著者
香川 靖雄 小松 文夫 金子 嘉徳 川端 輝江 渡邊 早苗 佐久間 充 工藤 秀機 金子 嘉徳 川端 輝江 渡辺 早苗 佐久間 充 工藤 秀機
出版者
女子栄養大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

モンゴル人は日本人に比べ平均寿命が男女とも15 年以上短い。その理由を知るためにモンゴル人の健康調査を行った。モンゴル人は食生活に偏りがあり、肉食が主で野菜や果物は少なく、酸化ストレスが高く、老化の訪れが早かった。彼らの短寿命を解決するにはこれらの改善が重要であり、日本人の老化を考える上でモンゴル人の食生活と高い酸化ストレス度は重要な警鐘と思われた。
著者
香川 靖雄 岩本 禎彦 蒲池 桂子 田中 明 川端 輝江 中山 一大
出版者
女子栄養大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

目的:健康維持に不可欠なEPA,DHAの摂取量が殆どない菜食者の中で、Δ5脂肪酸不飽和化酵素の遺伝子多型rs174547のC型ではALAからのEPA,DHA合成能が低いためその健康状態を研究した。結果:DHA摂取量0gの純菜食者+乳菜食者の血清と赤血球脂肪酸はTT型に比べてALAはC/CC型で増加し、血清EPA,DHAは減少し、ω3指数(赤血球EPA+DHA)は3.2に減少していたがAAの減少も著明であった。純菜食+乳菜食の健康状態は国民健康・栄養調査の一般日本人の健康度を上回り多型間に差が無かった。健康度はEPA/AA比の増加とDHA保持能増加で低いDHA摂取量を補償すると推定した。
著者
川端 輝江 兵庫 弘夏 萩原 千絵 松崎 聡子 新城 澄枝
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.161-168, 2008 (Released:2009-01-30)
参考文献数
27
被引用文献数
2 6

女子大学生25名を対象として,7日間の食事調査を実施し,積み上げ法によるトランス脂肪酸摂取量を計算した。さらに,そのうちの特定の1日を選び,調査者側で食事を再現した。得られた食事サンプルはフードカッターで細砕し均一化後,脂質およびトランス脂肪酸含有量を分析した。計算,あるいは実測から求められた総トランス脂肪酸摂取量の平均値(±標準偏差値)は,それぞれ,0.95±0.31 g,1.17±0.84 gであった。総トランス脂肪酸摂取量の分布は正の歪度を示し,はずれ値が1名(2.82 g),極値が2名(3.13 g,3.27 g)であった。若年女性のトランス脂肪酸摂取量はWHOの基準値であるエネルギー比率1%未満を下回っており,したがって,トランス脂肪酸摂取の血清脂質に対する影響は懸念されるものではないと考えられる。しかしながら,トランス脂肪酸を高濃度に含む加工食品を摂取することで,1日のトランス脂肪酸摂取量が予測の範囲より高くなる可能性のあることが明らかとなった。
著者
川端 輝江 仲井 邦彦
出版者
女子栄養大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

授乳期間中の母親の魚介類摂取及びn-3系脂肪酸代謝と、出生児の成長と発達の関連性を検証した。その結果、n-3系脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)の母乳組成及び濃度は、魚介類摂取量と正相関した。⊿5不飽和化酵素遺伝子型(rs174547)C/C群(対象者の約15%)では、T/T群に対して母乳中DHA組成が有意に低値であった。出生から7か月までに児が摂取したDHA濃度を推測し、その濃度別に児の発育について検討したところ、児の体重増加との間には関連はみられなかった。今後、DHA摂取と発達との関連においてさらなる検討が必要と考えている。
著者
川端 輝江
出版者
Japan Society for Lipid Nutrition
雑誌
脂質栄養学 (ISSN:13434594)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.37-45, 2006-03-31 (Released:2009-04-10)
参考文献数
11

The range of intakes, that is, the upper and lower limits of intake, of the fat energy ratio, saturated fatty acids, n-6 series fatty acids, n-3 series fatty acids and cholesterol have been laid down in the Dietary Reference Intakes (DRIs) for Japanese, 2005. However, it is not easy, even for nutrition specialists, such a dietitians who manage daily dietary intakes, to understand the DRIs of lipids, for which there are so many reference values. It would be rather difficult in daily dietary management to control the intake of various lipid-containing foods to satisfy the DRIs of the various components of lipids. Therefore, in this paper, we describe how the DRIs of lipids should be understood from the viewpoint of users, and an example composition of food groups that could be available in the future is shown.
著者
川端 輝江 古 息珠 柴田 茂男 長谷川 恭子 澤井 廣量 李 寧遠 劉 麗雲 村上 秀親 小川 久恵 矢ヶ崎 信子 松田 康子 岩間 範子
出版者
社団法人 日本循環器管理研究協議会
雑誌
日本循環器管理研究協議会雑誌 (ISSN:09147284)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.109-117, 1993

循環器疾患死亡率に各々特徴を持つ日本の2地区 (山梨県および沖縄県) と沖縄県に隣接している中華民国 (台湾) における計3地区に在住する中高年齢者を対象とし, 健康診断を行った。そこで, 我々はこれらの地区において, 循環器疾患の指標となりうる肥満度, 血圧, 血清脂質の諸検査結果を主成分分析法により検討した。<BR>主成分分析の結果, 得られた2次元図の各象限の特徴を表現すると, 1.高血圧型, 2.肥満, 血清中性脂肪高値, HDL-コレステロール低値型, 3.低血圧, 血清HDL-コレステロール低値型, 4.やせ, 血清中性脂肪低値, HDL-コレステロール高値型となった。<BR>男性では, 山梨県対象者は血清中性脂肪高値および肥満の者が約2割いた。沖縄県対象者では全体の3割強が高血圧型であった。台湾対象者では軽度の肥満および中性脂肪高値型と低血圧および血清HDL-コレステロール低値型が, あわせて約3割以上であった。<BR>女性では, 山梨県対象者に対して, 沖縄県対象者では血清総コレステロール, HDL-コレステロールの平均値が従来の成績同様高かったが, その他の項目においては, 極端に正常値からはずれた検査値を持つ者は少なく, 特徴的な分布はみられなかった。台湾対象者では, 肥満, 血清中性脂肪高値およびHDL-コレステロール低値型に属する人は約4割であり, 循環器疾患のリスクが高い集団と推察される。
著者
鎌田 由紀子 川端 輝江 長谷川 恭子 佐藤 敏子 生井 一之 川上 正舒
出版者
女子栄養大学
雑誌
女子栄養大学紀要 (ISSN:02860511)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.49-54, 2003-12-01
被引用文献数
1

糖尿病による動脈硬化発症リスクとして, 食後高脂血症が注目されているが, それを検出する方法は確立されていない。食後高脂血症を検出し評価するには, 汎用可能で日常食に近い食事内容を統一した負荷試験食が必要である。日本糖尿病学会テストミール開発ワーキンググルーブは洋食風の朝食型試験食 (テストミール) を開発した。本研究はこのテストミールを用い2型糖尿病における食後高脂血症・食後高血糖を評価し, 食後高脂血症を規定する可能性のある他因子の検討を行った。(1)テストミールは, バター8g, はちみつ15gを塗ったトースト (60g), 砂糖8g入りヨーグルト, 野菜100g入りスープ, 半熟卵1個を用い, エネルギー及び栄養量は総エネルギー474kcal, 脂質18.3g (34.7%), S : M : P=48 : 38 : 14であった。(2)患者群におけるGTTとMTTの比較検討において, 血糖, IRIがMTT, GTTともに食前値に比べ2時間値が有意に上昇し, またGTT, MTTの2時間値が正の相関を示し, 食後高血糖の評価を今回のテストミールが代用可能である事が示唆された。TG, RLP-choはMTTで2時間値が有意に上昇した。(3)患者群は, HOMARと空腹時TG, 食後TG, 空腹時RLP-choにおして有意な正の相関がみられたことから, RLP-choはインスリン抵抗性の指標となりうる事が示唆された。(4)食出摂取と食後血中脂質の関連検討では, 砂糖類摂取 (kcal/day) とTG, RLP-choの各時点との間に正の相関がみられ, 食事のTG, RLP-choの増加に伴って, 食事内容を変えていく事は有効であると思われた。以上の結果から, 軽症2型糖尿病患者において食後高血糖だけでなく, 食後高脂血症の評価は重要であり, 本テストミールは食後高血糖・食後向脂血症, 両者の評価をする事が可能である事が判明した。
著者
川端 輝江 仲井 邦彦
出版者
女子栄養大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

宮城県沿岸部に在住する妊娠女性523 名の母体血と臍帯血赤血球中脂肪酸分析を行い、n-6 系多価不飽和脂肪酸(PUFA) であるアラキドン酸(ARA)とn-3 系PUFA であるドコサヘキサエン酸(DHA)の、母から児への移行について検討を行った。その結果、臍帯血PUFA は母体血PUFAを反映し、臍帯血赤血球中PUFA レベルの決定要因として、胎盤を介した母から児への移行が重要であることが示された。さらに、妊娠期間中の経時的な観察から、母体血ARA は妊娠末期に低下したが、DHAの変化はほとんどみられず、母の体内DHA は、妊娠末期に高まる児のDHAの需要を満たしていた可能性が示唆された。