著者
芳野 純 二渡 玉江 大谷 健 臼田 滋
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.410-416, 2010-10-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
22
被引用文献数
10

【目的】資格取得後の理学療法士が,自立して理学療法業務を行うために必要な能力を明確にする。【方法】職員指導経験がある理学療法士15名に対して,指導している理学療法士がどのような能力を獲得したときに,理学療法士として自立したと感じるか等の質問をインタビューにより聴取した。インタビュー結果を,質的研究である内容分析を用い分析した。【結果】分析の結果,50のサブカテゴリーと,「理学療法実施上の必要な知識」,「臨床思考能力」,「医療職としての理学療法士の技術」,「コミュニケーション技術」,「専門職社会人としての態度」,「自己教育力」,「自己管理能力」の7つのカテゴリーが形成された。【結論】職員指導経験がある理学療法士は幅広い能力の獲得を望んでいることが分かった。7つのカテゴリーは教育目標分類学による3つの領域を満たしており,理学療法士が自立して業務を行うための到達目標について,一つの目安を示すことができた。
著者
塚越 徳子 櫻井 美緒 瀬沼 麻衣子 京田 亜由美 二渡 玉江
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.49-57, 2022-02-01 (Released:2022-03-18)
参考文献数
25

目 的:救急・集中治療領域において家族にエンドオブライフ・ケアを行う看護師の困難に対する対処を明らかにする.方 法:救急外来および集中治療室の看護師15名にインタビューガイドを用いた半構造化面接調査を行った.面接調査は,質的記述的研究手法を参考に分析した.結 果:困難の対処として,【困難の解決に向けた模索】【巻き込まれる自分の感情を守るための方策】【エンドオブライフ・ケアに対する意欲の高まり】が生成された.考 察:救急・集中治療領域看護師は,家族の悲痛な感情に看護師自身が巻き込まれすぎないように一定の距離を保ちながら,家族の反応や心情を探っていた.困難の対処には,同僚の存在が重要であり,部署全体やチームなどの組織的なエンドオブライフ・ケアへの取り組みの必要性が示唆された.看護師自身の気持ちや経験を語る場の設定や,家族に対するエンドオブライフ・ケアの動機付けを高める教育を行うことが重要である.
著者
近藤 由香 京田 亜由美 塚越 徳子 瀬沼 麻衣子 二渡 玉江
出版者
国立大学法人 群馬大学大学院保健学研究科
雑誌
群馬保健学研究 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.1-10, 2022 (Released:2022-04-01)
参考文献数
34

本研究の目的はがん患者自身が抱える親に対する悩み事について文献検討より明らかにすることである。医学中央雑誌を用いて,「がん」「がん患者」「悩み」「思い」「家族への思い」「苦痛」「負担」「親」のキーワードで検索を行った。がん患者自身が抱える親に対する悩み事については,内容分析の手法を用いて,サブカテゴリ,カテゴリへと抽象化した。 分析対象文献は16件であった。がん患者自身が抱える親に対する悩み事は,60コード,19サブカテゴリ,【親に自身の心身のサポートを担わせる悩み】【親に余計な負担をかけないための苦慮】【親の介護や健康への心配】【親に病気のことを伝えなければならない重荷】【子としての役割が果たせない申し訳なさ】の5カテゴリが形成された。がん患者は,親に自身の心身のサポートを担わせる悩みを抱いているが,子どもとして親に甘えたい気持ちと,子どもとして親を支えないといけない気持ちの両側面があることが示唆された。看護師は他職種と連携して,患者が求める社会資源を活用できるよう支援していくことが必要である。
著者
廣瀬 規代美 中西 陽子 神宮 彩子 二渡 玉江
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.771-779, 2017 (Released:2017-12-11)
参考文献数
19

【目的】緩和ケア病棟に初めて従事する看護師が,緩和ケアの実践を通して捉える問題状況を面接調査により明らかにし今後の教育支援の示唆を得る.【方法】看護師4名を対象に半構造化面接を計3回実施し,Krippendorff Kの内容分析を参考に分析した.【結果】病棟開設後の問題状況は[緩和ケアにおける理解不足の自覚と対応に対する模索][緩和ケアにおける一般病棟の経験知の活用可能性と相違に対する不安]等,10カ月後では[命の期限と向き合う傾聴の重みと傾聴技術の限界の自覚][ケア方針の相違に対する困難さとジレンマ]等,1年半後では[患者の意思確認不足によるケアの判断の困難さ][患者・家族との関係形成の重要性の自覚]等であった.【結論】初めて緩和ケア病棟に従事する看護師の教育支援は,初期の傾聴技術の強化に加え,対人援助や生命倫理の知識の確認および事例検討を組み合わせ,段階的かつ継続的な実施が必要である.