著者
湯川 寛夫 赤池 信 杉政 征夫 武宮 省治 亀田 陽一 今田 敏夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.8, pp.1443-1447, 2002-08-01
参考文献数
15
被引用文献数
15

症例は50歳の女性.1996年6月注腸検査,大腸内視鏡検査で肛門縁から10cmの直腸に2型病変をみとめ生検でanaplastics quamous cell carcinomaであった.術前CTにて傍直腸,大動脈周囲,左腸骨動脈周囲にリンパ節腫大を認めた.8月12日低位前方切除術施行,術中迅速診にて大動脈周囲リンパ節に転移陽性であり,根治度Cであった.病理組織診では直腸原発の小細胞癌と診断した.肺小細胞癌に準じ術後CDDP40mg×2日,VP-16100mg×3日(1クール)の化学療法を施行した.化学療法が奏効し術後9MのCTにて傍大動脈リンパ節腫大消失CRを得て以後2001年2月まで42か月,再発なく経過中である.小細胞癌の直腸原発例はまれであり,1クールにもかかわらず化学療法が奏効した1例を経験したので報告する.
著者
池原 瑞樹 山田 耕三 斉藤 春洋 尾下 文浩 野田 和正 荒井 宏雅 伊藤 宏之 中山 治彦 密田 亜希 亀田 陽一
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.231-236, 2001-06-20 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

造影CT画像と単純GT画像におけるCT値の差によって, 肺野微小病変の質的診断を試みた報告はある. しかし造影thin-section CT (以下造影TS-CTと略す) 画像のみでのCT値の解析でその質的診断を試みた報告は少ない. 今回, CT画像上充実型を呈する肺野末梢微小病変を対象として, CT画像による質的診断を目的に造影TS-CT画像におけるCT値の解析を行った. 対象は, 最近3年間に当施設で切除された20mm以下の肺野微小病変47例である. 組織型は原発性肺癌が23例, 転移性肺腫瘍が6例であり, 非癌性病変は18例であった. CT画像は造影剤35mlを経静脈的に0.8ml/秒の速度で注入を開始し, その50秒後の画像である. CT値は病変内に真円に最も近い最小のROIを作成し, 病変の中心部と大動脈中心部の平均CT値を測定した. 結果は, 原発性肺癌では非癌性病変に比べて “病変部のmean CT値” および “病変部のmean CT値と大動脈のmean CT値の比” のいずれも高値を示し, 有意差を認めた. 以上より, 造影TS-CT画像でのCT値の計測は, 充実型を呈する肺野微小病変の質的診断に寄与する可能性が示唆された.
著者
伊藤 宏之 中山 治彦 藤田 敦 石和 直樹 池原 瑞樹 田中 学 山田 耕三 野村 郁男 野田 和正 亀田 陽一 密田 亜希
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.132-135, 2000
参考文献数
6

症例は34歳男性。5年前に近医で右肺野の腫瘤陰影を指摘され, mucoid impactionを伴ったcystic brochiectasisと診断された。1999年3月, 健康診断で胸部異常陰影を再度指摘され, 4月26日に当院を紹介受診した。胸部CTでは, 右B^6bを中心に経約4cmの気管支に沿って拡がる樹枝状の, 内部に一部空洞を伴った充実性腫瘤陰影を認めた。この空洞にcystic brochiectasisに特徴的所見とされるair fluid levelがないことから, 気管支鏡検査を行ったところ, B^6内腔を閉鎖する赤紅色の易出血性のポリープ状腫瘤を認め, 生検によりatypical carcinoidと診断された。6月10日, 右下葉切除およびR2a郭清を施行した。摘出標本の病理組織所見においても, B^6より出現した腫瘍が気管支を拡張しつつ, 長軸方向への気管支内発育をし, 樹枝状の形態をとっていたことが確認された。また画像上腫瘍内部に認められた空洞は, 腫瘍末梢の嚢状の拡張気管支であることが判明した。