著者
三輪 芳明
出版者
JAPAN ASSOCIATION OF INTERNATIONAL RELATIONS
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.112, pp.158-174,L17, 1996-05-18 (Released:2010-09-01)
参考文献数
53

The purpose of this paper is to to examine the prospects for Finnish security policy in the foreseeable future by following the arguments on security alternatives after the application of EC (EU) membership in March 1992.The end of the Cold War forced Finland to reconsider the premises of her neutral policy. The confrontation of two blocks, in which Finland found room to pursue neutral policy, ceased to exist, and the withdrawal of former Soviet's forces from East Eupopean countries increased the strategic importance of Nordic area Pondering these changes, Finland decided to apply for EC (EU) membership, and determined that the core of the neutral policy is military non-alignment and a credible, independent defence. As for the relationship of these policies to the common foreign and security policy (CFSP) of EU, Finland takes a interpretation that observer status of WEU is compatible with the amended neutrality, as WEU is a crisis management organization. The purpose of the applicastion was to ensure its security in a changed situation by participating actively in the formation of the new security order of Europe.Toward the application to EC membership, some advocates of EC membership began to insist on the necessity to establish an institutional relationship with NATO, some maintaineded even the possibility of joining it. These arguments on NATO membership calmed down in the autumn of 1993, when the positive attitudes of Russia toward NATO turned to negative. While the major concern of Russia has been directed to the East European countries, it was highly probable that any attempt to approach NATO would strain the relationship with Russia owing to the Finnish position as a neighbouring country of Russia as well as the increased strategic importance of Nordic area In November, the then president Mauno Koivisto, made it clear that Finland would continue to pursue the neutral policy as any imminent and concrete menace against Finland was foreseeable. What was important for Finnish security was, according to the president, indirect security obtained through EU membership.The main issue for the Finnish security policy in the foreseeable future is whether the amended neutrality functions in the changed situation or not. It depends on how the EU and Russia estimate this policy. From the viewpoint of stability of Nordic area this policy could be in the interest of both. For Russia, this is a much better alternative than of Finland seeks to join WEU, whose membership could lead to the membership of NATO. For the EU whose border has come to touch with Russia, to maintain the stability is a matter of essential interest. One way to make this policy function more effectively in a way to serve for the EU and Russia may be to search for a possibility to cooperate with Sweden, as she is also a new EU member state and pursues neutrarity. Through this cooperation, neutrarity could be incorporated in CFSP as an institutionaized element.Another main issue is the validity of the concept of indirect security in the longer term. In case imminent and concrete menace emerges, would the EU membership be enough to ensure security, or should Finland consider joining NATO? If the latter's case is not excluded, this concept remains to be a transitional one. This problem of NATO membership is, however, premature. It depends ultimately on the advantages gained by NATO membership. But the function of NATO in the new security order of Europe is still unclear, especially in the context of nucler deterrence. The essential points, when Finland considers membership, are the reliability of the nuclear deterrence and the repercussion to be caused by joining NATO; among other things, endangerment of the regional stability of Nordic area.
著者
根岸 淳二郎 萱場 祐一 塚原 幸治 三輪 芳明
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.37-50, 2008
参考文献数
139
被引用文献数
4

軟体動物門に属するイシガイ類二枚貝(イシガイ目:Unionoida)は世界各地の河川や湖沼に広く生息し国内では18種が報告されている。特に流水生の種は土地利用の変化や河川改修の影響で国内外種ともにその生息範囲の縮小および種多様性の低下が懸念されている。これまで国内でイシガイ類に関する様々な優れた知見が蓄積されているが、その多くが基礎生態の観点から行われたものである。特に北米地域では高いイシガイ類の種多様性(約280種)を背景にして、基礎から応用にいたる様々な有用な研究事例が報告されており、イシガイ類の分布に影響を与える環境条件として、洪水時における生息場所の水理条件や、宿主魚類の分布が重要であることが明らかにされつつある。また、その生態的機能も評価され、底生動物群集や水質に大きな影響を持つ可能性も指摘されている。既往のイシガイ類二枚貝に関する生態学的研究の整理から、国内では、稚貝の生態や餌資源等に関する基礎的研究、さらに好適生息場所環境条件や生態的機能等に関する応用的側面からの研究が不十分であることが明らかになった。イシガイ類を介して成立する陸水生態系全体の保全のためこれらの分野における研究の進展が必要であることを示した。
著者
根岸 淳二郎 萱場 祐一 塚原 幸治 三輪 芳明
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 = Ecology and civil engineering (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.195-211, 2008-12-30
参考文献数
113
被引用文献数
8 27

イシガイ目二枚貝 (Unionoida,イシガイ類) は世界各地の河川・湖沼に生息し世界では合計約1000種,国内では18種が報告されている.特定魚類が産卵母貝として必要とすること,またイシガイ類も特定魚類に寄生することが必要であることなどから生息環境の状態を示す有効な指標種として機能する.国内外種ともにその生息範囲の縮小および種多様性の低下が懸念され,約290種が報告されている北米ではその約70%程度の生息環境の劣化が危惧されている.わが国では,数種の地域個体群がすでに絶滅し,13種までが絶滅危惧種の指定を受けている.イシガイ類の生息環境劣化には直接的要因(個体採取)と間接的要因(河川改修など)の両者が考えられる.近年は外来種の侵入による悪影響が心配されている.これまでの国内外の研究から,国外で報告される主な生息環境が比較的規模の大きな河川であるのに対し,国内では農業用排水路のような強度に人為的影響を受けた環境がイシガイ類にとって重要な生息環境であることが分かる.このことは,わが国独自の生息環境に基づいた研究知見を蓄積する必要性を示している.岐阜県関市で観察された農業用排水路の改修前後で見られた環境の変化は,主に横断・縦断方向の両方向の環境多様性の著しい低下,およびイシガイ類の生息密度の明らかな低下であった.これらを改善するために,側方構造物および堰板の設置行われたが,水路の環境を改修以前のものに近づけるには効果的であった.効率的な生息場所保全や再生事業が行われるためには,過去の事業の工程および結果がその成功・失敗にかかわらず積極的に公開されるべきである.地域レベルでの活動の事例や成果等が広く共有されることが国土全体を視野にいれた生息場所保全に重要である.
著者
根岸 淳二郎 萱場 祐一 塚原 幸治 三輪 芳明
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.195-211, 2008 (Released:2009-03-13)
参考文献数
113
被引用文献数
38 27

イシガイ目二枚貝 (Unionoida,イシガイ類) は世界各地の河川・湖沼に生息し世界では合計約1000種,国内では18種が報告されている.特定魚類が産卵母貝として必要とすること,またイシガイ類も特定魚類に寄生することが必要であることなどから生息環境の状態を示す有効な指標種として機能する.国内外種ともにその生息範囲の縮小および種多様性の低下が懸念され,約290種が報告されている北米ではその約70%程度の生息環境の劣化が危惧されている.わが国では,数種の地域個体群がすでに絶滅し,13種までが絶滅危惧種の指定を受けている.イシガイ類の生息環境劣化には直接的要因(個体採取)と間接的要因(河川改修など)の両者が考えられる.近年は外来種の侵入による悪影響が心配されている.これまでの国内外の研究から,国外で報告される主な生息環境が比較的規模の大きな河川であるのに対し,国内では農業用排水路のような強度に人為的影響を受けた環境がイシガイ類にとって重要な生息環境であることが分かる.このことは,わが国独自の生息環境に基づいた研究知見を蓄積する必要性を示している.岐阜県関市で観察された農業用排水路の改修前後で見られた環境の変化は,主に横断・縦断方向の両方向の環境多様性の著しい低下,およびイシガイ類の生息密度の明らかな低下であった.これらを改善するために,側方構造物および堰板の設置行われたが,水路の環境を改修以前のものに近づけるには効果的であった.効率的な生息場所保全や再生事業が行われるためには,過去の事業の工程および結果がその成功・失敗にかかわらず積極的に公開されるべきである.地域レベルでの活動の事例や成果等が広く共有されることが国土全体を視野にいれた生息場所保全に重要である.
著者
根岸 淳二郎 萱場 祐一 塚原 幸治 三輪 芳明
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.37-50, 2008-03-30 (Released:2016-09-16)
参考文献数
139
被引用文献数
7

軟体動物門に属するイシガイ類二枚貝(イシガイ目:Unionoida)は世界各地の河川や湖沼に広く生息し国内では18種が報告されている。特に流水生の種は土地利用の変化や河川改修の影響で国内外種ともにその生息範囲の縮小および種多様性の低下が懸念されている。これまで国内でイシガイ類に関する様々な優れた知見が蓄積されているが、その多くが基礎生態の観点から行われたものである。特に北米地域では高いイシガイ類の種多様性(約280種)を背景にして、基礎から応用にいたる様々な有用な研究事例が報告されており、イシガイ類の分布に影響を与える環境条件として、洪水時における生息場所の水理条件や、宿主魚類の分布が重要であることが明らかにされつつある。また、その生態的機能も評価され、底生動物群集や水質に大きな影響を持つ可能性も指摘されている。既往のイシガイ類二枚貝に関する生態学的研究の整理から、国内では、稚貝の生態や餌資源等に関する基礎的研究、さらに好適生息場所環境条件や生態的機能等に関する応用的側面からの研究が不十分であることが明らかになった。イシガイ類を介して成立する陸水生態系全体の保全のためこれらの分野における研究の進展が必要であることを示した。