著者
岩尾 知頼 三間 大輔 久保 尋之 前島 謙宣 森島 繁生
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.661-670, 2013 (Released:2015-11-06)
参考文献数
14

写実的なキャラクタアニメーションの実現のためには眼球運動を正しく再現することが重要である.しかしながら現在は,キャラクタの対話時の眼球運動を再現する際にアーティストの手作業による作りこみが必要となるため,多大なコストや労力がかかることが問題である.そこで本研究では人間の対話時の眼球運動に着目し,計測結果を基に眼球運動と瞬きを確率関数を用いてモデル化することで,眼球運動を自動生成する.まず,瞬きを含む対話時の眼球運動と固視微動とをそれぞれ計測する.次に,計測結果を基に対話時の眼球運動を跳躍運動と固視微動に分類する.さらに分類された跳躍運動と固視微動及び瞬きを,それぞれ確率モデルを用いて近似した後に,それらの確率モデルをキャラクタに適用することにより,リアルな眼球運動の自動生成を可能とした.
著者
久保 尋之 土橋 宜典 津田 順平 森島 繁生
雑誌
研究報告 グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2011-CG-143, no.2, pp.1-6, 2011-06-20

人間の肌のような半透明物体のリアルな質感を再現するためには、表面下散乱を考慮して描画することが必要不可欠である。そこで本研究では半透明物体の高速描画を目的とし、曲率に依存する反射関数 (CDRF) を提案する。実際の映像作品ではキャラクタの肌はそれぞれに特徴的で誇張した表現手法がとられるため、本研究では材質の散乱特性の調整だけでなく、曲率自体を強調する手法を導入することで、表面下散乱の影響が誇張された印象的な肌を表現可能なスキンシェーダを実現する。
著者
岩口 尭史 久保 尋之 川崎 洋
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2022-CVIM-229, no.19, pp.1-4, 2022-03-03

本発表ではすりガラスなどの拡散体の背後にある鏡面反射物体形状の再構成に取り組む.拡散体背後の物体は環境光の下ではボケて観測されるため形状の復元は困難だが,拡散体上の微小領域に光源を照射すると,拡散板の表面には反射による集光模様であるコースティックスが現れる.本論文では,光学現象を考慮した微分可能レンダリングによりコースティクスを解析し拡散板の背後にある物体の表面法線を復元する方法を提案する.提案するレンダリング手法はメッシュ表現を利用するため,レンダリング画像だけでなく,幾何学的なパラメータを対象に最適化を行うことができる.実験では,反射光分布から形状を復元し,反射光の位置から幾何学的パラメータを最適化することが可能であることを示す.さらに,正確なコースティクスの再現が要求される Goal-based caustics へ応用しレンダリング能力を示す.
著者
森島 繁生 八木 康史 中村 哲 伊勢 史郎 向川 康博 槇原 靖 間下 以大 近藤 一晃 榎本 成悟 川本 真一 四倉 達夫 池田 雄介 前島 謙宣 久保 尋之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.94, no.3, pp.250-268, 2011-03-01

映像コンテンツの全く新しい実現形態として,観客自身が映画等の登場人物となり,時には友人や家族と一緒にこの作品を鑑賞することによって,自身がストーリーへ深く没入し,かつてない感動を覚えたり,時にはヒロイズムに浸ることを実現可能とする技術「ダイブイントゥザムービー」について本稿で解説する.この実現には,観客に全く負担をかけることなく本人そっくりの個性を有する登場人物を自動生成する技術と,自ら映像中のストーリーに参加しているという感覚を満足するためのキャラクタ合成のクオリティ,映像シーンの環境に没入していると錯覚させる高品質な映像・音響再現技術及びその収録技術が,観客の感動の強さを決定する重要な要素となる.2005年の愛・地球博にて実証実験を行った「フユーチャーキャスト」に端を発するこの技術は,ハードウェアの進歩と2007年にスタートした文部科学省の支援による科学技術振興調整費プロジェクトの実施によって,格段の進歩を遂げた.その結果,様々なバリエーションの観客の個性を全自動・短時間でストレスなくモデル化することが可能となり,また作品の中でリアルタイム合成されるキャラクタの顔と全身,声に各入の個性を忠実に反映することが可能となった.また,同時に役者が感じた音場・視点で1人称的にコンテンツへの没入感を体感することを可能にするシステムを同時に実現した.