著者
中村 征樹
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、研究不正問題が国際的にももっとも早い時期に「問題化」された米国の事例に着目し、研究不正行為が研究者コミュニティのみがかかわる問題としてではなく、科学者コミュニティの外部(社会)にとっても重要な問題として認識され、研究不正への取り組みが開始し、研究者倫理が生成・制度化してきた経緯を明らかにした。また、1990年代以降の研究倫理問題の国際化の進展についても明らかにすることで、研究者倫理の国際比較を行い、米国における「研究者倫理」の生成プロセスの特質を浮き彫りにした。
著者
中村 征樹 Nakamura Masaki
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
no.5, pp.31-43, 2008-06
被引用文献数
7

科学技術社会論研究 5 : サイエンス・コミュニケーション
著者
綾部 広則 中村 征樹 両角 亜希子 黒田 光太郎 川崎 勝 小林 信一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

欧米においては、近年、科学コミュニケーションにおける新たな試みとして、カフェ・シアンティフィーク(以下、CS)と呼ばれる活動が急速に広まっており、すでに実施主体間での国際的なネットワークが形成されている。一方、日本においても最近になってCSの手軽さもあって実際に実行しようとする団体が増えてきているが、しかしそれらの大半は欧米の表面的な模倣である場合が多く、そもそもなぜCSが開始されたのか、そしてそれは科学コミュニケーションにおいていかなる位置づけをもつのかを十分に理解した上で行われているとは言い難い。そこで本研究では、1)欧州各国における対話型科学コミュニケーションの現状に関する調査と国際的ネットワークの確立を行うとともに、2)日本における実験的導入と国内ネットワークの構築を実施した。まず、1)については、その他の国と際だった違いをみせているフランスとアジア地区の事例として韓国の状況を調査した。とりわけ、フランスについてはCSの発祥とされている英国のように話題提供者による発話を基本とするスタイルとは異なり、最初から議論に入ること、しかも単一の話題提供者ではなく、賛否双方の意見を持つ複数の話題提供者を参加させるというスタイルなど、英国やその他の地域において一般的に行われるのと際だった違いが見られ、日本における今後のCS運営においてもきわめて示唆的な成果であった。2)については、1)の海外調査の結果を活かしつつ、東京・下北沢において数回程度の実験的活動を繰り返したが、さらに4月に開催された「カフェ・シアンティフィーク」に関するシンポジウムに企画段階から協力することで、国内の実施主体を招聘し交流を行い、国内間でのネットワークが形成される重要な契機をつくった。