著者
金城 厚 久万田 晋 植村 幸生 内田 順子 島添 貴美子
出版者
東京音楽大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

(1)1970年代から80年代にかけて、東京芸術大学が収集した沖縄民謡調査資料(90分カセットテープ1,300巻とそれに付随する調査メモ)をデジタル化し、安定的に保存・試聴できるデータベースとして整理した。(2)沖縄県立芸術大学芸術文化研究所のウェブサイトにメタデータを公開して、多くの研究者が所用の資料を検索できるシステムを構築した。(3)音源データを複数のHDに複製し、協定に基づいて国内の複数の研究機関に配置して、遠隔地の研究者による利用の便宜、また災害への備えを図った。(4)個人研究者でも録音資料をアーカイブ化できる比較的簡易な方法を提唱することができたと考えている。
著者
酒井 正子 小林 公江 久万田 晋 小林 幸男
出版者
川村学園女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

沖縄本島北部に伝承される「手踊りエイサー」は、現在盛んな太鼓の群舞とは全く異なるスタイルのエイサーである。殆ど知られていないその実態を調査し、全体像と芸能史的な位置づけを探った。その結果約60集落で伝承を確認、曲目や歌詞、演奏スタイルの違いなどから、いくつかの系統や地域性が見出された。また近代には舞台芸能や流行歌を取り込み、戦後は太鼓エイサーへと進化し、1980年代以降は創作エイサーの強い影響を受けるなど、芸能の変遷とダイナミズムが明らかになった。
著者
波照間 永吉 久万田 晋 波平 八郎 柳 悦州
出版者
沖縄県立芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

平成23年度~25年度の研究期間内において、鎌倉芳太郎ノート全82冊の撮影とデジタルデータ化を完了した。また、紅型型紙資料の赤外線撮影を完了した。これらの成果に基づいて鎌倉芳太郎資料の公開用ホームページ編集作業を進めた。その内訳は、刊行済みノートのオリジナル写真4371点、鎌倉芳太郎撮影写真1113点、紅型型紙1414点である。これらに基づいて検索機能付き公開用ホームページを作成、公開した。またこれらの成果の一部を『鎌倉芳太郎資料「文書資料」目録』として刊行した。
著者
玉城 政美 赤嶺 政信 高橋 俊三 狩俣 繁久 大胡 太郎 久万田 晋
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、宮古諸島で伝承されている儀礼歌謡を良質な映像と音声で記録し、恒久的に保存することを第一の目的として、来間島、池間島、伊良部島、多良間島などで実践した。記録方式としてデジタルビデオ、デジタル録音テープなどの機器を使用した。次に、活字化された歌謡資料や現地で収集した映像・音声資料から歌詞を翻字し「歌詞データベース」を作成した。あわせて、既存の文献に収録されている歌詞を翻字して「歌詞データベース」に加えた。デジタルテキスト化したことで今後の研究に大いに貢献するであろう。次に、「宮古歌謡語辞典」の基盤を整備した。この辞典は「見出し語」「漢字」「語釈」「用例」などが主要な項目を構成する。宮古歌謡語は、方言と同様に各地域で著しく差がある。そのため発音通りの見出し語では、同じ語を同じ項目にまとめることが不可能となる。見出し語を琉球祖語で表記することによってこの問題は解決できる。こうすることで既刊の『沖縄古語大辞典』と比較検討することが可能となった。つまり、他の諸島の歌謡語と同じ次元で比較検討することが可能となったので、研究の飛躍的な進歩が期待できるようになった。だが、祖語に復元できない未詳語が数多く存在する。宮古歌謡語の研究はこの辞典が土台になるのであるから、やむを得ない面もある。研究の出発点を提示して今後多くの研究者のアクセスをまつことにしたい。なお「語釈」においては『宮古島の歌』に記録された注釈が大いに参考になった。次に、明治期に記録された田島利三郎の『宮古島の歌』を翻刻した。この文献は、原本であり、かつ、宮古歌謡研究の嚆矢というべきものであるにもかかわらず、これまで無視されてきた。従来は、原本ではなく、これの写本が尊重されてきたが、文献学的には非常識な扱いであった。今度の翻刻によって、今後はこの原本が活用されるであろう。