著者
武田 昌一 長谷川 優 津久井 勤 桐生 昭吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.404, pp.141-146, 2015-01-15

競技かるた選手の間で「熟達した競技かるた選手は決まり字の前に来る音素の微妙な違いによって,次に何の字が来るか予測できる」と言われている.このことを,聴取実験と音響分析を組み合わせて,選手が出札を認識する時刻を精密に計測する手法を考案し用いることにより実証した.また,この認識結果を用いて,決まり字直前で出札を認識した音素部の音響的特徴を「た」で始まる首を例として,サウンドスペクトログラムとフォルマント周波数の分析により調べた.その結果,後続音素(子音や続く母音)のフォルマント周波数の特徴に従って,第2フォルマント周波数の時間に対する上昇,下降,不変,高域周波数の増大などの特徴の違いが見られることがわかった.
著者
今城 健太郎 長谷川 剛 谷口 義明 中野 博隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.455, pp.93-98, 2011-02-28
参考文献数
22

現在,数時間以内の降水量の予報は,雨域を観測しその移動を補外する方法によって行われている.これは補外法が,数時間以内の予報においては,物理法則に基づき大気の状態変化を計算を行う方法に比べ,同程度の精度を得るのにかかる計算時間が短いためである.一方,近年多発している都市型水害をもたらす集中豪雨を早期に発見し予報を行うには,現在気象庁が予報に用いている気象レーダーでは解像度および観測頻度ともに十分とは言えない.これに対し,より高解像度かつ高頻度な観測データを得るため,現在の気象レーダーより高性能なレーダーの配備が進んでいる.しかし現在,そのような高性能レーダーを用いた降水量の恒常的な予報は行われていない.そこで本稿では,高性能レーダーの観測結果を用いて分単位の降雨予報を行う手法を提案する.提案手法は複数の時刻の観測データを基に,ブロックマッチングアルゴリズムを用いてオプティカルフローを検出し,それ以後の雨域の予報を行う.評価の結果,気象庁が提供している予報情報であるナウキャストと比較し,5分後から1時間後の以内の予報において,25%以上高い精度が得られることを確認した.
著者
浅野 博文 橋本 陽介 間瀬 憲一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.14, pp.37-42, 2003-04-11

本論文では,ブルートゥースマルチホップ無線ネットワークの実験システムを構築し,データ配信に関して実験的な検討を行う.ネットワーク構築方法として,3通りの方法を考える. PAN(Personal Area Networking)プロファイルを用いて各端末をデータリンクレベルのブリッジとして動作させる場合,PAN Profileを用いて各端末をルータとして動作させる場合,LAN Access Profileを用いる場合である.実験のネットワーク構成は,マスター/スレーブブリッジを介する4ホップのストリング型ネットワークである.各端末をルータとして動作させる場合において,AODV(Ad hoc on Demand Distance Vector)のルーテイングプロトコルを実装した.それぞれのネットワーク構成において,1〜4ホップのPingによるRTT測定,品質測定ツールNetperfによるスループット測定によって性能評価を行った.これにより,安定した通信を行うためのマルチホップ無線ネットワーク実現条件を明らかにした.
著者
武藤 大志 多田 匡志 岩村 雅一 黄瀬 浩一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.373, pp.109-114, 2010-01-14

近似最近傍探索は,クエリと最も距離が近い点を探索する最近傍探索の計算時間,メモリ使用量を大幅に削減する手法である.一般に精度,計算時間,メモリ使用量はトレードオフの関係にあり,その関係を解析することは,様々な場面に近似最近傍探索を適用する上で,重要な課題である.本稿では,ハッシュを利用した近似最近傍探索において,文献[1]〜[4]で行われている"隣接バケットを参照する"方策のモデル化を行い,精度とメモリ使用量に関して理論式を求める.そして,実験とシミュレーションにより理論式の妥当性を検証する.
著者
池川 隆司 高橋 幸雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.660, pp.11-16, 2004-02-12

ビット誤り率が極めて高い無線ネットワーク環境では、TCP、HDLCのような誤り回復機能を有する通信プロトコル(ここでは、信頼転送型ウインドウプロトコル:RWPと呼ぶ)によって、ビット誤りもしくは順序誤りにより廃棄されたフレーム(リンクレベルのデータ)の再送は頻繁に発生する。本論文では、Bernoulli無線リンクにより接続されたネットワーク環境において、RWPによるフレーム再送を考慮した平均フレーム長の解析手法を提案する。その解析手法を使って、実測値に基づきメッセージ長の分布を離散分布と一般化Erlang分布で近似した場合のビット誤り率に対する平均フレーム長の増加率を考察する。この数値例では、選択再送もしくはウインドウサイズが小さいgo-back-N再送において、ビット誤り率が高い場合、再送による平均フレーム長の増加率は無視できないことを示す。
著者
遠藤 守 安田 孝美 横井 茂樹 林 良嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.635, pp.37-42, 2002-01-31
参考文献数
8
被引用文献数
1

コンピュータ上に構築した3次元の仮想都市空間内に仮想人間を導入するための仕組みを提案し,都市空間を構成する物体を効果的に管理する手法を開発した.本稿では仮想人間の動作を付与する仕組みを提案し,インデックスに基づくデータベースを用いてすべての情報を管理する具体的な仕組みについて述べる.提案手法を実現するにあたりインターネットを通して操作可能なインターフェースからなるシステムを構築した.これによりコンテンツ作成者や利用者は容易に都市空間を構築・体験することが可能となる.また構築したシステムの応用として空間内のキャラクタを主人公としたドラマ化手法を開発し,コンテンツを製作したのでここに報告する.
著者
中洲 俊信 チャンドラシリ N.P. 苗村 健 原島 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.632, pp.7-12, 2005-01-20

筆者らは, 誰でも「対象人物の雰囲気をうまく表現した似顔絵」を作成できるようなシステム作りを目指して, 対話型GAを用いた似顔絵作成システムの実装に取り組んでいる.一般に, 対象人物の印象に影響を与える大きな要因の一つに「髪型」が挙げられる.しかしながら, 似顔絵作成システムに関する従来研究では, 個人差が大きく扱いが困難であるという理由から, すでに用意しておいた髪画像を用いたり対象人物の写真を加工したりすることで簡易的に髪を表現するものが多かった.本論文では, 対話型GAを用いた似顔絵作成システムへの導入に向けて, 数個のパラメータで構成される髪モデルを考案した.まず, 髪を複数のカテゴリーに分割し, 髪型集を参考に, 各カテゴリーについて高い頻度で出現する髪要素を選び出した.それらをもとに髪モデルの設計を行い, 表現力についての検討を行った.
著者
森 達哉 木村 達明 池田 泰弘 上山 憲昭 川原 亮一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.287, pp.5-10, 2010-11-11

本研究は分散コンピューティングシステムにおいてMapReduceによる大規模データ処理を実行した際にシステム全体に生じるワークロードをネットワークの観点から分析した結果を報告する.12台の計算機で構成されるHadoopクラスタを利用し,Masterサーバおよび各々のSlaveサーバで取得したMapReduce Jobのログ,およびSlaveサーバ間の通信をキャプチャしたデータを収集した.はじめにMapReduceジョブを構成する各々のタスクとネットワークに生じ得る負荷の関係をケーススタディによって明らかにする.つぎに,MapReduceに与えるパラメタによって,ノード間のデータ転送に用いられるTCPフローのサイズ,持続時間,レートの分布が変わることを示す.最後にMapReduceジョブによるネットワーク負荷を計測する際に注意すべき点について論じる.
著者
尾久土 正己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.373, pp.207-211, 2010-01-14

皆既日食は古代の人々にとってはまさに天変地異であった.しかし,従来のTVやインターネットで放映されている日食の映像は太陽にフォーカスされており,その劇的な変化の一部しか表現出来ていない.そこで,我々は4Kの超高精細映像システムを使ってドームスクリーン上に日食を再現することに挑戦した.本報告では,我々のシステムとそれを使った実験の教育効果について紹介する.
著者
福田 裕海 山岡 克式 酒井 善則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.441, pp.47-52, 2004-11-11

IPでの移動性を実現するモバイルIPに関してハンドオフ時の切断時間とそれに伴うパケットロスに関する様々な検討が行われているが,ストリーミングアプリケーション利用時にハンドオフ時の経路変更が引き起こす遅延変動により生じる移動端末の再生品質劣化についてはほとんど検討されていない.そこで本研究ではこの問題を解決する新しいハンドオフ手法を提案する.本提案方式では,ハンドオフごとに複数の経路を設定,保持し,ストリーミングの再生に適した遅延変動の少ない経路を移動端末がハンドオフ時に受信経路として選択することによりハンドオフ時のストリーミング再生品質劣化を減少することが可能となる.これにより再生ストリーミングの初期バッファ量を減少させることができ,再生遅延やバッファ量の減少が可能となる.計算機シミュレーションにより提案方式の有効性を示した.
著者
星合 隆成
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.306, pp.45-55, 2001-09-07
被引用文献数
6

著者は、1998年にブローカレス型探索モデル(ブローカレスモデル)を提唱して以来、その実現技術として「意味情報ネットワーク(SIONet:Semantic Information-Oriented Network)」をこれまで提案してきました。そして、1998年末にSIONetプロトタイプα版、1999年末にSIONetプロトタイプβ版の試作を完了しました。さらに、2000年末にSIONet ver.1.0の開発を完了しました。本稿では、ブローカレス型探索モデルを紹介することにより、「P2Pの本質」について論じます。さらに、ブローカレス型探索モデル(P2Pモデル)の実現技術であるSIONetについて解説します。
著者
下田 圭悟 行田 弘一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.118, pp.19-24, 2010-07-01

地震等の大規模な災害が発生した際,加入者電話網や携帯電話網のネットワーク等既存の通信インフラは,回線の混雑やケーブルの寸断等により利用できない場合がある.そこでこのような場合の通信手段として,インフラに依存せずネットワークを構築可能な無線アドホックネットワークの利用が期待されている.携帯端末を用いて無線アドホックネットワークを構成する場合,端末(利用者)の移動に対応し,自律的に通信経路を維持することが課題としてあげられる.また,端末のバッテリー容量には限りがあるので,接続1生を高める一方で電力をより低くすることが重要である.本稿ではアドホックネットワークを用いた場合のデータ配信率の向上および消費電力の低減を目的とし,AODVにおける経路情報保持時間とデータパケットの送信間隔を制御した場合のデータ配信率と経路情報パケット量との関係を明らかにする.
著者
松下 弘幸 岩田 圭介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ
巻号頁・発行日
vol.98, no.470, pp.39-43, 1998-12-14
参考文献数
8

1997年12月16日にテレビ東京系列で放送されたテレビアニメ「ポケットモンスター」第38話を見ていた700人近くの視聴者が、コンピューターの中を描いた赤と青の速い点滅が続くシーンを見て、光感受性発作を起こした。英国における同様のケースの原因調査のために行われた研究を考察し、光感受性発作やパターン過敏性発作の可能性を低減させるためのアニメ番組製作ガイドラインについて述べる。
著者
大岸 智彦 阿野 茂浩 長谷川 亨 加藤 聰彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.134, pp.1-6, 2007-07-05

顧客にインターネット接続を提供するプロバイダは,自身のネットワークの安定運用を図るだけでなく,顧客から現在・過去の接続障害の原因を問われた場合に,適切な回答を行うことが求められる.しかしながら,多くの障害申告に対し,ネットワーク状態の調査結果を適切に準備することは,運用者にとって多大な業務となる.これは外部プロバイダから得られるネットワーク状態に関する情報が,公開されたBGPデータ等に限られていることに起因する.本稿では,データベースの利用により,ネットワーク状態の迅速な検索を行う経路検索システムについて提案する.本稿では,システムの設計,実装および性能評価結果について述べる.
著者
舟谷 文男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ
巻号頁・発行日
vol.98, no.618, pp.5-8, 1999-02-25

北九州市は、政令指定都市の中でも高齢化が進行しており、行政の立場や一般市民の立場から幅広く高齢社会対策が展開されてきている。そこでは、介護保険制度にも適合する小学校区を基本単位とし、それを区から全市へと積み上げて行く三層構造の地域区分がなされ、相手の顔が見えるFace to Faceの「ふれあいネットワーク」を基礎とするまちづくりが推進されてきており、そのシステム化の概要と要点を報告する。
著者
三上 雄一郎 牧方 康裕 北脇 信彦 山田 武志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.121, pp.49-54, 2009-07-02
参考文献数
7

全IP(Internet Protocol)技術を特徴の一つとする次世代ネットワーク(NGN:Next Generation Network)における音サービスの主たる品質要因は,時間連続的な符号化ひずみ,時間離散的なパケット損ひずみ,及び信号の周波数帯域制限ひずみである.筆者らは,これまで楽音信号に対して,連続ひずみ,離散ひずみ,帯域制限ひずみを考慮した客観品質評価法を検討してきた.本稿では,同じ構造の客観品質推定尺度を用いて,音声信号の客観品質推定について検討し,楽音と音声の双方に適用できる客観品質評価尺度の開発を目指す.
著者
伊東 和廣 望月 要 大西 仁 中村 直人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.191, pp.49-52, 2009-09-03
参考文献数
5
被引用文献数
6

人間は音声言語を使ってコミュニケーションする場合でも,相手の表情から様々な情報を読み取り,それによって音声情報を補うことでコミュニケーションを円滑にしている.特に音声の補完を行う場合には,話者の口唇の動きから聴覚だけで聞き取れなかった情報を補っていると考えられる.本稿は,発話内容の聞き取りにおける,発話者の顔面の視覚情報の役割を実験的に検証したものである.実験では,短文を発話する映像を用いて,「音声のみ」を聞いた場合と「音声+顔映像」を提示した場合とで音声聞き取りの正確さの比較を行った.この時,音量の異なるノイズを音声に重ね合わせることで,聞き取りの難易度と,顔映像の聞き取り貢献の関係を探った.同時に,被験者の視線の動きをアイマークレコーダで計測し,視線の動きと音声補完との関係を調べた.その結果,ノイズを付加しない場合には,顔映像を提示しても音声の聞き取り率は向上せず,被験者は発話者の目元を注視する傾向が認められたのに対し,ノイズがある場合には,顔映像を提示することで音声の聞き取り率が向上し,被験者は発話者の口元を注視することが多いことが明らかになった.このことは,音声言語を主体とするコミュニケーションにおいても,音声情報が劣化した場合には,視覚情報を利用して音声を補完していることを示している.
著者
石井 壮介 力宗 幸男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.310, pp.13-18, 2004-09-10
被引用文献数
1

本稿では、ユーザに単語の「意味」や「定義」を提供するために、検索エンジンでのWWW検索結果を係り受け解析を用いて絞り込む手法を実装したシステムの開発を行った。具体的には、調べたい単語を含む文をGoogleの検索結果を用いてWeb上から引っ張り、その文を係り受け解析し、どの程度の確率でその文が単語の意味を表しているのかを表示するようにした。その評価の結果から、一般的な国語辞典に比べて、俗語や専門用語の意味を検索するのが得意である、新語辞典よりも索早く新語に対応することが出来るといったことなどが明らかになった。
著者
武田 昌一 長谷川 優 津久井 勤 桐生 昭吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.404, pp.141-146, 2015-01-15

競技かるた選手の間で「熟達した競技かるた選手は決まり字の前に来る音素の微妙な違いによって,次に何の字が来るか予測できる」と言われている.このことを,聴取実験と音響分析を組み合わせて,選手が出札を認識する時刻を精密に計測する手法を考案し用いることにより実証した.また,この認識結果を用いて,決まり字直前で出札を認識した音素部の音響的特徴を「た」で始まる首を例として,サウンドスペクトログラムとフォルマント周波数の分析により調べた.その結果,後続音素(子音や続く母音)のフォルマント周波数の特徴に従って,第2フォルマント周波数の時間に対する上昇,下降,不変,高域周波数の増大などの特徴の違いが見られることがわかった.