著者
日影 弥生 中屋 紀子 渡瀬 典子 長澤由喜子 浜島 京子 黒川 衣代 高木 直 砂上 史子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.5, 2003

1.はじめに 第3報では、『家庭生活についてのアンケート』中の母親と父親の職業の視点から全国と東北のデータについて比較分析することを目的とした。2.方法(1)調査対象および調査時期対象者は全国では6959名(小4;1484名、小6;1514名、中21;1870名、高2;2091名)、東北では3070名(小4;621名、小6;792名、中2;686名、高2;971名)とした。なお、この人数はアンケートの全ての項目に回答した者としたため、第1報および3報とは異なる結果となった。(2)調査時期およびアンケート項目、これらは全国調査と同じであるため省略した。(3)分析方法アンケート項目の「あなたのお母さん(またはお父さん)はどのような仕事をしていますか。」の回答と他の項目とをクロス集計し、検定により有意差を調べた。3.結果および考察(1)母親と父親の就労の有無とその形態a)労働をしている母親と父親の割合母親と父親が労働してるかどうかの観点から、その割合をみた。その結果、両親が働いている家庭は全国S8.1%、東北61.7%、母親だけが働いている家庭は全国 3.0%、東北 4.9%、父親だけが働いている家庭は全国20.6%、東北18.6%となり、両親と母親だけが働いている家庭は東北の方が多く、父親だけが働いている家庭は全国の方が多い結果となった。この傾向は、各学年でもほぼ同様となったが、中学2年生の両親が働いている家庭は全国79.0%と東北62.8%となり、他と異なる結果となった。b)母親と父親の就労形態 両親ともフルタイム就労家庭は全国21.4%、東北29.3%、母親がパートタイム就労で父親がフルタイム就労の家庭は全国23.4%、東北17.1%、母親が無聯で父親がフルタイム就労の家庭は全国17.0%、東北14.3%となり、全国に比べて東北では両親ともフルタイム就労の家庭が多く、母親がパートタイム就労や無職の家庭は少ないことがわかった。(2)母親と父親の就労職業からみた子ども達の生活実態両覿の就労形態のうち代表的と思われる「両親がフルタイム就労」、「母親がパートタイム就労で父親がフルタイム就労」、「母親が無職で父親がフルタイム就労」の3つの形態の家庭について子ども達の生活実態を分析した以下は、t検定の結果、有意差がみられたものについて示した。「両親がフルタイム就労」では、東北の方が、朝ごはんを家族みんなと一緒に食べている家庭が多いこと、洗濯機で衣服の洗濯をし、とれたボタンつけをいつもする子どもが多いことがわかった。「母親がパートタイム就労で父親がフルタイム就労」では、朝ごはんの食べ方は全国では大人の誰かと一緒に食べている家庭が多いが、東北では家族みんなと一緒に食べている家庭が多いこと、また、全国の方が食事の用意をする母親が多いことがわかった。これらは、家族の人数や両親の通勤に要する時間などと関連することが推測された。
著者
中屋 紀子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.34, 2009

(研究目的)教員養成大学において、教育実習と連動した指導が最近特に求められるようになった。大学に入学したばかりの1年生から、実際の家庭科の授業を観察する機会を作り、それを生かした大学での講義作りが求められている。ただ授業観察するだけでは話にならず、せっかくの観察機会を生かすためには明確な「視点」が必要である。しかし、学生たちに授業を観る「視点」をつけることはそれほど簡単ではない。(研究方法および経過)そこで、本報告は「観察」することを重点においた指導を試みた。それをもとにした考察を行う。1.宮城教育大学附属小学校の校内研究授業を3台のビデオ記録したものを編集し、1本のテープとした。授業は2008年6月30日、5年2組、齋藤憲子教諭によって行われた。テーマは「家族と生活」である。2.その映像をCDに焼き付け、資料とした。3.同時に、ストップモーション方式で活字記録化した。ストップモーション方式について補足をすると、以下である。「教師(T)-子ども(C)」の記録に教師や子どもの非言語的な行動についても加えて記述する。その点は「T-C型+ト書き」形といえる。さらに、子どもの非言語的な行動や非言語的なニュアンスも加えた文章を加える。「地の文+発言」である。またさらに、「一時停止」を利用して若干の補足や解説を加える。(藤川「授業記録を書く」『授業分析の基礎技術』(二杉・藤川・上條 編著 学事出版 2002)4.家庭科教育実践研究という授業観察が必須である講義で、受講生各自にCDと活字記録のコピーを配布した。5.CDを再生しながら、活字記録の余白に受講生の「ストップモーション」を挿入させた。6.記入が終わったら、活字記録のファイルを配布し、それに記入させた。7.それを集めて、検討資料とした。受講生各自がどこで、どんなストップモーションを入れたかが分かるように色分けをした資料とした。どんなところにストップモーションを入れるか(視点を明確にする)は、この取り組みの前にレクチュアをした。8.最後に授業者からのコメントを入れて、受講者に返却した。(検討結果)1.受講生たちは教師の教授行為の積極的な側面をしっかり評価することができた。たとえばある受講生は「おへそをこちらへ向けてください」という指示はわかりやすくて子供たちも素直に聞ける指示であると感じた。」と、記していた。2.同時に、教師の教授行為の課題も見つけることができた。たとえば、「発言しない子どもも授業に参加しやすいように、「同じ意見の人は?」というような問いがあると、より多くの子どもが授業に参加できると思う。」と、自らの意見も同時に述べることができている。3.同様のことが教材についても言えた。評価した点として例をあげると「児童が食いつきやすい内容の絵の提示はとても良かった。実際の生活の中で考えられる場面であるのも良い。」と、絵を用いて問題を追及する方法の積極面をあげた。他方、採用したビデオレターについて「ビデオレターというアイディアは良いと思う。しかし、なぜ先生なのかわからなかった。今まで自分自身や家族からの視点で成長をしたことをまとめてきたのなら、親など身近な家族のほうが題材にあっていると思う。」と、ビデオレターに登場した高学年担当の教師について厳しい意見も出せた。同じところにストップモーションをしながら、異なった意見も多々あり、意見分布の多様性も興味深かった。4.いくつか、今後解決したい課題が残った。例をあげる。「授業という場面で、「発表」することができる「力」とは、どんな力でしょうか?それを考えて普通、教師は発問をします。答えやすい問いを投げかけて、たくさんの児童から引き出したいときと、わかる児童が少なくても、答えを引き出したいときの二つに分かれます。それぞれ、教師は何を考えるのでしょうか?」などである。
著者
田結庄 順子 柳 昌子 吉原 崇恵 中屋 紀子 牧野 カツコ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.951-959, 1992

This study aims to consider consumer education in school by the survey data of the pupils' parents as consumers.<BR>The results were summarized as follows : <BR>1) Mothers did not take consumer behavior considering the protection of environment.<BR>2) The parents have had a tendency to decide commodity buying by talking with door to door sales person. This fact suggests that the most parents' decision-making were influenced by sales persons. Therefore, consumer education for parents is required to keep up with the times.<BR>3) The parents considered that problems of consumptive behavior of children are due to their consumptive environment. The parents have had anxiety for children's future consumptive environment, particularly credit cards and commercial messages.<BR>4) The parents have considered that role differentiation between home and school in consumer education as follows : fundamental consumer behavior should be taught children in home life, while knowledge of commodity, quality labeling, safety commodity and marketing system should be taught them in school.
著者
田結庄 順子 柳 昌子 吉原 崇恵 中屋 紀子 牧野 カツコ
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.951-959, 1992-09-15

This study aims to consider consumer education in school by the survey data of the pupils' parents as consumers. The results were summarized as follows: 1) Mothers did not take consumer behavior considering the protection of environment. 2)The parents have had a tendency to decide commodity buying by talking with door to door sales person. This fact suggests that the most parents' decision-making were influenced by sales persons. Therefore, consumer education for parents is required to keep up with the times. 3) The parents considered that problems of consumptive behavior of children are due to their consumptive environment. The parents have had anxiety for children's future consumptive environment, particularly credit cards and commercial messages. 4) The parents have considered that role differentiation between home and school in consumer education as follows: fundamental consumer behavior should be taught children in home life, while knowledge of commodity, quality labeling, safety commodity and marketing system should be taught them in school.
著者
松山 恒明 小金沢 孝昭 鎌田 慶朗 渡辺 孝男 田中 武雄 中屋 紀子 本田 強
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究では、総合講義「学校給食」の実践を行なう中で、研究会や現地見学を行いながら、教員養成課程で行なうべき「学校給食」関連の講義内容を検討してきた。調査・検討の結果、まず第一に学生の反応であるが、学校給食や食に関する内容について関心が高く2年間とも各300人の学生が受講した。学生たちは、学校現場で行われている学校給食に関心が高く、またこれらを客観的に捉えることのできるこの講義に興味を示した。学校給食への理解については、講義開始時のアンケートで子供たちと食べる昼食程度にしか学校給食を捉えていなかった学生も、講義終了時には学校給食が食や環境、健康を理解する上で重要な教育機会であることに気づくようになった。この点については各年度に行なった学生アンケートに詳しく報告されている。第二に講義内容であるが、2年間の講義実践と学生の反応によって教員養成課程の「学校給食」の講義内容は概ね4つの領域で講義すると、「学校給食」の持っている教育機会を説明することが可能であることが明らかになった。1つは学校給食の現状とその安全性についててある。ここでは学校給食がどのような目的のために、どのように運営されているのかを実践報告を交えながら講義した。2つは、こどもたちの食生活がどのような状況にあるのかを明らかにすることである。日々の食生活でどのような点に問題点があるのか、学校給食で補える課題を整理した。3つは学校給食で食べている食がどのように生産されているのか、食についての基礎知識の習得である。とくに食と環境とのつながりにも留意した。4つは食と健康とのつながりについての基礎知識の習得である。食事が健康にどのように関連しているのかを具体例をあげて講義した。これらの研究成果は、昨年度の中間報告書と今年度の最終報告書に整理してあるが、この研究を通じて、学枚での食・栄養教育の重要性ならびに教員養成課程での学校給食に対応した講義の必要性が確認された。また、今後は各教科と学校給食とを連携させた栄養教育の研究が課題となった。