著者
田淵 太一 久松 太郎
出版者
日本国際経済学会
雑誌
国際経済 (ISSN:03873943)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.1-31, 2018 (Released:2018-10-31)
参考文献数
60

リカード本人の貿易理論は,4つの数字,貿易利益,交易条件等,ほとんどのトピックの解釈において,テキストブックで教わるリカード・モデルとは異なるものだったことが明らかにされてきた。現代的解釈の大枠は,トレンズやJ.S.ミルらによりつくりかえられたリカード理論をもとに,ハーバラーらによって仕上げられたものにすぎない。もはやリカード・モデルにリカードの名前を冠する合理的な理由はほとんど存在しえないのである。
著者
田淵 太一 久松 太郎
出版者
日本国際経済学会
雑誌
国際経済 (ISSN:03873943)
巻号頁・発行日
pp.kk2018.01.t, (Released:2018-06-09)
参考文献数
60

リカード本人の貿易理論は,4つの数字,貿易利益,交易条件等,ほとんどのトピックの解釈において,テキストブックで教わるリカード・モデルとは異なるものだったことが明らかにされてきた。現代的解釈の大枠は,トレンズやJ.S.ミルらによりつくりかえられたリカード理論をもとに,ハーバラーらによって仕上げられたものにすぎない。もはやリカード・モデルにリカードの名前を冠する合理的な理由はほとんど存在しえないのである。
著者
久松 太郎
出版者
The Japanease Society for the History of Economic Thought
雑誌
経済学史研究 (ISSN:18803164)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.37-52, 2007-06-30 (Released:2010-08-05)
参考文献数
45

Ricardo redesigned the labour theory of value in his Principles, which was published in 1817. Robert Torrens produced numerous works (1818, 1821, 1822a, 1822b, 1822c, 1829) and “Fragments on Torrens Concerning Value” (1818, in the Works of David Ricardo, IV), but as early as 1818 he was already attempting to refute Ricardo's theory by proposing his own “capital theory of value.” This paper focuses on Torrens's refutation of the Ricardian labour theory of value and considers the several numerical examples he employed in his refutation.There is general consensus on two points in particular regarding Torrens's theory of value: first, his capital theory of value was just another representation of the labour theory of value, and second, his refutation of the Ricardian labour theory of value is valid to a certain extent. This paper scrutinizes the process through which many commentators on Torrens's theory of value have reached their conclusions, although it does not find any objections to those conclusions.Torrens based each of his works on different definitions of “labour, ” which lets us understand the various ways in which the embodied concept of “labour” can be reckoned. With each successive work, noted above, Torrens corrected mistakes in previous works. This paper begins by building models based on his last numerical example, given in Corn Trade (1826-29), and then shows the process of his corrections. In this way we can reestablish the limits of his refutation of the labour theory of value and of his own value theory, making possible the argu ment that he would play the role of Auflösung der Ricardoschen Schule.
著者
久松 太郎 高槻 泰郎
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、山片蟠桃の経済学的叙述を一貫した理論として復元し、その政策面での有用性を示すことによって、わが国の忘れられた学術的遺産を再考する。近世日本の経済論が主に交換面での議論で構成されているのに対し、古典派経済学の創生・成熟期にあたる同時期の西欧では、生産・分配面での議論が主な構成要素であり、そうした面での経済厚生や救貧対策が論じられている。蟠桃の著作には、西欧古典学派において重要なキーワードが散見している他、分配に関する図解をも看取できる。彼の経済論を合理的に再構成し、それを日本経済史固有の文脈で復元することは、これまで十分に試みられることがなかった学術的に大きな意義をもつ作業である。
著者
久松 太郎
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

トレンズは、リカードウの諸理論を批判することもあったが、それらを受容し、自らの経済理論を提起していた。しかし彼のリカードウ解釈は、時おりその本来の意味からかけ離れていた。トレンズの言説は、J.S.ミルや20世紀の著名な経済学者たちの注目を集めたため、そのことがひとつの契機となり、誤ったリカードウ解釈が流布してきた可能性がある。とりわけ、国際経済学の教科書で「リカードモデル」として知られる比較優位の原理はリカードウ本人によって提示されたものであるとの誤った解釈の普及には、トレンズが間接的にかかわっていたと考えられる。