著者
箭田 浩士 我藤 伸樹 永友 榮徳 忠田 吉弘 小野 裕嗣 吉田 充
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.188-192, 2003-04-15
被引用文献数
3 2

梅肉エキス中のMFについて,固相抽出カートリッジを用いた前処理法ならびにHPLCによる分析法を確立した.これにより,梅肉エキス中のMFを迅速・簡便に回収率良く抽出し,定量分析することが可能になった.<br>また,MFの正確なモル吸光係数1.78×10<sup>4</sup>(λ<sub>max</sub>282nm,water)を決定した.これにより吸光度からMF標準溶液のモル濃度を決定することができる.
著者
伊藤 研悟 伊達 康博 川村 隆浩 大城 正孝 江口 尚 小野 裕嗣
出版者
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
農研機構研究報告 (ISSN:24349895)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.13, pp.3-22, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
30

昨今のSociety 5.0 及びポストコロナ時代において,研究現場ではリモート環境からデータ駆動型研究を加速させる高度な機器分析と情報連携基盤の開発が求められている.そこで農研機構では,リモート核磁気共鳴分光分析,データ駆動型解析及び機器分析データの一元管理をワンストップで提供する解析パイプラインを開発した.本パイプラインに合わせて長時間連続稼働が可能な自動前処理装置を利用することで,均質かつ均一な機器分析用試料の調製を可能にし,省人化・省力化を実現した.また,試料を約500 点セットが可能なオートサンプルチェンジャーを装着した溶液核磁気共鳴分光分析装置とリモート分析制御装置も導入し,簡便かつ安定なリモート分析の自動実行を可能にした.さらに,人工知能研究用スーパーコンピュータ「紫峰」と農畜産物のゲノムや成分などが格納された大容量の農研機構統合データベースを連携させることで,機器分析データの迅速なデータ駆動型解析とメタデータを含む機器分析データの一元管理を可能にした.この新たな基盤システムを利用することで,リモート環境にいる異分野の研究者同士がデータを介して繋がり,データ駆動型農業研究の促進や発展が期待される.
著者
三好 恵子 長田 早苗 竹中 眞紀子 三宅 紀子 小野 裕嗣
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.92, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】アクリルアミド(AA)は、食品を120℃以上で加熱したときにメイラード反応によって非意図的に生成する有害化学物質である。日本人では、高温加熱された野菜調理品(炒め・揚げ)からの摂取量が多いと推定されており、前報で野菜の炒め調理において各調理条件がAA生成に及ぼす影響を明らかにしている。一方、煮る調理ではAAは殆ど生成しないとされているが、120℃以上となる加圧を含め、加圧調理がAA生成に与える影響は明らかではない。そこで本研究では、野菜を加圧調理した時のAA生成についての知見及び低減対策の必要性の判断に資する知見を得ることを目的とした。【方法】前報炒め調理でAA生成量の高かった、ごぼう、れんこん、じゃがいもの水煮又は蒸し調理について検討を行った。また、カレー(ルウを加える前)の煮込みについても検討した。加圧調理に用いた圧力鍋は、A(146、80 kPaG)、B(140 kPaG)、C(95、70、45 kPaG)の3種であり、常圧条件として通常のステンレス鍋を用いた(n=4)。なお、146 kPaGの加圧条件では、5、2、0分間の加圧調理も実施した。調理終了後、調理品全体を混和してAA濃度を測定した(検出限界 2 μg/kg、定量下限 5 μg/kg)。【結果】各品目について、ほとんどの加圧条件でAA濃度は定量下限未満だった。なお、ごぼうとれんこんでは、146 kPaG、5分間以上の調理条件で、カレーでは146 kPaG 、10分間の調理条件で定量下限以上のAAが生成した(ごぼう:5~13 μg/kg、れんこん:7~30 μg/kg、カレー:6~8 μg/kg)。炒め調理時に比べAA濃度が極めて低いこと、野菜の加圧調理で推奨される標準時間は最高圧に達して2分程度であることを考慮すると、野菜の加圧調理について低減対策を検討する優先度は低いと考えられた。※農林水産省の委託研究事業を活用して本研究を実施した。
著者
竹中 真紀子 三宅 紀子 三好 恵子 長田 早苗 小野 裕嗣
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.14, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】アクリルアミド(AA)は、食品を120℃以上で加熱したときにメイラード反応によって非意図的に生成する有害化学物質である。これまでに、炊飯時のAAの生成については、玄米や発芽玄米は精白米よりもAAを生成しやすいことなどが報告されているが炊飯条件による影響等の詳細は不明であった。そこで本研究では、玄米について加圧調理を含む様々な条件で炊飯し、炊飯後のAA濃度に関係する要因を見出すとともに、AAの低減に資する知見を得ることを目的とした。【方法】各種調理器具(圧力鍋(146、80、0 kPaG(常圧)の異なる加圧条件が可能、内鍋を使用可能)、炊飯器(マイコン式、IH加圧式)、土鍋)を用いて、4℃で16時間以上浸漬した玄米を炊飯した(n=4)。炊飯時に鍋内側底面および米(飯)中央部の温度を測定した。炊飯後、飯全体を攪拌し、一部を採取してAA濃度を測定した(検出限界 0.2 μg/kg、定量下限 0.5 μg/kg)。【結果】炊飯玄米中のAA濃度範囲は2~8 μg/kg、各種炊飯中の中央部の最高温度範囲は100~125℃であったが、AA濃度と最高温度の間に明確な相関は認められなかった。内鍋を使用した圧力鍋での炊飯を比較すると、加圧(146 kPaG)条件では常圧条件よりも炊飯玄米中のAA濃度が有意に高くなり、加圧による高温がAAの生成に与える影響が確認された。また、調理器具の種類や炊飯時の水量など、鍋肌でのおこげの出来やすさとも関連する複数の要因がAAの生成に少なからぬ影響を与えていることも示唆された。炊飯の際の加水量を増やすと、検討した全ての圧力条件においてAAの生成量は有意に減少したことから、玄米の炊飯でAA生成量を低減させるポイントとなりうることが示唆された。※農林水産省の委託研究事業を活用して本研究を実施した。
著者
広瀬 直人 小野 裕嗣 前田 剛希 和田 浩二
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.27-31, 2019
被引用文献数
2

<p>試験用黒糖製造において,仕上加熱工程と冷却撹拌工程を連続して実施できる,卓上型の黒糖試験製造装置を開発した.この装置は,PC制御されたマイクロヒーターと水道水利用の冷却管を備えた加熱冷却容器,および撹拌トルクを検出できる撹拌装置から構成される.この試験製造装置を用いて黒糖を試作する過程で,冷却撹拌工程の終了時に品温が上昇する現象を見出した.この品温上昇は,温度上昇幅と糖蜜の推定比熱からショ糖の結晶熱が要因と推測された.</p>
著者
吉田 充 小野 裕嗣 亀山 眞由美 忠田 吉弘 箭田 浩士 小林 秀誉 石坂 眞澄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.822-825, 2002-12-15
参考文献数
5
被引用文献数
5 20

日本で市販されている加工食品32品目63製品について,<B>アクリルアミド</B>含有量をLC-MS/MS法及びGC-MS法で測定した.検出限界及び定量限界は,LC-MS/MS法でそれぞれ0.2, 0.8ng/ml, GC-MS法で臭素化誘導体としてそれぞれ12, 40ng/mlであった.RSDによる繰り返し精度は,LC-MS/MS法では5%以下,GC-MS法では15%以下であった.両法による分析値は高い相関(r2=0.946)を示した.<B>アクリルアミド</B>含有量は,<B>ポテトチップス</B>で439-1870μg/kg,<B>スナック</B>菓子で15-3540μg/kg,米菓で17-303μg/kg,即席麺.<B>ワンタン</B>では4-54μg/kgであった.
著者
竹中 真紀子 永谷 幸善 小野 裕嗣 七山 和子 五十部 誠一郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.533-537, 2012-10-15

タマネギを原料とした風味付け調味料であるオニオンエキスが高いラジカル消去活性を有していることに着目し,その変動特性を明らかにするために,オニオンエキスの製造工程におけるラジカル消去活性の変動,主要なフラボノイドの含有量および褐変度の変動を追跡した.製造工程のうち,タマネギ搾汁濃縮液を加熱する段階でラジカル消去活性および褐変度が上昇し,遊離糖および遊離アミノ酸の一部ならびに多くのフラボノイドは消失した.オニオンエキスのラジカル消去活性本体はメラノイジンであると考えられ,疎水性相互作用による固相抽出を用いたオニオンエキスの分画において,疎水性の高い画分がより高い褐変度およびラジカル消去活性を有する傾向が見られた.