著者
中野有紀子 塚原 渉 中川 正樹 黒須 正明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.1242-1250, 2007-11-15
被引用文献数
1

利用者の視点に立ったより使いやすい製品を開発するには,ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI)の専門家からの視点が重要だといわれている.このような状況の中,企画段階から開発プロジェクトに参加し,さまざまな専門分野の人たちと協調してプロジェクトを推進できるHCI専門家の養成が求められている.本稿では,日本におけるHCI教育のさらなる改善に役立つ情報を提供することを目的とし,2006年にアメリカの4大学とヨーロッパの2大学のHCI教育を視察した内容をまとめ,各大学のカリキュラムの特徴,実践的教育を中心に解説する.
著者
古積 拓見 稲谷 壮一郎 蔡 文杰 中川 正樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.14, pp.1-7, 2014-03-07

文字を正しくきれいに書くためには筆順やとめと払い,はねなどの字形を評価する必要がある.現在,字形を評価する漢字学習システムがいくつか開発されてきた.しかし,既存のシステムでは,きれいな字を書くことを主目的としているものが多く,筆順間違いの学習者への指導や,とめと払いの評価を行うものは少ない.そこで,本稿ではこれらの評価を可能にし,評価項目に重みを付けることでユーザのレベルに合わせた指導を行うシステムを開発する.
著者
馬場 基 中川 正樹 久留島 典子 高田 智和 耒代 誠仁 山本 和明 山田 太造 笹原 宏之 大山 航 中村 覚 渡辺 晃宏 桑田 訓也 山本 祥隆 高田 祐一 星野 安治 上椙 英之 畑野 吉則
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2018-06-11

国際的な歴史的文字の連携検索実現のため、「IIIFに基づく歴史的文字研究資源情報と公開の指針」および「オープンデータに関する仕様」(第一版)を、連携各機関(奈良文化財研究所・東京大学史料編纂所・国文学研究資料館・国立国語研究所・京都大学人文学研究所・台湾中央研究院歴史語言研究所)と共同で策定・公表し、機関間連携体制の中核を形成した。また、上記「指針」「仕様」に基づく、機関連携検索ポータルサイト「史的文字データベース連携システム」の実証試験版(奈文研・編纂所・国文研連携)を令和2年3月に公開。令和2年10月には、台湾中研院・国文研・京大人文研のデータを加えて、多言語(英語・繁体中国語・簡体中国語・韓国語)にて本公開を開始した(https://mojiportal.nabunken.go.jp/)。なお、連携・サイト公開は、国内および台湾メディアで報道された。木簡情報の研究資源化として、既存の木簡文字画像(約10万文字)をIIIF形式に変換した。また、IIIF用の文字画像切出ツールを開発し、新規に約15,000文字(延べ)のデータを作成した。過年度と合わせて合計約115,000文字の研究資源化を実現した。文字に関する知識の集積作業として、木簡文字観察記録シートを約50,000文字(延べ)作成した。なお、同シートによる分析が、中国簡牘・韓国木簡にも有効であることが確認されたことを踏まえ、東アジア各地の簡牘・木簡文字の観察作業も実施した。国際共同研究・学際研究として、令和1年9月に、東アジア木簡に関する国際学会を共催した(北京)。当初、国際学会の開催は、研究計画後半での実施を予定していたが、本研究遂行にあたっての共同研究等の中で、学会共催の呼びかけを受け、予定を繰り上げて国際学会を共催した。また、人文情報学の国内シンポジウム等において、IIIF連携等本研究の成果を報告した。
著者
坂東 宏和 杉崎 知子 加藤 直樹 澤田 伸一 中川 正樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.804-814, 2002-03-15
被引用文献数
13

本論文では,一般的な教室環境における黒板の発展型として対話型電子白板を設置した環境を想定し,対話型電子白板上に複数の専用電子教材を起動し,それらのウインドウ領域にまたがって,かつ,それら電子教材の実行と並行して画面全体へ自由に板書が行える機能を提供する電子黒板ミドルウェアの基本構成について述べる.さらに,本ミドルウェア上で動作しているすべての電子教材の実行状態を一括して保存する機能や,一括してスクロールする機能などの,情報化の利点をより簡便に活かすための付加機能も提案する.従来のデスクトップ環境では,黒板のように画面全体への自由な板書を行うことはできない.画面全体に手書きで描画できるようにするソフトウェアも開発されているが,既存のソフトウェアでは板書内容を表示したまま起動されている他のソフトウェアに対する操作をしたり,動画表示を行ったりすることができなかった.そこで,本論文ではこれらの問題をミドルウェアレベルで解決する方法を提案するものである.また,一斉授業の中で利用しやすい電子教材を開発するための方針を明確化し,その方針に従って設計した複数の専用電子教材の試作例を提示する.このミドルウェアと専用電子教材を教育現場で試用したところ,電子教材と板書を組み合わせることで,従来の教室環境で教師が培ってきた授業経験と情報化による利点の両方を活かした授業が実現できることが示唆された.This paper presents a middleware architecture for an electronic whiteboard so that the user can run multiple educational applications on it, while being able to draw and make annotations on the whiteboard at the same time. On conventional desktop environments, one can draw lines or make annotations within a single window but cannot do so over multiple windows across a whole screen. Although some softwares allow the user to draw lines over the snapshots of multiple applications across a whole screen, it disables each application to accept users control or to change its display dynamically while showing drawn lines. The middleware we propose does not suffer from such restrictions. Moreover, it also provides features such as freezing the execution of education applications at any time and saving the state of each application so that their execution can be resumed from the saved state at a later time; and scrolling the windows of all the running applications collectively. We also propose guidelines to design educational applications running on the electronic whiteboard, and describe some experimental applications developed according to these guidelines. The experimental use of the system in actual classes suggests that the middleware is quite useful for classroom teaching.
著者
中川 正樹 東山 孝生 山中 由紀子 澤田 伸一 レー パン トゥー 秋山 勝彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRU, パターン認識・理解
巻号頁・発行日
vol.95, no.278, pp.43-48, 1995-09-28
被引用文献数
32

情報処理機器のパーソナル化の流れのなかでオンライン手書き文字認識の高度化を図るには, 現実的な字体変形が加わった筆跡パターンを一人一人につき相当量収集しておく必要がある. このことを念頭に, 文章形式, 字体制限なし, などを特徴とするオンライン手書き文字パターンデータベースを作成した. 筆跡パターン採集の対象とする文章は新聞から抜き出し,頻出の 1227 字種を含む JIS 第一水準 1537 字種が出現する文章列を約1万文字で構成した. 残りの JIS 第一水準文字は最後に文字単位で書いてもらう. この対象こ対し, 当研究室で 30 人分の筆跡パターンを採集した. また, 共同利用を前提に5人分の提供をメーカ等に呼びかけ, 9社の参加を得た. そして, 我々はさらに5人分追加した. 現在, 提供分のパターンを検査し, 誤字脱字の書き直しを依頼中である.
著者
風間 信也 加藤 直樹 中川 正樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.1457-1468, 1994-07-15
被引用文献数
4

本論文は、新しい入カインタフェースであるペンと表示一体型タブレットを採用し、ユーザの発想支援を目標に、これまでの計算機を用いた作図手法とは異なり、従来の紙上での作図に近い直感的な作図操作を行える環境について、またその評価のための予備実験の結果について述べる。われわれは、ペン入力の良さは特に次の点にあると考える。(1)ペンの操作に意識を払う必要がない分、思考に集中できる。(2)図や文章を書くときにペンを持ち替えなくても済み、思考の継続を妨害しない。以上のことから、特別な訓練や意識を払う必要がなく、従来から人間が慣れ親しんだ紙上での作図を計算機支援する可能性を実験することにした。本システムでは次の作図環境を提供する。(1)下書き用の画面に対しフリーハンドで書きたいものを自由に書く。(2)下書き用の画面の上に清書用の画面を仮想的に重ね、整形したい対象に対して文房具メタファという仮想的な文房具を用いて整形を行う。これにより、手本の清書になりがちだった従来の計算織上での作図操作に比べ、本システムでは発想の段階からユーザを支援できる。この手書き作図システムをユーザに使用してもらい、その使い勝手について調査した。そして、その結果から、文房具メタファを用いた手書き作図システムの有効性と問題点を考察した。
著者
耒代 誠仁 中川 正樹 馬場 基 渡辺 晃宏
雑誌
じんもんこん2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.8, pp.93-98, 2011-12-03

本稿では古代木簡解読を支援する画像処理および字体検索の高度化に関する我々の研究について述べる.画像処理の改善は,汚損・破損した古代木簡の可読性を高め,高精度な字体抽出を実現するために重要である.我々はカラーチャネルおよび周波数に関する分析結果を踏まえ,木目,腐食に有効な画像処理を実現した.また,木簡解読支援システムのユーザインタフェースを改良し,画像処理の実施に必要な操作を簡素化した.字体検索については,テンプレートを増やすと共に形状特徴抽出の改善を行い,検索精度の改善を実現した.
著者
来代 誠仁 齋藤 恵 蜂谷 大翼 中川 正樹 馬場 基 渡邊 晃宏
雑誌
じんもんこん2004論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.215-220, 2004-12-09

本論文では,手書き文字認識技術,及び画像処理技術を用いて,平城京跡から出土する木簡の解読を支援するシステムの基本設計と試作について述べる.木簡に記された文字を解読するためには,木簡の汚れ,破損,経年変化などを考慮しながら,文字を表す墨の部分を抽出し,記された文字を推定する必要がある.我々は,判別分析法を応用して,木目を含む背景から墨の部分だけを分離,抽出するための手法を実現した.また,墨の部分が欠損している場合に,ユーザが簡単な操作で情報を補足できる文字認識の手法を開発した.さらに,これらの機能をユーザと対話的に結び付けることで,木簡の解読を支援するユーザインタフェースを作成した.これらに加えて,本論文ではネットワークを用いたシステムの拡張について述べる.
著者
渡辺 晃宏 馬場 基 市 大樹 山田 奨治 中川 正樹 柴山 守 山本 崇 鈴木 卓治
出版者
独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

奈良文化財研究所では、1961年に平城宮跡で初めて木簡を発掘調査して以来、20万点を超える木簡を調査・研究してきた。今回の研究では、この蓄積と、文字認識や情報処理に関する最新の情報学・情報工学との連携を図り、(1)木簡の情報を簡易にデジタル化するシステムの開発、(2)木簡の文字画像データベースの作成、(3)木簡解読支援データベース群の構築、(4)木簡の文字自動認識システム(OCR)の開発の4点を軸に研究を進め、木簡の文字画像データベース「木簡字典」と、木簡の文字解読支援システム「Mokkan Shop」(モッカンショップ)を開発した。「木簡字典」には、カラー・モノクロ・赤外線写真・記帳ノート(木簡の読み取り記録)の4種類の画像を掲載しており、これまでに約1,200字種、約20,000文字を収録した。「Mokkan Shop」には、今回開発した墨の部分を抽出するための画像処理手法や欠損文字に有効な文字認識システム、及び今回入力した古代の地名・人名・物品名のデータベースに基づく文脈処理モジュールを搭載し、解読の有効性を高めることができた。これにより、全体が残るとは限らない、また劣化の著しい、いわば不完全な状態にあるのを特徴とする木簡を対象とする、画期的な文字の自動認識システムの実用化に成功した。「木簡字典」と「Mokkan Shop」は、木簡など出土文字資料の総合的研究拠点構築のための有力なツールであり、当該史料の研究だけでなく、歴史学・史料学の研究を大きく前進させることが期待される。なお、今回の研究成果の公開を含めて木簡に関する情報を広く共有するために総合情報サイト「木簡ひろば」を奈良文化財研究所のホームページ上に開設した。また、WEB公開する木簡字典とは別に、『平城宮木簡』所収木簡を対象とした印刷版「木簡字典」として、『日本古代木簡字典』を刊行した。
著者
小沼 元輝 朱碧 蘭 山田 奨治 柴山 守 中川 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.606, pp.91-96, 2007-03-09
被引用文献数
2

本稿では,電子くずし字辞典に用いるロバストな文字認識の開発について述べる.古文書の翻刻作業を特定の専門家以外でも可能にし,その効率を高めるために,古文書で標準的に用いられるくずし字の辞典を電子化し,翻刻の利便性を向上させることが有効である.我々は,67,739種のくずし字に対する認識システムを開発した.くずし字までいかない通常の字体に対しても現有の認識システムを利用できるようにした.採用手法は,現在の文字パターンに対して一定の認識率を保証しているので,実用に耐えることを期待しているが,現実課題のサンプルパターンが少ないために,定量的な評価は今後の課題とする.
著者
森 岳志 中川 正樹 高橋 延匡 中森 眞理雄
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.807-814, 1988-08-15

本論文は 新しい浮動小数点表現法の比較・評価を行う環境を提供することを目的とし OS用言語CコンパイラCATに複数通りの浮動小数点表現法を実現したことについての報告である.本研究では (1)URR (2)IEEE表現法(3)MIL-STD-1750A表現法の3種類の表現法をサポートしている.さらに 表現法の選択を (ア)コンパイル時に行う方法 (イ)実行時に行う方法の両者を用いて実現した.後者の方法は 効率の良い評価環境を与えることを目的として考案された方式で 評価の際のコンパイルとリンクの手間を軽減し 新たに表現法を追加したとしても浮動小数点演算ライブラリの再編成だけを行えばよく プログラムの再コンパイルを必要としないことなどの特徴を有している.定数の扱いに問題が生じたが 現時点では実行時に内部表現に変換することによって解決している.
著者
森 岳志 中川 正樹 高橋 延匡 中森 眞理雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.807-814, 1988-08-15
被引用文献数
1

本論文は 新しい浮動小数点表現法の比較・評価を行う環境を提供することを目的とし OS用言語CコンパイラCATに複数通りの浮動小数点表現法を実現したことについての報告である.本研究では (1)URR (2)IEEE表現法(3)MIL-STD-1750A表現法の3種類の表現法をサポートしている.さらに 表現法の選択を (ア)コンパイル時に行う方法 (イ)実行時に行う方法の両者を用いて実現した.後者の方法は 効率の良い評価環境を与えることを目的として考案された方式で 評価の際のコンパイルとリンクの手間を軽減し 新たに表現法を追加したとしても浮動小数点演算ライブラリの再編成だけを行えばよく プログラムの再コンパイルを必要としないことなどの特徴を有している.定数の扱いに問題が生じたが 現時点では実行時に内部表現に変換することによって解決している.
著者
下村 秀樹 並木 美太郎 中川 正樹 高橋 延匡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.457-464, 1992-04-15
被引用文献数
15

本論文は 形態素解析処理に基づいて 日本文の誤りを検出する新しい手法(コスト比較法)と その誤り検出能力を提示するわれわれはまず 形態素解析処理を考察し 形態素解析が 単語をノードとする木の最小コストパス探索問題にモデル化できることに着目したこのモデルでは 単語のもっともらしくなさの程度がコストの大きさで示され 文節数最小法や最長一致法などの従来の代表的な手法は このモデルでのコスト設定と探索制御の一例として表現できる次に その形態素解析モデルを 文中の誤り検出という観点から検討したその結果 誤りを含む文を解析した場合には解析結果のコストが大きくなることを利用して 解析結果の各単語のコストをしきい値と比較することによって誤りを検出するという 従来にはない新しい手法(コスト比較法)を考案した本研究では コスト比較法の誤り検出能力を確認するために 単語接続確率モデルに従ってコストを設定した形態素解析を実現し 誤りを含む文を解析して 実験を行ったその結果 コスト比較法によって 多種類の誤り(誤字 脱字 仮名漢字変換誤りなど)を指摘できることがわかった本論文では コスト比較法の誤り検出能力の定量的 定性的実験結果を述べるとともに 誤りの正確な位置や原因の特定 誤りを判断するしきい値の設定 などの残された課題にも言及する
著者
白井 啓一郎 耒代 誠仁 井上 聡 久留島 典子 馬場 基 渡辺 晃宏 中川 正樹
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.7, pp.1-6, 2013-01-18

汚損,破損,および経年変化が著しい古文書から抽出した字形には多くのノイズが見られる.このような字形にノイズ除去のための汎用の画像処理手法を適用した場合,字形の細部が失われることがある.筆者らは,異方性拡散と距離画像を組み合わせることで,字形の本質的な形状を保存するノイズ除去のための画像処理手法を実現した.本稿では,古文書に記された字形を含む画像にこの画像処理手法を適用した結果を示すと共に検証を行う.Character shapes extracted from historical documents with stains, damages and time-related degradations contain much noise. General-purpose image processing for noise reduction often shaves off the detail of the character shapes. We have implemented new image processing for noise reduction that consists of anisotropic diffusion and geodesic morphology. In this manuscript, we show several results of the image processing applied to character shape image of historical documents and make considerations of the results.
著者
岩田 陽子 加藤 直樹 中川 正樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CE,[コンピュータと教育] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.33-40, 2002-12-13
参考文献数
5
被引用文献数
7 7

本稿では,遠隔地の生徒が電子ペンまたはタブレットPCを使って,先生が板書を行う電子白板と共有している描写画面に書き込みを行うことができるリアルタイムの遠隔授業システムについて述べる.遠隔地の生徒のディスプレイ上では,先生の代わりに先生用アバタを表示する.また,遠隔地の生徒が書き込みを行っているときには,電子白板と遠隔地の他生徒のディスプレイ上に生徒用アバタを表示する.これらのアバタにより,生徒の注意を筆記動作に向けさせることができる.遠隔地の生徒が筆記内容を電子白板側に送り,アバタによって授業に参加できることは,このシステムを使用した人達から好評を得た.今後の課題としては,実際の教育現場で評価を行う必要がある.
著者
加藤 直樹 田中 宏 中川 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.203-212, 2001-02-01
参考文献数
9
被引用文献数
7

本論文は, 手書きメッセージの読み書き, 送受信, 重ね書き, 筆記者・筆記時刻確認, 筆記再生などの機能を有する手書き電子メール環境について述べる. 我々は, 初心者にも自然な手書きをUIに採用し, 簡単に表現豊かなメッセージをインターネット上で送受信できるシステムを実現した.本システムは手書きメッセージが送受信できる点で, 近年急成長している携帯型情報通信端末に先行するものである.更に, 手書きの筆跡や図形, コード文字を表現できるように提案したフォーマットHandsDrawに従い, 手書きのメッセージを読み書き, 送受信する機能はもちろん, 受信メールへの上書き, 筆記者・筆記時刻確認機能, そして, 筆記再生機能を提供する.対話技法としては, ペン入力の良さを生かした囲み選択と, ペン入力の弱点を解決したボタンインタフェースを採用した.本システムを実際に使用してもらった上でアンケート調査を行い, また, 2年半にわたるインターネットでの公開や研究室内での使用によって多くの意見を収集した.その結果, 提供するすべてに機能に対して総じて肯定的な意見が得られた.その一方で, 手書きの文字をそのまま送りたくないとの意見も得られ, 文字認識機能の必要性が示された.
著者
持田 桂介 耒代 誠仁 朱 碧蘭 小沼 元輝 中川 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.741, pp.43-48, 2005-03-10

本稿では, 数式の混在を許容したオンライン手書き文字列認識手法を提案する.文字列認識や数式認識は, それぞれが認識対象とするパターンだけしか入力されないことを前提としている.しかし, 手書きパターン認識の分野では, これらが混在して入力される場合を想定しなければならない.本手法では, すべての数式を一つの文字として日本語文脈構造に取り入れることで, 従来の文字列認識手法に基づいた処理を可能とした.このとき, 元々文字列認識手法に基づいているため, 数式が混在しない文字列に対しても問題なく処理可能である.また, 一文字でも文字列として扱うという考えを拡張し, 数式だけの入力に対しても「数式」という一文字で構成される文字列として扱うことが可能である.
著者
高橋延匡 武山潤一郎 並木美太郎 中川正樹 石川 裕
雑誌
研究報告 システムソフトウェアと オペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.2, pp.1-6, 2011-07-20

今後の高性能計算機においては,数十から数百以上のコアを集積したメニーコア環境が重要な役割を負う.メニーコア環境では,これまでのマルチコア環境とは違った OS カーネルやシステムソフトウェアが要求されるが,それらの開発の際に必要な実験向けメニーコア環境は,現在はまだ一般に入手できない.このような状況でも OS の開発を進めるために,本研究ではアクセラレータタイプのメニーコア環境を FPGA を用いてシミュレーションするシステムを設計する.また,HDL による実装の前段階として,Gem5 フルシステムシミュレータ上にメニーコア環境をモデリングする.Manycore processors, which have more than dozens of cores, will play large role in high-performance computing (HPC) in near future. Manycore environments require kernels and other system software to be designed differently from multicore counterpart. However, manycore environments that are necessary to develop those system softwares is not generally available currently. Our study aims designing and implementing a simulator of manycore environment in FPGA for those system software development. Prior to implementing the system in FPGA, we model the manycore processor on Gem5 full-system simulator.
著者
鈴木 茂夫 小林 伸行 田中 泰夫 中川 正樹 高橋 延匡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.2-11, 1989-01-15
被引用文献数
5

本論文では 日本語情報処理を前提とした研究用計算機システムOS/oにおける日本語プログラミング環境について報告する.OS/oは システム全体で一貫して日本語が使用できるプログラム開発システムを目標としている.そのため フル2バイトの文字コード体系を採用し ファイル名 プログラミング言語の識別子に至るすべての文字に日本語を使用可能とした.これは OS/oを含めたすべてのシステムプログラムの記述言語として開発した言語Cの処理系CATの文字型を2バイト化することにより実現した.文字の書体 大きさなどの文字属性の表現方式として 属性情報を文字コードの実体から切り離し 独立した別のファイルに持つ方式を採用した.文字コードの実体ファイルと属性ファイルの統一的管理はファイルシステムにより実現している.これにより 属性情報を必要としないOSやコンパイラは 文字コードの実体だけを扱うことで 文字属性を意識する必要がなくなる.また 各アプリケーションの要求に応じてOSの機能を動的に拡張する機構を用意し これを利用して日本語変換入力機能を実現した.そして OS/oの一応用として レーザピームプリンタを用いた日本語文書出力システムを開発した.以上のように OS/oでは 日本語の入力 処理 そして出力を含めたトータルな日本語プログラミング環境を実現している.