著者
森 達哉 木村 達明 池田 泰弘 上山 憲昭 川原 亮一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.287, pp.5-10, 2010-11-11

本研究は分散コンピューティングシステムにおいてMapReduceによる大規模データ処理を実行した際にシステム全体に生じるワークロードをネットワークの観点から分析した結果を報告する.12台の計算機で構成されるHadoopクラスタを利用し,Masterサーバおよび各々のSlaveサーバで取得したMapReduce Jobのログ,およびSlaveサーバ間の通信をキャプチャしたデータを収集した.はじめにMapReduceジョブを構成する各々のタスクとネットワークに生じ得る負荷の関係をケーススタディによって明らかにする.つぎに,MapReduceに与えるパラメタによって,ノード間のデータ転送に用いられるTCPフローのサイズ,持続時間,レートの分布が変わることを示す.最後にMapReduceジョブによるネットワーク負荷を計測する際に注意すべき点について論じる.
著者
上山 憲昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICM, 情報通信マネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.275, pp.41-46, 2009-11-05

NWトポロジ設計時には,コストや信頼性等の様々な評価尺度を同時に考慮する必要がある.そこで筆者は,意思決定において関連する要素を階層構造で把握し合理的な意思決定を行う手法として知られるAHPをNWトポロジ評価に適用したが,NW規模の増加に伴い候補集合の生成に要する時間が爆発的に増大する.そこでリンクの設置可能な候補位置を少数に限定することで,大規模NWに対しても現実的な時間で候補トポロジ集合を生成することを検討した.しかし特定の位置には常にリンクが設置され,また大部分の候補位置には常にリンクが設置されないため,生成されるトポロジが特定の形状に偏り,得られる候補トポロジ集合の多様性が低い.そこで本稿では,トポロジの各評価尺度の最大化を目的に自律的に行動するエージェントから構成されるマルチエージェントシステムを考え,エージェントの相互作用を利用することで,多様なトポロジ候補を短時間に生成することを提案する.
著者
上山 憲昭 森 達哉 川原 亮一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.628, pp.165-170, 2006-02-23
参考文献数
17
被引用文献数
3

近年,ワーム,ウィルス,DDoS等が引き起こす異常トラヒックが,ネットワークに深刻な被害をもたらすことが問題となっている.DDoSの踏み台にされたホストや,ワームやウィルスに感染したホストは,個々のフローサイズは小さいものの短時間に大量のフローを生成するという特徴がある.そのため,短時間に大量のフローを生成するホスト(フローHog)を早急に特定し,ネットワークから切り離すといった対処をとることが重要となる.本稿では,フローサンプリングによって得られた情報からフローHogを高精度に特定する方式を提案する.
著者
上山 憲昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.83, no.7, pp.999-1011, 2000-07-25
被引用文献数
17

IP網の帯域割当サービスに対して定額課金を適用した場合, 同一料金を支払っているにもかかわらず, ふくそう時にはサービスを利用できるユーザと利用できないユーザが生じることから, ユーザ間の公平性が満たされない.そこで各々の通信セッションを課金単位とする新しい課金手法を提案する.提案手法では, 個々のサービスに応じた料金をセッションを単位に設定でき, またユーザは使用した量に応じて料金を払えばよく, ユーザ間の公平性が満たされる.セッション価格にサービス要求発生率と発呼時の同時接続数という二つの網状態を反映させることにより, 総需要を平滑化し呼損率の低減と網収入の向上を図る.ユーザの選択行動を非集計行動モデルで, サービス需要を数量化理論I類のカルマンフィルタモデルで各々予測し, 網収入を最大化する最適価格セットを導出, 適用する.数値計算により, 定額課金や静的課金モデルに対する提案方式の有効性を示す.