著者
中村 泰信
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.209-220, 2021-04-05 (Released:2021-04-05)
参考文献数
158

昨今,量子技術への関心が高まり,ニュースでもしばしば量子コンピュータや量子インターネットなどの話題が取り上げられる.中でも超伝導回路を用いた量子コンピュータの研究開発は,米国Google社やIBM社といった大企業が先頭を切って取り組んでいることもあり,大きな注目を集めている.その背景には,超伝導量子コンピュータの核となる要素回路であり,その誕生から20年を経てもなお進化し続けている超伝導量子ビット研究の進展がある.本稿では,超伝導量子ビット研究の最近の進展を紹介し,今後の課題について議論する.長い歴史をもつ電気回路工学やマイクロ波工学の研究分野も,「量子」という新しい視点で捉え直すと,また違った世界が開けてくる.
著者
中村 泰信
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.762-769, 2011-10-05 (Released:2019-06-14)
参考文献数
70
被引用文献数
2

巨視的量子効果としての超伝導に関わる実験の歴史と最近の進展を概観する.特に超伝導秩序パラメータの位相がどのようにして理解され,制御されてきたかということに注目する.巨視的量子コヒーレンスや量子計算といった新しい概念が大きな動機付けとなって研究が進み,電気回路上で人工的な量子力学系を設計しその量子状態を自在に操ることができるようになってきている.
著者
増山 雄太 中村 泰信 野口 篤史 布能 謙 村下 湧音 河野 信吾 田渕 豊 山崎 歴舟 上田 正仁 Pekola Jukka P.
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.2649, 2016

<p>本研究では,三次元マイクロ波共振器中に超伝導量子ビットを配置した系により,超伝導量子ビットに対して射影測定を行い,その結果を用いてコヒーレンス時間内にフィードバックし,再び超伝導量子ビットを射影測定した.この一連の測定結果から,絶対不可逆な過程の寄与も考慮に入れた一般化された積分形のゆらぎの定理を検証した.この結果は量子系におけるMaxwellの悪魔を初めて実装できたことを示している.</p>
著者
中村 泰信 蔡 兆申
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.1299-1304, 2000-11-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
38
被引用文献数
2

量子計算機の実現に向けて,さまざまな物理系を用いた量子ビットおよび叢子演算ゲートの提案がなされている,本稿では,超伝導素子,特にジョセブソン接命を用いた固体電子素子による量子ビットに注目し,その最初の実現例および関連するいくつかの提案例を紹介する.
著者
蔡 兆申 中村 泰信 阪本 利司
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.1232-1238, 1994-12-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
43

トンネル素子の微細化を進めると,ある時点で系の静電エネルギーが十分大きくなり,熱ゆらぎや量子ゆらぎに対して無視できない量になる.このような素子にひとつ余分に電子を出したり入れたりするのには,ある決まった量の余分なエネルギーが必要である.このような物理を利用した回路技術がシングルエレクトロニクスであり,例えば一素ゲート電荷 (Qgate=e) のみにより,電流のオンオフやひいては単一電子の輸送の制御などのことができる.本文ではわれわれがAl接合により作製した単一電子電荷計,電子箱,電子トラップなど各種回路の動作実験を中心に,シングルエレクトロニクスの研究動向および将来の展望を考察する.