著者
中村 達雄
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.507-512, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
14

人工神経管(PGA-C tube)を用いた再生医学の臨床応用が2002年より始まっている.この再生医療を支えるのがin situ Tissue Engineering(生体内再生)の概念である.in situ Tissue Engineeringは欠損した組織を生体内のその部位(in situ)で再生させる手法で世界に先駆けて本邦で提唱された.末梢神経は再生能力を有するが,人工神経PGA-C tubeは神経再生の「場」をPGAチューブの内腔に有する医療器具である.これまでに再建した末梢神経は合計300本を超え,また神経因性疼痛に対しても効果があることが判明し,新たな治療法として期待が高まっている.
著者
中村 達雄
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 = The Journal of Japan Society for Clinical Anesthesia (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.507-512, 2013-07-13
参考文献数
14

&nbsp;&nbsp;人工神経管(PGA-C tube)を用いた再生医学の臨床応用が2002年より始まっている.この再生医療を支えるのが<I>in situ</I> Tissue Engineering(生体内再生)の概念である.<I>in situ</I> Tissue Engineeringは欠損した組織を生体内のその部位(<I>in situ</I>)で再生させる手法で世界に先駆けて本邦で提唱された.末梢神経は再生能力を有するが,人工神経PGA-C tubeは神経再生の「場」をPGAチューブの内腔に有する医療器具である.これまでに再建した末梢神経は合計300本を超え,また神経因性疼痛に対しても効果があることが判明し,新たな治療法として期待が高まっている.
著者
中原 貴 中村 達雄 田畑 泰彦 江藤 一洋 清水 慶彦
出版者
日本炎症・再生医学会
雑誌
炎症・再生 : 日本炎症・再生医学会雑誌 = Inflammation and regeneration (ISSN:13468022)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.116-121, 2003-03-10
参考文献数
26
被引用文献数
3 2

Our strategy for tissue regeneration is to induce maximum intrinsic healing potential at the site of a tissue defect, applying the elements of tissue engineering. Regeneration of periodontal tissues occurs through the combined application of a collagen sponge scaffold and gelatin microspheres incorporating basic fibroblast growth factor (bFGF) for controlled release. This &ldquo;sandwich membrane&rdquo; with or without bFGF (100&mu;g) was applied to a three-walled alveolar bone defect (3 x 4 x 4 mm) in nine dogs. Periodontal tissues, both hard and soft, treated with bFGF were effectively regenerated four weeks after the operation with functional recovery of the periodontal ligament in parts. Next, the effect of combining cells with the treatment was evaluated. Periodontal fenestration defects (6 x 4 mm) were created bilaterally in the maxillary canines of six dogs. One of these was filled with the collagen sponge scaffold seeded with autologous periodontal ligament-derived cells (3 x 10<sup>5</sup>), and the other was left empty. After four weeks, on the cell-seeded side, regeneration of the cementum was observed uniformly on the root surfaces, indicating that the seeded cells had formed new cementum. Our findings suggest a promising new approach to periodontal regeneration that is based upon <I>in situ</I> tissue engineering.
著者
稲田 有史 中村 達雄
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

神経因性疼痛モデルを大型動物(ビーグル)で作製した。それを外科的に治療することにより、局所ならびに中枢でどのような変化が起こるか電気生理学的及び病理・生化学的に解析することにより発症メカニズと治療のメカニズムを解明した。疼痛動物モデルとしては、末梢神経絞把モデルが確立されているので、それを坐骨神経に対して用い、末梢損傷の回復モデルとしてはビーグル犬坐骨神経を神経切除後に欠損部を人工神経で再建したものを用いた。さらに神経再生を促進する方法として、自己由来細胞の応用についても検討した。
著者
稲田 有史 中村 達雄
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究はそれを末梢神経の痛みを伴う患者に適応したとき、偶然に発見した驚くべき事実、即ちこれまで不可逆と考えられていたCRPSが、局所の障害を受けた神経を切除して、健全な末梢神経を再生されることによって、治癒するという事実を解明した。本研究ではこの局所の再生治癒機転を病理的に解明することから開始した。こういうアプローチは臨床では従来されてこなかったものであり、これまで治のみならず世界的にもかつて例がない。平成22年度に行った研究とその成果は下記の如くである。1) 局所の末梢神経損傷が周囲に与える影響を病理組織学的に検討した。臨床的に我々が初めて確認したカウザルギーの範囲に一致して損傷部位の神経からsproutingが生じるという事実を動物実験で検証した。2) 再生する末梢神経が中枢に与えるメカニズムを解明した。脊髄神経管の活動電位を測定し、神経線維、特にC fiberの再生を評価した。併せて神経の活動電位の回復も調べた。3) ビーグル犬のperoneal nerveの浅枝に微小電極を刺入して、単位感覚神経の活動電位を記録できるシステムを構成した。再生神経が触覚、熱覚、機械刺戟に対してどのように反応するか検討した。またマンシェット圧迫やエタノール注入によりA線維を遮断してCNAPがどのように変化するか、交感神経ブロックにより再生神経の活動電位がどのような影響を受け、これは正常の神経の回復の各時期においてどう違うか調べた。これらの研究の結果より新しい理論として「総和仮説」を提唱した。この理論は運動器疼痛に対する外科治療の新たな地平を切り拓くものとして注目されている。