著者
堀口 兵剛 大森 由紀 松川 岳久 小松田 敦 中嶋 克行
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

秋田県の北部・中部・南部のCd汚染地域の農業従事者は現在でもCd体内蓄積量は高く、健康影響が危惧される。これまでに北部Cd汚染地域での住民健康調査と各Cd汚染地域での医療機関におけるCd腎症スクリーニングにより多くのCd腎症患者や「イタイイタイ病」疑い患者を見出したが、調査対象を中部・南部のCd汚染地域まで拡大し、北部地域での追跡調査、湛水管理の米中ヒ素濃度への影響の観察なども実施する。それにより秋田県Cd汚染地域全体の実態把握、高齢でのCdの健康影響の解明、ヒ素に関する湛水管理の有効性と安全性の検討などを行い、地域住民のCdに関する健康問題の根本的な解決を目指す。
著者
堀口 兵剛 中嶋 克行 姫野 誠一郎 松川 岳久 小松田 敦 千葉 百子
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

鉱山由来の秋田県のカドミウム(Cd)汚染地域において、集落単位の住民健康診断と、腎機能低下患者を対象とする医療機関におけるCd腎症スクリーニングを実施した。多くの集落において農家中心の地元住民は自家産米摂取により現在でも高い体内Cd蓄積量を示した。Cdによる腎尿細管機能への影響は全体的には明確ではなかったが、Cd腎症と考えられる高齢患者が認められた。スクリーニングによりイタイイタイ病(イ病)患者を疑う人も見つかった。以上より、秋田県のCd汚染地域では現在でもCd腎症やイ病の患者が潜在するため、今後も住民のCdによる健康影響についての経過観察を継続する必要があると考えられた。
著者
中嶋 克行 坂上 真理 坂上 哲可 仙石 泰仁
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.266-276, 2019-06-15 (Released:2019-06-15)
参考文献数
23

本研究は,地域に住む要支援高齢男性が価値を置く作業の特徴を,当事者の視点から理解することを目的に,質的研究法を用いて調査した.北海道内の通所系サービスを利用する男性10名を対象に,1人60分程度の半構造化面接を実施した.分析はグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた.その結果,価値を置く作業は,【見える達成を実感できる作業】,【社会的に意味あることが確認できる作業】の2つの特徴が確認できた.さらに,作業に価値を見出す背景には,【作業選択を動機付ける自己資源】,【現状の生活に対する認識】があった.作業療法支援では,当事者による価値を置く作業の捉え方とその背後の状況の理解が,有効である可能性が示唆された.