医を受診,テストステロン高値のため当院内科に紹介.165cm,55.2kg.陰核は軽度肥大,Cushing症候群を示す身体所見はなかった.血液検査では遊離テストステロン,dehydroepiandrosterone sulfateの異常高値を認めた.腹部造影CT検査で9×9×7.5cmの球状で境界明瞭な左副腎腫瘤を確認,内部は不均一な低吸収域を示した.リンパ節腫大や肺,肝転移は認めなかった.テストステロン産生左副腎癌疑いと診断し,開腹手術を行った.腫瘍は境界明瞭,周囲浸潤はなく被膜血流は豊富であった.剥離は容易で,中心静脈を結紮切離し,腫瘍を摘出した.病理組織では,核腫大や多核を伴う異型細胞が索状に増殖し,Weiss分類8/9,副腎皮質癌と診断した.経過良好で術後7日目に退院.退院後は明らかな転移再発はなく経過観察中である.
著者
三木 祐二 芝 公仁
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.33-34, 2019-02-28

アプリケーションはシステムコールを発行することでカーネルが提供する機能を使用する.システムコールの発行はユーザモードとカーネルモード間でのモードの遷移を伴い,発行から結果を受け取るまでの間アプリケーションはブロックされる.本稿では,システムコール並列処理機構を提案し,本機構がモード間の遷移回数を削減し,また,システムコールでアプリケーションをブロックしない非同期な処理を実現することを示す.また,本機構をシステムコールが集中的に発行されるアプリケーションに適用し,システムコールを並列に処理させることによって,マルチコア環境においてアプリケーションのスループットが向上することを示す.