著者
小方 直幸 山本 清 福留 東土 両角 亜希子
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、高等教育政策の世論の構造と形成機能を萌芽的に解明することにあり、全省庁の政策案件のパブリック・コメントデータベースをe-GOVを基に作成した上で、文科省に考察対象を絞り、局別のパブリック・コメントの構造を明らかにした。局により案件数や公募タイプ別の案件分布が異なり、意見数についても公募タイプの相違を超えて、局別の特性の存在が析出された。他方で、意見の反映状況は、行政手続法に基づく案件に限定されてしまい、意見のまとめ方も定型的なフォーマットが存在しておらず、マクロの量的な分析から得られる知見に一定の意義はあるものの、意見反映までを見据えた考察には限界があることも、改めて明らかとなった。
著者
大桃 敏行 秋田 喜代美 村上 祐介 勝野 正章 牧野 篤 藤村 宣之 本田 由紀 浅井 幸子 北村 友人 小玉 重夫 恒吉 僚子 小国 喜弘 李 正連 植阪 友理 市川 伸一 福留 東土 新藤 浩伸 齋藤 兆史 藤江 康彦 両角 亜希子 高橋 史子 星野 崇宏 伊藤 秀樹 山本 清 吉良 直 星野 崇宏 伊藤 秀樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

日本を含めて多くの国で多様化や競争、成果に対するアカウンタビリティを重視するガバナンス改革が行われてきた。また同時に、単なる知識や技能の習得からそれらを活用する力や課題解決力、コミュニケーション能力などの育成に向けた教育の質の転換の必要性に関する議論が展開されてきた。本研究の目的はガバナンス改革と教育の質保証との関係を検討しようとするものであり、成果志向の改革では、広い能力概念に基づく教育において評価がどこまでまたどのように用いられるのかが重要な課題となってきていることなどを示した。
著者
両角 亜希子 小方 直幸
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.159-174, 2012-03-10

Management of university becomes a critical issue because of competition for acquiring students due to the declining birthrate. However the research of this area have been mainly focused on the analysis of financial health based on the size or selectivity of universities and professionalization of staff or cooperation between staff and faculty and the approach from the organizational point of view remains unexplored field. This paper examines the university management and organization focusing on private universities. Three areas-governance, personnel system and organizational climate are focused on as the organizational characteristics and the relationship between university organization and adequacy of the student quotas of enrollment is examined. University governance such as strength of autonomy of faculty and president of board of trustees from a founding family or not and organizational climate such as sharing of goals have some important effect on the financial health of universities on the one hand, but personnel system has no clear influence while it improves work motivation of staff.
著者
金子 元久 矢野 眞和 小林 雅之 藤村 正司 小方 直幸 山本 清 濱中 淳子 阿曽沼 明裕 矢野 眞和 小林 雅之 濱中 淳子 小方 直幸 濱中 義隆 大多和 直樹 阿曽沼 明裕 両角 亜希子 佐藤 香 島 一則 橋本 鉱市 苑 復傑 藤墳 智一 藤原 正司 伊藤 彰浩 米澤 彰純 浦田 広朗 加藤 毅 吉川 裕美子 中村 高康 山本 清
出版者
東京大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2005

本研究は、1)日本の高等教育についての基礎的なデータを大規模調査によって蓄積し、その分析をおこない、2)それをもとに各国の高等教育との比較分析を行うとともに、3)その基礎にたって、日本の高等教育の課題を明らかにすること、を目的とした。とくに大規模調査については、(1)高校生調査(高校3年生4000人を、その後5年間にわたり追跡)、(2)大学生調査(127大学、約4万8千人の大学生について学習行動を調査)、(3)社会人調査(9千事業所、2万5千人に大学教育の経験、評価を調査)、(4)大学教員調査(回答者数約5千人)、(5)大学職員調査(回答者数、約6千人)、を行い、それをデータベース化した。
著者
丸山 文裕 両角 亜希子 福留 東土 小林 雅之 秦 由美子 藤村 正司 大場 淳
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

大学へのファンディングと大学経営管理改革との関係を検討するのが本研究の目的である。平成29年度は、一つには、日本において大学へのファンディングの方法の変化が、大学での研究生産性に及ぼす影響を考察した。大学へのファンディングは、国立大学への運営費交付金など基盤的経費の削減と、他方科学研究費補助金などの競争的資金の増加にシフトしているが、それが研究の生産性にマイナスの効果を持つことを、専門分野の異なる全国の大学の研究者にアンケート調査することによって得られたデータにより証明した。また平成29年秋の参議院選挙まえに突如争点となった自民党や有識者会議「人生100年時代構想会議」等が主張する教育無償化について、それが高等教育機関の経営管理に対する影響も含め、検討した。教育無償化案は、大学進学者や大学経営にポジティブな影響をもたらすものと推測されるが、一方で政府財政の立て直しや、大学に配分される研究費にとって、必ずしもポジティブな効果をもたらさないことを論じた。消費税増税分の一部を無償化に回すことで、国際公約となっている公的債務削減が遅れ、政府財政の健全化に支障をきたすこと。また文教予算のうち高等教育無償化を推進するため、日本学生支援機構への奨学金事業費が増加するものの、その分国立大学運営費交付金および私立大学への経常費補助金が削減される可能性があること、の2つが危惧される。以上2つの研究成果は、論文として平成29年度に公表した。
著者
両角 亜希子
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、アメリカの大学の中でも、とくに授業料依存型の財務構造をもつ大学における経営戦略の実態を明らかにし、日本の大学経営に対する具体的な示唆を導きだすことにある。アメリカの私立大学のなかでも、潤沢な基本財産をもつ大学に注目が集まりがちだが、アメリカにおいても数の上では大半を占める授業料依存型の私立大学である。こうしたタイプの大学の多くは研究機能より教育機能で個別化戦略を立てていることが多い。そこで、アメリカで近年盛んにおこなわれている学生の学習状況調査(とくにインディアナ大学が行っているNational Survey of Student Engagementを中心に検討)で高い評価を上げている大学を探し、その中から、授業料依存率の高い大学をいくつか抽出してその特徴を検討した。
著者
両角 亜希子 MOROZUMI Akiko
出版者
名古屋大学高等研究教育センター
雑誌
名古屋高等教育研究 (ISSN:13482459)
巻号頁・発行日
no.19, pp.171-197, 2019-03

本稿の目的は、優秀な学長が何を重視し、どのような形でリーダーシップを発揮しているのか、そうした学長たちはどのように育ってきたのかを、11名の学長へのインタビュー調査から明らかにし、学長人材の育成に対する示唆を得ることである。学長たちは、ビジョンを示し実現につなげる能力や覚悟といった組織目標を達成するための努力と、構成員の理解や協力を引き出すための工夫やコミュニケーションという大きく二側面を重視していた。学長の育成方法については、学者経験のある学長は、学内役職経験の効果が大きいが、それだけでなく、機会を作って高等教育や政策について学んでいた。学者経験のない学長の場合は一定の苦労があるが、それぞれの持つ経験のほか、やはり自ら学ぶことで役割を果たしていた。今後の学長人材育成に対する考え方については、自身が育った方法が望ましいと考える傾向があったが、学長には一定の資質がある人物に、役職を与え、同時に研修の場に出るなどの学習をしてもらうことで育成することが有用というのが共通項であった。学長のリーダーシップに期待し、権限や予算を付与するだけでなく、育成という観点が重要である。The purpose of this paper is threefold: to clarify what Japan's leading university presidents emphasize in their work; how they demonstrate leadership; and, finally, how they developed into the leaders they became. Through interviews with 11 university presidents, this study revealed that these leaders largely emphasize determination in expressing their school's vision and putting in the necessary hard work to achieve their organizational goals. In addition, the university presidents emphasized the measures needed to extract understanding and cooperation from their team members. With regard to their leadership development processes, those with previous academic experience found that their experiences had a great effect upon their professional accomplishments. In addition to this, as much as possible, they pursued opportunities to learn more about higher education and its policies. Generally, those presidents who had no previous academic experience did self study to help them fulfill their duties. Regardless of how they got there, the presidents had a tendency to believe that the way they developed their leadership skills was the most desirable method. One common element shared by most of the university presidents interviewed was their ability to delegate work to qualified individuals and then to encourage them in advanced learning and further development. It is important to applaud the leadership skills of university presidents and to grant them authority, a sufficient budget, and opportunities for ongoing leadership development.
著者
平本 早雪 両角 亜希子
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
no.57, pp.147-164, 2018-03-29

In recent years, Japanese higher education policy has encouraged the strengthening of the leadership role of the university president; however, the meaning of "leadership role" has not always been very clear. To clarify the understanding of what is expected of university presidents; we must first understand what roles they are playing now and which factors affect the ways in which they fulfill their position. The purpose of this study was to clarify the influence of the university president's job description and number of years in office on what the president actually does and on his or her abilities using a questionnaire-based survey. The results revealed notable differences in the duties and capabilities of university presidents, depending on their professional experience and number of years of service.
著者
両角 亜希子
出版者
筑波大学大学研究センター
雑誌
大学研究 (ISSN:09160264)
巻号頁・発行日
no.22, pp.275-293, 2001-03

高等教育をとりまく環境の大きな変化を背景として大学の「経営」のあり方が重要な問題となりつつある。しかしこれについての分析的な研究は我が国においてはまだ必ずしも十分になされておらず、むしろ研究の基礎的な概念や枠組みの設定 ...
著者
綾部 広則 中村 征樹 両角 亜希子 黒田 光太郎 川崎 勝 小林 信一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

欧米においては、近年、科学コミュニケーションにおける新たな試みとして、カフェ・シアンティフィーク(以下、CS)と呼ばれる活動が急速に広まっており、すでに実施主体間での国際的なネットワークが形成されている。一方、日本においても最近になってCSの手軽さもあって実際に実行しようとする団体が増えてきているが、しかしそれらの大半は欧米の表面的な模倣である場合が多く、そもそもなぜCSが開始されたのか、そしてそれは科学コミュニケーションにおいていかなる位置づけをもつのかを十分に理解した上で行われているとは言い難い。そこで本研究では、1)欧州各国における対話型科学コミュニケーションの現状に関する調査と国際的ネットワークの確立を行うとともに、2)日本における実験的導入と国内ネットワークの構築を実施した。まず、1)については、その他の国と際だった違いをみせているフランスとアジア地区の事例として韓国の状況を調査した。とりわけ、フランスについてはCSの発祥とされている英国のように話題提供者による発話を基本とするスタイルとは異なり、最初から議論に入ること、しかも単一の話題提供者ではなく、賛否双方の意見を持つ複数の話題提供者を参加させるというスタイルなど、英国やその他の地域において一般的に行われるのと際だった違いが見られ、日本における今後のCS運営においてもきわめて示唆的な成果であった。2)については、1)の海外調査の結果を活かしつつ、東京・下北沢において数回程度の実験的活動を繰り返したが、さらに4月に開催された「カフェ・シアンティフィーク」に関するシンポジウムに企画段階から協力することで、国内の実施主体を招聘し交流を行い、国内間でのネットワークが形成される重要な契機をつくった。