- 著者
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中島 健次
江草 周三
- 出版者
- The Japanese Society of Fish Pathology
- 雑誌
- 魚病研究 (ISSN:0388788X)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, no.2, pp.115-120, 1977-09-30 (Released:2009-10-26)
- 参考文献数
- 3
- 被引用文献数
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1. 鮒糸状虫の母虫は早春にフナの尾鰭鰭条間膜内に出現し,通常,ヘアピン状に折曲して2ヶ所の鰭条間を占有する。2. 母虫の体色はその体腔液によって当初鮮赤色を呈しているが,子宮内の卵が仔虫に発育するにつれ淡桃色に転ずる。3. 子宮内の仔虫が活動し始めると,母虫は尾鰭の基部ないしは後縁から頭端を先にして水中に移行する。4. 水中に露出した部分の虫体は白変硬化して棒状に伸長するが,尾鰭内に虫体尾部が残存している限り仔虫の産出は起らない。5. 尾鰭より摘出した母虫を水中に投じたところ,虫体尾部より脈動が生起し,これが虫体頭部に至った瞬間,子宮の一部が逸出し同時に仔虫が産出された。母虫の尾部には水を感ずる部分が存在するのではないかと考えられる。