著者
長谷川 健美 高野 政子 市瀬 孝道
出版者
大分県立看護科学大学看護研究交流センター
雑誌
看護科学研究 (ISSN:24240052)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-10, 2016 (Released:2017-10-31)
参考文献数
12

本研究の目的は、訪問看護師の語りから在宅における終末期患者の死亡確認までの現状を明らかにし、特定看護師の役割を検討することである。対象者は5 ヶ所の訪問看護ステーションに勤務する、終末期の死亡確認の経験のある訪問看護師10名であった。研究は質的記述的研究デザインを用いて、在宅における死亡確認の現状について半構成的面接を行った。語りを類似の文節ごとにコード化して、カテゴリーを抽出した。訪問看護師が在宅での終末期患者の受け持ちの困難について、《訪問看護師の業務調整》 《終末期の家族への対応》 《在宅で看取れない》 の3つのカテゴリーが抽出された。また、在宅における死亡確認時の困難については《タイムリーな死亡確認の困難》 《医師・看護師間の統一した方針(困難なし)》 といったカテゴリーが抽出された。終末期医療では、医師や看護師の連携を強化する必要がある。一方、訪問看護師は死亡確認時の対応に困難があることが明らかになった。現状より死亡確認時の特定看護師による新たな役割が期待できる。
著者
蓮沼 英樹 市瀬 孝道 上田 佳代 小田嶋 博 金谷 久美子 清水 厚 高見 昭憲 竹内 文乃 西脇 祐司 渡部 仁成 橋爪 真弘
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.19010, 2019 (Released:2019-12-25)
参考文献数
63
被引用文献数
1

Asian dust is a phenomenon involving the long-range transport of atmospheric pollutants originating from the desert areas of China and Mongolia. In recent years, the health effects of Asian dust have raised public concerns. Numerous studies on the health effects of Asian dust have been published since the last review in 2010. Thus, a literature review was conducted to shed light on the latest epidemiologic findings. PubMed and Science Direct databases were used for the review of epidemiologic studies published between June 2009 and April 2018. We identified 53 epidemiologic studies. Mortality, ambulance transportation, hospitalization/medical examination, changes in symptomatic, functional, and examination findings, as well as birth outcomes have been reported as outcomes. When the outcomes were categorized by disease, the effects of Asian dust on respiratory, cardiovascular, and allergic diseases raised concerns. The common evidences of causation between Asian dust and these diseases were the consistency of findings and temporal sequence of association. As results of research on dose-response relationships have become available, and the possibility that the health effects of Asian dust may vary depending on its chemical composition has been pointed out, further research using the exposure level indicators of Asian dust or its chemical composition should be conducted. Furthermore, with focus on the crucial issue of reducing exposure, research related to prevention and raising awareness should be further promoted.
著者
市瀬 孝道 玉利 真由美 嵐谷 奎一 吉田 安宏 野口 恵美子 岸川 禮子 吉田 誠 西川 雅高 吉田 成一 定金 香里 藤枝 重治
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、黄砂がスギ花粉症、気管支喘息やアトピー性皮膚炎の病態を炎症性メディエータの発現を伴って増悪させることを動物実験で実証した。また黄砂が炎症誘導にあずかる転写因や遺伝子群の発現を変化させることを明らかにした。黄砂の継続的な曝露では、黄砂は一旦アレルギー気道炎症を悪化させるが、 曝露の長期化につれて TGF-β 誘導による免疫寛容が起こり、アレルギー気道炎症が減弱化することが分かった。調査研究では、黄砂飛来時に花粉症を持った人、あるいは持たない人の眼、鼻、咽頭等に影響が見られた。慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者では黄砂日と呼吸機能や症状の変化との間に関連性が見られなかった。黄砂日における来院患者には鼻炎や花粉症患者が多く、続いて気管支喘息患者で、主訴は咳が最も多く半数を超えていた。以上の結果から、 黄砂はアレルギー疾患を増悪する環境要因であることが判明した。
著者
牧 輝弥 佐野 到 定金 香里 黒崎 泰典 石塚 正秀 大西 一成 能田 淳 松木 篤 市瀬 孝道
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

黄砂や煙霧とともに微生物群(バイオエアロゾル)が,アジア大陸から日本へ越境輸送され,日本での環境・健康影響が懸念される。これまで,東アジア(日中韓蒙)での黄砂を捕集する高高度調査(気球, ヘリコプター)によって,越境輸送される微生物種組成は,日本海と太平洋の沿岸で大別でき,その生体影響も異なる可能性を突き止めた。しかし,従来の観測地点は日本海沿岸に偏り,太平洋沿岸へと沈着する微生物の詳細を講じる観測データは不足している。本申請では,日本本土での観測地を拡充し,「越境微生物の国内での拡散・沈着過程」を理解すると伴に,生理学実験・疫学的調査によって,生態・健康影響を評価する。
著者
吉田 成一 市瀬 孝道
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

【背景】妊娠中の喫煙が胎児や出生児に悪影響を及ぼすことは広く知られている。新しく開発された加熱式たばこは副流煙が発生せず、受動喫煙により非喫煙者に健康影響が生じないと考えられている。しかし、妊婦が喫煙した場合、妊婦本人のみならず、非喫煙者である胎児に影響を与えることが考えられるが、妊娠期の加熱式たばこの喫煙が出生児にどのような影響を与えるかについての検討は行われていないため、不明である。そこで本研究では、加熱式たばこと従来の燃焼式紙たばこを妊娠マウスに吸入曝露し、出生児マウスの免疫系にどのような影響が生じるか検討した。【方法】ICR系妊娠マウス30匹を1群10匹とし、加熱式たばこ(IQOS)曝露群、実験用紙たばこ(3R4F)曝露群、対照群の3群に分けた。IQOSの気化蒸気及び3R4Fの主流煙の発生はHCI法を用い、妊娠7、14日目に各たばこを4本分、20分間吸入曝露した。出生マウスが5週齢、15週齢の時点における、免疫系への影響を肺胞洗浄液 (BALF) 中の細胞数、肺における発現遺伝子の解析等により評価した。【結果および考察】IQOSの胎児期曝露によりBALF中の免疫担当細胞数は5週齢、15週齢ともに有意な変動を示さなかったが、5週齢において、IQOS群、3R4F群とも対照群と比較して1.5倍の細胞数となり、増加傾向を認めた (p=0.07, p=0.07)。肺で発現する遺伝子を解析したところ、5週齢においてTh1サイトカインであるIFN gamma mRNA、炎症関連因子であるCOX2 mRNAなどで有意な発現抑制が認められた。これらの影響は、幼若期 (5週齢)の免疫系に何らかの影響を与える可能性を示唆するものであり、3R4Fによる影響と同定であった。以上のことから、健康影響が小さいと考えられている加熱式たばこであっても、従来の燃焼式紙たばこと同様の健康影響が生じる可能性が示唆された。
著者
市瀬 孝道 西川 雅高 今井 透 吉田 成一 定金 香里 岸川 禮子 世良 暢之 世良 暢之
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は日本に風送された汚染黄砂の呼吸器系への影響を、実験動物を用いて明らかにすると共に黄砂現象中の健康被害を、呼吸器系を中心とした疫学調査によって明らかにすることを目的する。我々は動物実験で風送黄砂が卵白アルブミンによって誘発される気管支喘息様病態やスギ花粉による鼻炎を悪化させることを明らかにした。また我々は北九州地域における疫学調査おいて、黄砂が花粉症や目の症状を悪化させることを明らかにした。
著者
市瀬 孝道 吉田 安宏 吉田 成一 山元 昭二
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

1. 肺炎桿菌と黄砂曝露による培養細胞における炎症性サイトカイン・ケモカンの遺伝子発現とタンパク発現:黄砂は肺炎桿菌(Klebsiella Pneumoniae(KP))による肺の炎症を悪化させた(前年度)。このメカニズムを明らかにする目的で、BALB/cマクロファージ(MP)由来のRAW264.7細胞に黄砂と肺炎桿菌を曝露して、Toll-like receptor(TLR)2とTLR4mRNAの発現、炎症性サイトカイン・ケモカインのmRNA発現と培養液中のこれらのタンパク発現を調べた。またTLR2とTLR4の抗体を用いてこれらの発現への影響を調べた。肺炎桿菌を添加したRAW264.7細胞はTLR2mRNAの発現を高めたが、TLR4の発現はむしろ低下した。TLR2とTLR4の抗体を用いて、TLR2とTLR4のmRNA発現を調べた結果、TLR2抗体はTLR2mRNAの発現を抑えると共に、炎症性サイトカイン・ケモカインのmRNA発現と培養液中の炎症性タンパク発現を抑えた。しかし、TLR4抗体はこられの発現を抑えることができなかった。この結果からKPはRAW264.7細胞のTLR2発現を介して炎症性サイトカイン・ケモカイン類の発現を高めていることが分かった。RAW264.7細胞にKPと黄砂を添加してTLR2とTLR4mRNA発現、炎症性サイトカイン・ケモカインmRNA発現と培養液中のタンパク発現を調べた結果、黄砂は肺炎桿菌によるTLR2の発現と炎症性サイトカイン類のタンパク発現を更に高めたがTLR4は低下した。この結果から、黄砂の肺炎桿菌による炎症増悪作用はTLR2の活性化を介して肺の炎症を増悪している可能性を示唆した。2. 黄砂付着細菌の感染実験:日本に飛来した黄砂から分離したBacillus spと黄砂をマウスの気管内に投与して黄砂の炎症増悪作用を調べた。その結果、本実験に用いたBacillus spは病原性が低く、マクロファージ数は増加させるものの、炎症反応の誘導性(好中球数の増加)は低かった。またマクロファージに関連したサイトカインは誘導するが炎症性サイトカイン類の発現は低かった。今後は病原性の強い細菌による感染実験が必要である。