- 著者
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中野 明正
上原 洋一
山内 章
- 出版者
- 日本土壌肥料學會
- 雑誌
- 日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
- 巻号頁・発行日
- vol.74, no.6, pp.737-742, 2003
- 参考文献数
- 27
- 被引用文献数
-
5
トマトの隔離床栽培において,5種類の施肥区(CDU化成肥料を与えたCDU区,低硫酸根緩効性肥料を与えたLSR区,窒素の想定必要量の半量ずつをCDUと牛糞堆肥で与えた区をCM+CDU区,同様にCDUと鶏糞堆肥で与えた区をPM+CDU区,牛糞堆肥および鶏糞堆肥のみを与えた区をCM+PM区)を設け年2作,4連作を行った.収量の経年変化,トマト果実の糖度,無機成分組成,土壌と果実のδ^<15>N値を測定した.化学肥料と堆肥施用で収量における有意な差は認められなかった.糖度についてはLSR区で他の処理区に比べ低くなる傾向があったが,CDU区では堆肥を施用した処理区と同程度の糖度を示したので,糖度の低下は化学肥料に特有の現象ではないと考えられた.また,無機成分組成ではマグネシウムだけが,CM+CDU区で増加する結果を得たが,堆肥施用の普遍的な効果とは考えられなかった.以上の結果からは,堆肥施用がトマトの収量,糖度,無機成分含量を増加させるという結論を導くことは困難であると考えられた.一方で,化学肥料および堆肥のδ^<15>N値は,土壌と果実の双方のδ^<15>N値に反映され,土壌と果実のδ^<15>N値の間には高い相関が認められた(R^2=0.89).これらのことから,堆肥施用したものと化学肥料施用したものとを分ける閾値を設け,δ^<15>N値を用いた有機農産物判別の可能性が考えられた.