著者
石井 彩子 宇田川 友克 柳 清 今井 透
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.279-283, 2003-08-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
14

スギ花粉症の患者は年々増加傾向で, 現在では国民の10%以上が罹患しており, スギ花粉症は日本人の国民病といわれている。その影響は, 在日外国人にも及んでいる模様で, 花粉症症状を訴えて来院する外国人も年々増加傾向にあると考えられる。その実態を調査するため, 平成14年1月から4月までの期間に鼻汁, 鼻閉, くしゃみ等のアレルギー症状を主訴に聖路加国際病院耳鼻咽喉科を受診した在日外国人患者38人のうち, 血清スギ特異的IgE抗体測定にてスギ花粉症が確認された20人 (男性 : 12人女性8人) を対象にアンケート調査を施行した。来日後発症までの期間は平均約4年であった。在日外国人のスギ花粉症に対する認知度は低い傾向にあり, スギ花粉情報の提供も含めた啓蒙活動が必要であると考えられた。
著者
今井 透 遠藤 朝彦 吉村 剛 宇井 直也 大久保 公裕 藤倉 輝道 新井 寧子 余田 敬子 北嶋 整 相田 瑞恵 小津 千佳 酒主 敦子 森山 寛
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.427-438, 2005

東京都において, 観測史上最多のスギ花粉飛散を記録した20o5年に, 多施設共同でスギ花粉症に対するラマトロバンおよび抗ヒスタミン薬との併用療法を, 鼻症状およびQOLについて花粉症日記と日本アレルギー性鼻炎標準調査票 (JRQLQ No.1およびNo.2鼻眼以外の症状用) を用いて検討した。比較に際しては, 初期治療群と飛散後治療群に群別した。初期治療群では飛散後治療群に比較して, 鼻症状およびQOLともにスギ飛散ピーク時のスコアの抑制がみられ, 副作用は認められなかつた。作用機序の異なるラマトロバンと抗ヒスタミン薬との併用は, シーズン10,000個/cm2を超えるような大量飛散年においても, 飛散ピーク時の鼻症状ならびに患者QOLを改善することから有用な治療法であることが示唆された。
著者
石井 彩子 宇田川 友克 柳 清 今井 透
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.279-283, 2003

スギ花粉症の患者は年々増加傾向で, 現在では国民の10%以上が罹患しており, スギ花粉症は日本人の国民病といわれている。その影響は, 在日外国人にも及んでいる模様で, 花粉症症状を訴えて来院する外国人も年々増加傾向にあると考えられる。その実態を調査するため, 平成14年1月から4月までの期間に鼻汁, 鼻閉, くしゃみ等のアレルギー症状を主訴に聖路加国際病院耳鼻咽喉科を受診した在日外国人患者38人のうち, 血清スギ特異的IgE抗体測定にてスギ花粉症が確認された20人 (男性 : 12人女性8人) を対象にアンケート調査を施行した。来日後発症までの期間は平均約4年であった。在日外国人のスギ花粉症に対する認知度は低い傾向にあり, スギ花粉情報の提供も含めた啓蒙活動が必要であると考えられた。
著者
宇田川 友克 柳 清 石井 彩子 今井 透
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.160-166, 2005-06-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
8

多房性の術後性上顎嚢胞は診断, 治療をする上で難渋する疾患の一つである。今回我々は片側三房性以上の術後性上顎嚢胞9症例について検討した。診断の上では多房性嚢胞の正確な数や位置を把握する術前画像診断としてCTとMRIの併用が有効であった。また, 術程は内視鏡下鼻内手術単独症例が7例, 内視鏡下鼻内手術に経歯齦法を併用した症例が2例であった。術式の選択や予後を判定するために嚢胞の配列により直列型, 並列型, 混合型に分類した。固有鼻腔から離れた外側の嚢胞は術式に関係なく術後再閉鎖した症例が多かった。手術の注意点として, 骨性の嚢胞壁を鉗除中に多量出血した症例を経験したため, 手術時には上顎骨の変形に伴う動脈の走行変位を念頭に置く必要があると思われた。多房性嚢胞の問題点として, どの嚢胞が症状を発症しているのか判断が難しく, 我々はすべての嚢胞を開窓するようにしている。今回の症例検討では当院で施行した手術後に症状が再発した症例は今のところ経験しておらず, 多房性術後性上顎嚢胞の症状寛解のためには可能な限りすべての嚢胞に対して処置をすることが望ましいと考えた。
著者
市瀬 孝道 西川 雅高 今井 透 吉田 成一 定金 香里 岸川 禮子 世良 暢之 世良 暢之
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は日本に風送された汚染黄砂の呼吸器系への影響を、実験動物を用いて明らかにすると共に黄砂現象中の健康被害を、呼吸器系を中心とした疫学調査によって明らかにすることを目的する。我々は動物実験で風送黄砂が卵白アルブミンによって誘発される気管支喘息様病態やスギ花粉による鼻炎を悪化させることを明らかにした。また我々は北九州地域における疫学調査おいて、黄砂が花粉症や目の症状を悪化させることを明らかにした。
著者
今井 透 野原 修 遠藤 朝彦 深谷 修司
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.559-568, 2005
参考文献数
5
被引用文献数
4

【背景】空中飛散花粉の自動計測の有効性が示されているが, 現在は自動計測器による観測法や評価法の標準化は行われていないので, 自動計測情報は混乱している. 【方法】2000年から2004年までの5年間の春季に東京都内で, ダーラム式花粉採集器と自動計測器(KH-3000)を用いて飛散花粉を観測した. 【結果】自動計測値と従来からのダーラム式観測値と良い相関関係を示した時期では, 自動計測器の有用性は高いと考えられた. 両観測値の相関が高い時期は, 大量飛散年の主に2月下旬から4月上旬だった. 逆に少量飛散年や2月上旬と中旬, 4月中旬と下旬は両観測値の相関が低下した. 自動計測値とダーラム式観測値の比はノイズの少ない時期で平均3. 5であり, 自動計測値を換算することでリアルタイムに飛散状況を判断できるようになろう. 【結語】花粉飛散数が多く花粉回避が必要な時期ほど, 自動計測の信頼性が高いので花粉回避に自動計測値は有用である. 今後自動計測の実用性を高めるために, データの集積と計測法の標準化が望まれる.