著者
將積 日出夫 渡辺 行雄 丸山 元祥 本島 ひとみ 十二町 真樹子 安村 佐都紀
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.106, no.9, pp.880-883, 2003-09-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

(目的)Meniett20Rはメニエール病の携帯型中耳加圧治療器具である,本論文では,本邦で初めてMeniett20Rを薬物療法に抵抗する難治性めまいを反復し,人退院を繰り返す高齢メニエール病患者に対して用い,めまいに対する治療効果を報告した.(方法)対象は,高齢重症メニエール病患者2例であった.Meniett20Rによる治療開始から1年間の経過を評価した.(結果)治療開始からめまい発作消失までは約3カ月であり,めまい係数からいずれも改善と評価された.(結論)Meniett20Rは,鼓室換気チユーブ留置術を必要とするが,めまい制御に対する有効性が期待でき,簡便で安全性が高い.したがって,薬物療法に抵抗する重症メニエール病に対する治療方法の選択肢の一つとなる可能性がある.
著者
名古屋 春満 武田 英孝 傳法 倫久 加藤 裕司 出口 一郎 福岡 卓也 丸山 元 堀内 陽介 棚橋 紀夫
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.59-66, 2011-01-25 (Released:2011-01-26)
参考文献数
23
被引用文献数
7 5

2002年8月から2009年10月までの間に埼玉医科大学国際医療センター・埼玉医科大学病院を受診した特発性頸部内頸動脈解離症例10例(年齢は36~70歳,男性8例,女性2例)について臨床的検討を行った.診断にはSASSY-Japan脳動脈解離ワーキンググループの「脳動脈解離の診断基準」をもとに,頭部MRI・MRA,3D-CTA,脳血管撮影,頸動脈超音波検査などの検査を用いて行った.脳虚血発症例は8例,頸部痛のみの症例が1例,無症候性が1例であった.発症時に頭痛または頸部痛を伴った症例は4例(40%)であった.10例中4例で発症後3カ月以内に画像上解離血管の改善が認められた.発症3カ月後のmodified Rankin Scale(mRS)は7例がmRS 1であり,3例がmRS 2と全例で転帰が良好であった.平均観察期間17.2カ月において,全例で脳卒中の再発を認めなかった.本邦においても特発性頸部内頸動脈解離症例は決して稀ではなく,内頸動脈の閉塞または狭窄を来した症例に遭遇した際には,常に本疾患を念頭においた複数の検査を可及的速やかに行う必要がある.