著者
吉井 智晴 福島 豊 星 虎男 山内 章子 前原 達也 高橋 奈央
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.G0635-G0635, 2004

【はじめに】「コミュニケーション能力」は対人サービスを行う理学療法士にとって大変重要である。しかし、その教育方法論は確立されておらず試行錯誤の状態である。そこで基礎能力の向上を目的として授業を実施し、その結果を報告する。<BR>【対象と方法】理学療法学科1年生35名。男性17名。女性18名。平均年齢20.7±4.4歳。4大卒11%、職歴無77%と現役の学生が多かった。授業目標を「話す・書く・聞く能力の基礎を身に付ける」とし、理学療法概論の授業の中で実践した。具体的にはアサーティブネスの理論を用いたロールプレイングや3分間スピーチで、スピーチを聞く側にはコメントシート提出の課題を課した。コメントシートには発表者の良かった点と改善したほうが良い点を書く。それをコピーし、1枚は教員がコメントの内容ではなく書き方について指導し、書いた学生にフィードバックする。もう1枚は発表者にフィードバックするという方法を取った。従って学生1人当たり、35人にコメントし、35人からコメントがもらえる仕組みである。発表する学生はもちろんのこと聞く学生も聞き方を意識し、短時間で自分の意見を的確に書かなければならないという場面設定をした。「話す・書く・聞く」ことについて得意かどうかの自己評価をSemantic differential scale(SD法)にて行い、授業の前後での変化やその内容についてアンケート調査を実施した。統計手法は対応のあるウィルコクソン検定を用いた。<BR>【結果】1)「話す」は授業開始前平均2.8±2.7点→授業終了後5.2±2.4点と改善した。同様に「書く」は4.2±2.0点→5.8±1.8点、「聞く」は5.7±1.7点→6.9±1.4点とどの項目でも学生の自覚的得意度は有意(p<0.01)に向上した。2)変化の内容は、「話す」では「聞く人の事を考えて話すようになった」(65.7%)「書く」では「読み手の事を考えて書くようになった」(77.1%)「聞く」では「相手の話し方に注意して聞くようになった」(71.1%)の項目に回答する学生が多かった。また、それぞれの技術の向上を自覚できたものは「話す」5.7%、「書く」8.6%、「聞く」57.1%であった。<BR>【考察】授業前後での自己評価は改善し、肯定的な変化を自覚したものが多かった。その内容からは常に相手がいる事を強く意識するようになった変化が伺える。実際に体験させ、適宜フィードバックをする授業方法により、コミュニケーションは一方的な情報伝達ではなく、自分の言動によって相手の感情や理解の度合いも変わることに学生自身が気づいた結果だと思う。今回の方法で学生の気づきに対する効果は見られたが、コミュニケーション技術の向上を自覚できたものは「聞く」以外は少数であり、授業内容の検討が必要である。また、学生の能力の変化を見るため主観的、客観的な評価法も考えて行きたい。
著者
中野 明正 上原 洋一 山内 章
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.737-742, 2003
参考文献数
27
被引用文献数
5

トマトの隔離床栽培において,5種類の施肥区(CDU化成肥料を与えたCDU区,低硫酸根緩効性肥料を与えたLSR区,窒素の想定必要量の半量ずつをCDUと牛糞堆肥で与えた区をCM+CDU区,同様にCDUと鶏糞堆肥で与えた区をPM+CDU区,牛糞堆肥および鶏糞堆肥のみを与えた区をCM+PM区)を設け年2作,4連作を行った.収量の経年変化,トマト果実の糖度,無機成分組成,土壌と果実のδ^<15>N値を測定した.化学肥料と堆肥施用で収量における有意な差は認められなかった.糖度についてはLSR区で他の処理区に比べ低くなる傾向があったが,CDU区では堆肥を施用した処理区と同程度の糖度を示したので,糖度の低下は化学肥料に特有の現象ではないと考えられた.また,無機成分組成ではマグネシウムだけが,CM+CDU区で増加する結果を得たが,堆肥施用の普遍的な効果とは考えられなかった.以上の結果からは,堆肥施用がトマトの収量,糖度,無機成分含量を増加させるという結論を導くことは困難であると考えられた.一方で,化学肥料および堆肥のδ^<15>N値は,土壌と果実の双方のδ^<15>N値に反映され,土壌と果実のδ^<15>N値の間には高い相関が認められた(R^2=0.89).これらのことから,堆肥施用したものと化学肥料施用したものとを分ける閾値を設け,δ^<15>N値を用いた有機農産物判別の可能性が考えられた.
著者
ラーマン エス エム モシアール 真壁 朝敏 名嘉 海人 山内 章広
出版者
一般社団法人 日本高圧力技術協会
雑誌
圧力技術 (ISSN:03870154)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.209-215, 2020

There is a good correlation between the static strength and fatigue limit in many carbon steels. However, in the case of some commercially sold carbon steel, the fatigue limit cannot be evaluated from the static strength. Care should be taken when those materials are used for ma-chine equipment. In the case of some materials, there is decrease in fa-tigue limit from the expected values of Vickers hardness. In this study, one such case was investigated by push-pull. The examinations of the <I>S</I>-<I>N</I> curves and crack growth behavior were performed. Then, it was discussed that decrease in fatigue limit was related to the existence of inclusions or defects of unexpectedly large size. When such material as used in the present study is used for a machine equipment, the decrease of fatigue limit should be taken into account to determine an applied load.
著者
菅井 裕子 北野 信彦 山内 章
出版者
(財)元興寺文化財研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

新岩絵具は鉛ガラスを主体し、戦後の日本画制作に多用されてきている顔料の一つである。その変色について以下の通り調査した。1.変色した日本画作品の調査新岩絵具を用いて描かれ、約20年経過した日本画の画面に、変色した部分が観察された。制作後、どの時点で変色が起こったのかは不明である。群青色あるいは緑色の部分の表面が黒銀灰色に変化していた。下地は朱である。これらの箇所をX線回折により分析したところ、変色部分には硫化鉛(PbS)が生成している可能性があることを確認した。硫黄が導入された原因としては、(1)外部からのガス等によるもの、(2)朱下地によるもの、(3)その他、が考えられる。調査結果を受けて、朱の下地と新岩絵具との相互作用を加熱した条件で調べたところ、黒っぽい変色がみられた。室温化でこれらの反応が起こるのか追跡する必要がある。2.現代日本画の現地調査制作された当時の色調を示す客観的な判断材料がなかったため、明らかな新岩絵具の変色を確認する事はできなかった。3.新岩絵具の変色・回復試験変色試験に用いた新岩絵具は最も粒子の細かい「白」で、色目は緑青・黄土・水浅黄・桃色・銀鼠の5色である。試料は主に絵具を和紙上に膠を用いて塗布した試料(礬水引きの有無、胡粉下地の有無の区別あり)を使用した。1)高湿度下、二酸化硫黄10ppm、20時間:色変化の傾向は、黄土・銀鼠は黄変、水浅黄などはやや白化するなど、絵具の色により異なっていた。生成した物質が異なるためか、着色剤の状態が変化したためとみられる。2)高湿度下、硫化水素10ppm、20時間試験に用いた5色いずれも褐色化した。鉛及びその他の金属元素が硫化したことが考えられれる。3)高湿度下、ホルムアルデヒド25ppm、20時間この条件ではほとんど変化がなかった。長期の試験が必要である。上記の3条件のうち、1)では、胡粉下地・礬水引きのある試料、2)では胡粉下地あり、礬水引きなしの試料の変色程度がやや少なかった。次に3)については、今回の条件下では変色がみられなかったが、長時間暴露による影響が懸念される。パネルに使用されることのある合板の接着剤からホルムアルデヒドが発生する恐れがあり、影響の確認が必要である。一方、二酸化硫黄で変色した試料の回復がオゾンにより可能かを調べたが、部分的に元の色に近づくものの、ムラができてしまい、完全な回復には至らなかった。
著者
山内 章 仲 政明
出版者
(財)元興寺文化財研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、膠の原料作りから膠の製造に至るまで、石灰・防腐剤・過酸化水素水などの薬品及び添加剤を一切使用せず、牛皮などの動物皮と水だけを用いた膠を製造することが出来た。また、原料作りや膠の抽出と乾燥などの製造技術と装置を開発し、入手ルートを確立したことにより、文化財の修復材料・日本画の固着材・製墨など、各々の用途に適した品質の膠を、原料や品質などの情報を明記して流通させることが可能になった。
著者
立岩 一恵 冨室 光司 山内 章史
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.31-34, 1997-09-25
被引用文献数
2

Two kinds of marketed spices, cayenne-pepper powder (Shichimi-togarashi) and curry powder (Kare-ko), were tested as food for Indian meal moth larvae, Plodia interpunctella (H.). When eggs were introduced into newly purchased spices, no larvae developed. Even young 5th instar larvae placed on the spices could not develop, and died, in the newly purchased spices. After one or two months of air-exposed aging of the newly purchased spices, however, about 50% of introduced eggs (hatching larvae) grew, pupated, or emerged into adults in cayennepepper powder containers, but no larvae developed in the curry powder containers yet. After 6 months of aging of the newly purchased curry powder, one of 30 introduced 5th instar larvae could emerge into an adult. These results suggest that the newly purchased spices contained some factor(s) killing Indian meal moth larvae, and the factor(s) would fade out during the aging periods of the spices under the air-exposed conditions.