著者
深瀬 聡 丸山 文夫
出版者
The Japan Petroleum Institute
雑誌
石油学会誌 (ISSN:05824664)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.611-619, 1994-11-01 (Released:2008-10-15)
参考文献数
19
被引用文献数
7 7

ベンチスケールの水素化精製装置を用いて, フレッシュおよび実機使用済みのNi-Mo/Al2O3触媒を使用し, 種々の条件下でFCC原料油であるVGOの前処理を行った後, 得られた生成油中のVGO留分についてMATを用いた接触分解試験を実施した。水素化精製の過酷度は, FCC原料油の組成とその接触分解特性に大きく影響を及ぼした。圧力3.9MPa, 温度400°C以上では熱分解の寄与が大きく, 水素化脱窒素がより起こりやすい条件である7.8MPaで水素化精製した時に比べ, VGO留分にはより多くの窒素と多環芳香族が含まれた。このため水素化分解率が高い3.9MPaでの水素化精製の場合には, 生成したVGOの接触分解率は大きく低下した。そして窒素, 多環芳香族, レジン等の原料油の性状とMAT分解率とを関連付ける式を提案した。
著者
都築 基弘 平野 正美 井野 晶夫 長谷川 明生 宮崎 仁 小島 博嗣 丸山 文夫 岡本 昌隆 松井 俊和 江崎 幸治
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.296-302, 2000

1984年8月から1998年1月までに受診した高齢者(60歳以上)AML全83例の特質を明らかにするために同時期に受診した若・壮年者(15&sim;59歳)114例と臨床像および検査所見の比較検討を行った。高齢者AMLは,白血病細胞側の特徴としてはMDS先行AMLが多く,<i>de novo</i> AMLのFAB分類ではM3が少なく,M0, M1の多い傾向がみられた。染色体検査では予後不良とされる5番,7番染色体の異常が多くみられ,予後良好な15;17転座,8;21転座,16逆位は少なかった。また白血病芽球のミエロペルオキシダーゼ陽性率50%未満の症例が多くみられた。宿主側の特徴としては,検査所見では末梢血芽球比率,総蛋白低値,フィブリノーゲン,クレアチニン高値を示した。performance status 3および4の症例が約40%を占めており,診断時肝障害,心疾患,明らかな感染巣を有する症例が多くみられた。高齢者AMLは若・壮年者に比し多くの予後不良因子をもつ集団であることが示された。
著者
久光 俊昭 後明 和幸 丸山 文夫
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会誌 (ISSN:05824664)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.479-484, 1993
被引用文献数
1

シェールオイルを水素化精製する際の脱ヒ素前処理反応器に適した反応条件と触媒を選定するため, 2種類のモリブデン-ニッケル-アルミナ触媒と1種類のγ-アルミナの脱ヒ素活性を評価した。その結果, 石油精製に使用されている通常のモリブデン-ニッケル-アルミナ触媒を使用し, 300°C, 2.0 LHSVの比較的温和な条件にて水素化処理することにより, 原料油中に含まれるヒ素の90%以上を除去できることが判明した。<br>さらに, 上記触媒の一つを使用してシェールオイルの水素化精製を130時間行ったが, その間での触媒活性は安定していた。使用後の反応器内部におけるヒ素の分布を調べた結果, 除去されたヒ素のほとんどが触媒上にあり, 排ガス中には検出されなかった。ヒ素の沈積量は触媒床上部で多く, 下方に行くに従って減少した。一方, 触媒床最上層から取り出した触媒ではヒ素が粒子外表面から内部に向かって減少しているが, 2層目からの触媒では粒子の外部から内部まで比較的均一に分布していた。このような分布の変化は, ヒ素化合物の反応速度と拡散速度の違いによって生じると考えられる。したがって, 前処理反応器の上部には適度な活性を有し, 細孔径および粒子の外表面積/体積比の大きな触媒が適している。また, 予想される運転終了時でのヒ素の蓄積量に比例して, 触媒上の金属担持量を増やすべきである。