著者
山田 一隆 丹羽 清志 鮫島 隆志 春山 勝郎 桂 禎紀 長谷 茂也 石沢 隆 島津 久明
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.12, pp.2777-2782, 1990 (Released:2011-06-08)
参考文献数
12

直腸癌の術後排尿・性機能障害とストーマ障害についてアンケート調査を行い, 回答を得られた73例の成績を分析した.排尿困難と残尿感は肛門括約筋温存術式より直腸切断術後に多く発生し, 腸骨動脈領域郭清例での発生率はそれぞれ38%, 34%であり, 非郭清例の8%, 8%に比べ高頻度にみられたが, 自律神経温存手術では認められなかった.また, 男性に比べ女性で排尿障害の出現率が低い傾向が認められた.性機能障害は前方切除術よりも直腸切断術および貫通・重積術式で多く認められた.男性の人工肛門造設例での性生活障害の出現率は87%であり, 非造設例の44%に比べ多く, また女性の症例でも同様の結果が得られ, 心因性の障害の関与が推測された.年齢層別では高齢者ほど性機能障害の出現が高頻度に認められた.ストーマ障害では, 位置異常の訴えは3%と少なく, 周囲皮膚障害は24%と比較的高率に認められた.
著者
中島 英夫 山中 洋之 鮫島 隆 秋山 茂 鈴木 昭
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.27-31_1, 1989-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
15

生ハムの製造工程における微生物叢の変化を水分活性及び食塩濃度との関連で調査した. 製造工程が進むにつれて食塩濃度の上昇及び水分活性の低下が起こり, 原料肉の微生物叢は塩漬終了後, グラム陰性菌, Micrococcus, Streptcoccus 及び Lactobacillus など多様なものから Micrococcus からなる単純な微生物叢へと変化した. また, 一般生菌数は, 原料肉で104cells/gであったものがスモーク工程から乾燥工程へ進むに従って徐々に減少し, 乾燥終了後は 80cells/gまで低下し, 大腸菌群, 腸球菌も陰性となった. 生ハムの製造工程における微生物学的特性と水分活性の変化を表す CTEA system を提唱し, 製造中の品質管理及び最終製品の品質評価に利用し得ることの可能性を示した.
著者
鮫島 由規則 鮫島 隆志 平川 あさみ 丹羽 清志 永田 祐一 鮫島 加奈子 松元 淳 渋江 正
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.67-79, 2003 (Released:2010-06-28)
参考文献数
37
被引用文献数
3

ビフィズス菌は腸内腐敗の抑制, 免疫力の増強など宿主の健康維持に大きな役割を果たしている.今回, 筆者らは新しい形態のプロバイオティクスである「ビフィズス菌含有大腸崩壊性カプセル」を臨床応用する機会を得た.このカプセルを潰瘍性大腸炎に用いた場合, 腸内細菌叢に作用して腸内有用菌の増殖を促進するとともに, 腸内有害菌の増殖を抑制して腸内細菌叢のバランスが改善された.この結果, 腸内環境が浄化され, 症状の改善ならびにQOLの向上がもたらされた.
著者
上﨑(堀越) 菜穂子 鮫島 隆 大森 康雄 府中 英孝 三明 清隆 森岡 豊 小谷 健二 小齊 喜一 後藤 清太郎 渡辺 至 中島 誠人 猪口 由美 西坂 嘉代子 五十君 靜信 新村 裕 服部 昭仁
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.347-356, 2013-07-15 (Released:2013-08-31)
参考文献数
34
被引用文献数
1

非加熱食肉製品である生ハムにおけるaWおよび乳酸ナトリウムによるL. monocytogenesの制御について5試験機関で検討した.(1) 血清型の異なるL. monocytogenesの増殖に対する乳酸ナトリウムの影響試験から,供試した菌株の乳酸ナトリウムに対する感受性は,4種の菌株間で差がないことが明らかとなった.(2) 試験用生ハムで,いずれの試験機関でもaW 0.93(0.930≤aW<0.940) では,L. monocytogenes (血清型4b,Scott A株) は,10℃で56日間保管した場合に増殖しなかった.このことから,生ハムではaW0.93であれば,原料肉のpHや食塩濃度,亜硝酸塩および低温保管(10℃) などの条件が相加,相乗的に作用して,L. monocytogenesの増殖が抑制されるものと推測された.(3) 今回の試験では,aW 0.94(0.940≤aW<0.950) であれば,2%の乳酸ナトリウムを添加することによってL. monocytogenesの増殖が抑制されることが示唆された.
著者
上崎 堀越 菜穂子 岡田 幸男 竹下 和子 鮫島 隆 有原 圭三
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.186-191, 2012-04-15
被引用文献数
1 1

食肉加工品における<I>L. monocytogenes</I>の増殖挙動と,非加熱食肉製品である生ハムにおけるpHおよびa<SUB>W</SUB>の<I>L. monocytogenes</I>の増殖挙動に及ぼす影響について検討した.<BR>(1) 食肉加工品における<I>L. monocytogenes</I>の増殖は,チキンナゲット,無塩漬ウインナーソーセージで速く,ロースハム,ローストビーフではやや抑えられた.これはロースハムでは亜硝酸ナトリウムが,ローストビーフでは製品pHが影響したためと考えられた.<BR>(2) ウインナーソーセージでは10°C保管で60日間<I>L. monocytogenes</I>は増殖しなかった.これは亜硝酸ナトリウム,製品pHに加え,ソルビン酸が相乗的に影響したためと考えられた.<BR>(3) 生ハムでは,現在の食品衛生法の製造基準である,「a<SUB>W</SUB>0.95未満」を「a<SUB>W</SUB>0.93以下」にすることで<I>L. monocytogenes</I>が10°C保管で60日間増殖しないことが示唆された.