著者
下村 彰男
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.55-60, 1987-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
51
被引用文献数
1

観光地特に自然風景地に俗化等の問題をもたらす主要因の一つである交通機関の変遷を観光との関係から検討し時代区分を行った。その結果, 鉄道による第1期 (明治中期~明治末), 乗合自動車による第2期 (大正時代) 遊覧バス, ケーブルカーによる第3期 (昭和初期~昭和20年代), ロープウェイ, 展望道路による第4期 (昭和30年代), 自家用車, 高速道路による第5期 (昭和40年以降) の5区分を得た。
著者
山下 結 伊藤 弘 小野 良平 下村 彰男
出版者
Japanese Institute of Landscape Architecture
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.677-682, 2012
被引用文献数
2

This study aims to clarify the changes of the relationship between green spaces and residents on Tamagawa Josui Green Way and to get hints on green preservation method. Changes of the relationship are considered by Policy changes, place changes and residents' consciousness changes. As the result of the study, from Edo era to 1950, Green Way was not intimate and was only visited for seeing cherry blossoms because Tamagawa Josui is at the edge of the villages. From 1950 to 1970, new community was created around Green Way through urban expansion. Green Way was very appreciated as a natural spot with images of Musashino by the immigrants. From 1970 to 1990, Green Way lost natural charm by artificial park construction and Tamagawa Josui drain. Residents started preservation activities. Since 1990, the image of Musashino with copses and canals revived on Green Way. In recent years cafes and concert houses appear along Green Way. Residents are enjoying Green Way in their daily life by designing their gardens or houses to melt into Green Way. As a result, it is suggested that the Tamagawa Josui scenic zone using the image of Musahino kept Green Way. When green space connects surround, residents tend to appreciate green spaces and to have daily relationship with green spaces.
著者
沈 悦 下村 彰男 竹田 直樹
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.389-392, 2000-03-30
参考文献数
36

本研究は,中国明・清時代における平地作庭の「石組」に着目し,その造景手法について考察することを目的とした。研究の方法は関連する歴史文献,実測図等により,石組の発達史を踏まえながら,図面データ及び現地調査による定量分析を行った。その結果,中国明・清時代における石組の特徴を明らかにするとともに造景手法との関係についても明らかにした。特に石組における配石構成の特置及び仮山は,造景手法に広く関係し,平地作庭の造景に重要な役割を果たしていることがわかった。
著者
下村 彰男
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.241-246, 1993-03-24
被引用文献数
2 4

明治以降の近代観光の展開の中で,温泉地の滞在空間としての魅力低下の原因の一つとして,温泉地空間の構造性の弱化があげられる。本報では,近世において形成された温泉地空間の構造性が,交通機関や土木・建築技術の進展,観光の大衆化(大量化)などの影響を受けて,徐々に損なわれてゆくプロセスを明らかにすることを目的とする。対象地として,空間構造の変容程度に差異のある熱海(大),伊香保・草津(中),城崎(小)を取り上げ,空間構成(要素+構造)の変遷を調査し,分析を行った。その結果,温泉地が近世の湯治場から明治・大正の保養温泉地,そして昭和の温泉観光地へと展関する過程で,その空間構成は,開放系化,集合体化,均質空間化か徐々に進み,これら各ベクトルが複合して,構造性の弱化が進んだことが明らかとなった。
著者
國村 周平 伊藤 弘 小野 良平 下村 彰男
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.845-848, 2009
被引用文献数
3

道路の高架下空間は従来その管理上の観点から、原則として、広場、公園、駐車場などの公共性の高い利用のみなされており、しかも周辺環境を必ずしも考慮せずに設置されてきたものが少なくない。過密な都市環境の中で高架下は現在においてもその空間の活用が一定度行なわれ、そこには公園や広場も存在する中で、その設置状況や利用の実態については把握されていない。これに関連しては鉄道の高架下に関しての研究があり、都心から15km圏内で盛んに活用され、都心から離れるに従って用途が変化していくことなどが知られている。また、道路では、高架下公園の構造上のタイプ分けに関する研究がある。しかしいずれにしても公園の具体的な利用状況には触れていない。そこで、本研究では調査対象地選定のために首都高高架下への公園等の設置状況を把握した後、地域住民による利用のされかたの特徴を明らかにし、特殊な空間である道路高架下環境とそこでなされる活動の関係を明らかにし、今後高架下の活用を考える際の一助としたい。
著者
下村 彰男 江頭 俊昭
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.307-312, 1992-03-31
被引用文献数
2

レジャー,レクリエーションは「楽しさ」や「やすらぎ」といった心(情緒)的情報を提供する活動であり,その活動の場である遊楽空間は情報提供のための空間装置として,その装置性,構造性が追求・計画されるべきであると考える。そこで,その基礎資料とするべく,本研究では近世における遊郭,芝居町など,心的情報提供空間の装置性に関して,文献・資料調査を中心に検討を加えた。その結果,(1)境界,(2)階層構造,(3)「導入」装置,(4)「繁・華」装置に大きな特徴がみられ,空間全体のイメージアビリティを高め,別世界性を強調すると同時に,気持ちの切り替えや雰囲気の高揚を促す仕組みを有していることが明かとなった