著者
下仲 順子 中里 克治 権藤 恭之 高山 緑
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.138-147, 1998-03-31 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
25 27

本研究の目的は日本版NEO-PI-R作成とその因子的妥当性の検討である.NEO-PI-Rは人格の5因子モデルに基づく人格テストで, 青年から老人までを含む幅広い年齢層に適用するよう作られ, 元はCosta &amp McCrae (1985, 1992b) により公刊されたものである.NEO-PI-Rをバックトランスレーションをふくむ何回かの予備的検討を経て日本版を作成した.次に本テストを学生245名と老人232名からなる対象者に施行した.Cronbachのα係数, 探索的因子分析, プロクラステス法による確認的因子分析から, 本テストが十分な信頼性と妥当性を持つことが示された.結果は比較文化的文脈からも考察された.
著者
高山 緑 下仲 順子 中里 克治 権藤 恭之
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.22-35, 2000-09-30 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
4

本研究ではBaltesらの知恵の測定法の日本語版を作成し, その信頼性と妥当性の検討を行った.知恵は知恵に関わる5つの知識(宣言的知識, 手続き的知識, 文脈理解, 価値相対性の理解, 不確実性の理解)から評定し, 総合得点を知恵とした.課題には人生計画課題(様々な人生場面における仕事と家庭との葛藤を解決する)と人生回顧課題(架空の人物の人生を回顧する)を用いた.成人・高齢者197名(60-86歳)を対象に調査を実施し, 信頼性と基準関連妥当性の検討を行ったところ, 以下の結果が得られた.1)信頼性に関して, 人生計画, 人生回顧課題ともに高い評定者間信頼性が得られた.2)理論モデルから予想されたように, 知恵に関わる知識間には中程度以上の相関関係が示された.3)知能, 日常的知能, 教育年数を外部基準とした基準関連妥当性の検討からは, 人生計画場面において十分な妥当性が示された.4)人生回顧場面でも妥当性を示す根拠がいくつか示された.
著者
権藤 恭之 高橋 龍太郎 増井 幸恵 石崎 達郎 呉田 陽一 高山 緑
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、高齢期におけるサクセスフルエイジングを達成するためのモデルが加齢に伴って、機能維持方略から論理的心理的適応方略、そして非論理的超越方略へと移行するという仮説に基づき実証研究を行ったものである。70 歳、80 歳、90 歳の地域在住の高齢者 2245 名を対象に会場招待調査を実施しそれぞれ関連する指標を収集した。その結果、高い年齢群ほど身体機能、認知機能の低下が顕著である一方で、非論理的適応方略の指標である老年的超越の得点は上昇しており、高い年齢になるほどサクセスフルエイジング達成のために非論理的適応方略が有効であることが示唆された。