著者
竹中 真紀子 永谷 幸善 小野 裕嗣 七山 和子 五十部 誠一郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.533-537, 2012-10-15

タマネギを原料とした風味付け調味料であるオニオンエキスが高いラジカル消去活性を有していることに着目し,その変動特性を明らかにするために,オニオンエキスの製造工程におけるラジカル消去活性の変動,主要なフラボノイドの含有量および褐変度の変動を追跡した.製造工程のうち,タマネギ搾汁濃縮液を加熱する段階でラジカル消去活性および褐変度が上昇し,遊離糖および遊離アミノ酸の一部ならびに多くのフラボノイドは消失した.オニオンエキスのラジカル消去活性本体はメラノイジンであると考えられ,疎水性相互作用による固相抽出を用いたオニオンエキスの分画において,疎水性の高い画分がより高い褐変度およびラジカル消去活性を有する傾向が見られた.
著者
五月女 格 鈴木 啓太郎 小関 成樹 坂本 晋子 竹中 真紀子 小笠原 幸雄 名達 義剛 五十部 誠一郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.451-458, 2006-09-15
参考文献数
21
被引用文献数
14 13

115℃のアクアガス,115℃過熱水蒸気ならびに100℃の熱水にてジャガイモの加熱処理を行った.加熱媒体からジャガイモへの熱伝達率を測定した結果,アクアガスの熱伝達率が最も高かったが,加熱処理中のジャガイモ中心部の温度履歴に加熱媒体間の差は見られなかった.また加熱処理によるジャガイモ中のペルオキシダーゼ失活の進行にも加熱媒体間の差は見られなかった.この原因は,いずれの加熱媒体による加熱処理においてもジャガイモ表面における熱伝達は十分に大きく,ジャガイモ内部温度変化はジャガイモ自身の熱拡散係数に律速されていたためであったことが,ジャガイモ内部における熱伝導シミュレーションの結果から確認された.<BR>また,それぞれの加熱媒体により加熱処理されたジャガイモの品質を比較した結果,アクアガスならびに過熱水蒸気により加熱処理されたジャガイモが熱水にて処理されたジャガイモと比較して,硬さも保たれ色彩も良好であった.走査型電子顕微鏡によるジャガイモ微細構造の観察結果,熱水により加熱処理されたジャガイモにおいては熱水への固形成分の溶出が推察された.このことから固形成分の溶出の有無が加熱処理されたジャガイモの品質に影響を及ぼしたと考えられた.またアクアガスによる加熱処理では過熱水蒸気処理と比較して質量減少を抑制することができた.更に,アクアガス処理によりジャガイモ表面に塗布した<I>B. subtilis</I>胞子を死滅させることが可能であった.<BR>以上のことからアクアガスを用いることにより,熱水による加熱処理と比較して良好な品質にて,また過熱水蒸気処理と比較して小さな質量減少にて,ジャガイモのブランチングを行うことが可能であると結論付けられた.またアクアガスを用いて加熱処理されたジャガイモを無菌状態にて保存することにより,高品質なジャガイモの長期間貯蔵が可能になると期待された.今後はジャガイモの酵素失活に必要な加熱温度条件等を詳細に検討し,アクアガスにより加熱処理されたジャガイモの貯蔵性ならびに貯蔵されたジャガイモの品質変化について解明していく予定である.
著者
干場 信司 五十部 誠一郎 佐藤 義和 堂腰 純 曽根 章夫 岡本 全弘
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
家畜の管理 (ISSN:03888207)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.73-80, 1988-03-10

カーフハッチの有効性は, 空気の新鮮さと1頭ずつの隔離飼養による疾病の感染防止に基ずいていると考えられるが, 同時にカーフハッチ自体は, 屋外の気象条件を子牛にとって少しでも快適なものとする役割を持っている。本報では, 冬期を対象とした前報にひきつづき, 夏期におけるカーフハッチ内気象環境の改善効果を知る目的で, 子牛のカーフハッチ利用行動と気象環境との関係を検討した。行動調査は, 北海道十勝地方において、7月から9月にわたり8頭の子牛を一般型, 通風型, FRP製, 連鎖型の4種類のカーフハッチに収容して実施した。得られた結果は, 次の通りであった。1)一般型, 通風型およびFRP製のカーフハッチに収容された子牛は, 日中(日の出から日の入りまで)の52%ないし61%をカーフハッチ内で過ごした。これは, 冬期の約80%に比べ, 著しく低い利用率であった。これに対して連鎖型カーフハッチに収容された子牛は, 78%ないし80%の高い利用率を示した。2)冬期間カーフハッチ利用率との間に極めて高い相関を示した風速は, 夏期には, 通風型カーフハッチに収容された3頭のうちの1頭にのみ有意な相関が認められたが, 他の7頭には有意な相関は認められなかった。3)降雨はカーフハッチ利用率に大きく影響を与えており, 降雨日には, 無降雨日の1.3倍ないし1.6倍の利用率を示した。4)通風型カーフハッチに収容された3頭のうちの1頭と一般型カーフハッチに収容された一頭の計2頭の子牛については, 屋外気温および屋外黒球温度とカーフハッチ利用率との間に有意な正の相関が認められ, これらのカーフハッチに防暑効果があることを伺わせた。5)素地のままのFRP製カーフハッチに収容された子牛のカーフハッチ利用率と日射量および日照時間との間には有意な負の相関が認められ, FRP製カーフハッチは防暑効果を有していないことが推察された。6)北海道において, カーフハッチは夏・冬それぞれ異なった機能, つまり冬には風に基ずく寒さを防ぐ機能を持ち, 夏には雨よけとしての機能を持っていることが明らかになった。