著者
長井 真弓 釼明 佳代子 桂 理江子 小野部 純 小林 武
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科
雑誌
東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科紀要 : リハビリテーション科学 = Rehabilitation science : memoirs of the Tohoku Bunka Gakuen University Faculty of Medical Science & Welfare, Department of Rehabilitation (ISSN:13497197)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.33-39, 2022-03-31

2020年度の一般企業による新規卒業者採用は,COVID-19感染拡大の影響を受け,採用時期が例年よりも遅かった.しかし,理学療法学生の就職活動状況に変化があったのかは不明である.そこで,学生の就職活動状況と養成校に届いた求人件数を2019年度と比較した.2019年度と2020年度に東北文化学園大学理学療法学専攻に4年次生として在籍し,アンケートに回答した95名のデータを分析した.2019年度,2020年度ともに95%以上の学生が医療機関から内定を得ていた.2020年度の内定月の最頻値は2019年度よりも1ヶ月遅く,第一希望施設から内定を得た学生割合も2020 年度の方が少なかった.求人件数についても2020年度は,2019年度よりも約80件少なかった.内定時期が1ヶ月遅かったことと第一希望施設から内定を得られなかった学生が多かったことは,緊急事態宣言などの影響により早期に募集定員が満たされたことも原因と推察され,2020年度の就職活動状況は少なからずCOVID-19による影響を受けたと考えられる.
著者
長井 真弓 桂 理江子 鈴木 誠
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科
雑誌
東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科紀要 : リハビリテーション科学 = Rehabilitation science : memoirs of the Tohoku Bunka Gakuen University Faculty of Medical Science & Welfare, Department of Rehabilitation (ISSN:13497197)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.27-31, 2022-03-31

2013年度より我々は,主に重複障害を有する児童生徒が通う支援学校にて,外部支援専門員として継続的な活動を行ってきた.しかし,重複障害の児童生徒に関わる教員が,理学療法士に対してどのような支援を求めているかは検討されていない.そこで,支援学校教員を対象に理学療法士に対する支援ニーズの把握を目的にアンケート調査を実施したので報告する.アンケート結果から,支援学校の教員は,下肢の身体機能面に関する助言が有用と感じていた.また研修会など情報共有の場の確保,理学療法士の積極的な活用を望んでいた.今後の活動では,児童生徒の教育に活かせるように支援するためにも,理学療法士からの一方的な支援ではなく,相互理解が進む方法を検討する必要があると考えられた.
著者
鈴木 誠 鈴木 博人 阿部 玄治 平山 和哉 長井 真弓 釼明 佳代子 小野部 純
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科
雑誌
東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科紀要 : リハビリテーション科学 = Rehabilitation science : memoirs of the Tohoku Bunka Gakuen University Faculty of Medical Science & Welfare, Department of Rehabilitation (ISSN:13497197)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.13-18, 2021-03-31

2017年,本学は地域連携事業の推進を目的に,宮城県東松島市と包括連携協定を結び双方の資源を活用した地域振興・教育・研究の各分野における実践的取り組みを開始した.そこで本論では,本学理学療法学専攻と中学校とで行ってきた中学生の体力向上と運動器障害予防の取り組みについて紹介をするとともに,今後の展開について方向性を明らかにすることを目的とする.主な取り組みは,1)運動能力テストの実施,2)講話・ストレッチ講習会の開催,3)体力向上・運動器障害予防に向けた啓蒙活動,4)保健体育授業・部活動の支援,であった.今回の取り組みのように,中学生に支援が行えたことは体力向上や運動器障害予防の観点からは大変有効であったと考えられる.また,取り組みに携わった学生の成長も大きな成果であったと言える.今後も中学校との協力体制を深めて行きながら,更なる充実した取り組みを企画し,発展させていきたいと考えている.
著者
勝木 弘美 野辺 薫 山田 洋子 竹井 久美子 吉永 繁彦 有井 真弓
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.1133-1136, 1986

脳卒中患者に対するデイケア効果についての報告は極めて少ない. そこで国立療養所福岡東病院のデイケア患者のうち, 評価を行つた脳卒中患者43例についてデイケア開始時及び6カ月後の評価を比較し, デイケア効果を検討したので報告する.<br>評価項目は身体機能, 行つているADL, 患者の行動範囲, 復職または家庭での役割, 日常の過ごし方, 生活に対する意欲の6項目である. すべての項目において43例の90%以上が維持または改善を示したことから, 現時点においてはデイケア効果があるといえ, 脳卒中患者に対するデイケアの必要性を示唆している.
著者
井 真弓 イノモト マユミ Mayumi INOMOTO
雑誌
清泉女子大学人文科学研究所紀要
巻号頁・発行日
vol.35, pp.1-22, 2014-03

藤原定家によって著された『松浦宮物語』に対しては、作者論の立場で分析が加えられることが多く、物語としての価値が正しく認められてこなかった。本作品は、弁少将が鄧皇后に未練を残しながらも帰国し、復活を遂げた華陽公主とともに一時は平安を得ながらも、形見に渡された鏡に映る鄧皇后の姿に心乱されるという場面において、省筆文によって唐突に終了する。このような終焉が一見不自然であるがゆえに、収拾がつかなくなった作者が半ば強引に筆を擱いたとする未完成説も有力であった。しかしながら、この弁少将帰国後の場面は、実は本物語の最大の主張点を含んでいるといっても過言ではない。 神奈備皇女は、弁少将が唐に渡った後も秘かに彼のことを想い続けていたが、一方の弁少将は唐において華陽公主や鄧皇后といった「より素晴らしい」女君との出会いを経て、帰国後にはもはや神奈備皇女への想いを残してはいなかった。この冷淡な弁少将の仕打ちを神奈備皇女側から読み解くことによって、『伊勢物語』二十四段を彷彿とさせる悲恋譚と捉えることができる。華陽公主は弁少将帰国後に彼の妻となり、子も成して揺るぎのない立場を確立したはずが、弁少将の心変わりによって自らの立場が実は危ういものであることを認識する。このような華陽公主の心理は、本文の表現上においても『源氏物語』の紫上に通じるものであり、そのような苦悩が公主の身にも将来起こり得ることを読者に類推させる形をとっている。鄧皇后は梅里の女として弁少将と逢瀬を持っていたが、彼の幸せを願って帰国を推進し、自ら別れを決意している。「相手の幸福のために自らが身を引く」という価値観は、鎌倉期の中世王朝物語に多く見られる「悲恋遁世譚」の男主人公の姿と重ね合わせることが可能である。 従来の解釈では、物語の一貫性を損なうものとして否定的に捉えられてきた終盤の弁少将帰国後の場面について、このように三人の女君たちの立場に基づき考察することにより、物語全体を貫く主題が三者三様の〈女の嘆き〉であることが判明した。神奈備皇女は「相手との恋愛関係の不成立」を嘆いたのに対し、華陽公主では「成立した恋愛関係の中で自らの不遇な立場を嘆く」ことへと変遷し、さらに鄧皇后は「恋愛関係において自らを客観視し、相手の幸福のための自己犠牲を厭わない」という、より深化した対人関係が描写されていることが明らかとなった。