著者
永瀬 外希子 伊橋 光二 井上 京子 神先 秀人 三和 真人 真壁 寿 高橋 俊章 鈴木 克彦 南澤 忠儀 赤塚 清矢
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.G0428, 2008

【目的】理学療法教育において客観的臨床能力試験(OSCE)の中に取り入れた報告は散見されるが、多くは模擬患者として学生を用いている。今回、地域住民による模擬患者(Simulated Patient以下SPと略)の養成に取り組んでいる本学看護学科(山形SP研究会)の協力を得、コミュミケーションスキルの習得を目的とした医療面接授業を実施した。本研究は、効果的な教育方法を検討するために、授業場面を再構成し考察することを目的とする。 <BR>【対象と方法】面接授業は、本学理学療法学科3学年21名を対象とし、臨床実習開始2週間前に行った。山形SP研究会に面接授業の進行と2名のSPを依頼し、膝の前十字靭帯損傷患者(症例A)、脊髄損傷患者(症例B)のシナリオを作成した。事前打合せや試行面接を行い、シナリオを修正しながらより実際の症例に近い想定を試みた。学生に対しては、授業の1週間前に面接の目的、対象症例の疾患名、授業の進行方法についてオリエンテーションを行った。面接授業実施30分前に詳しい患者情報を学生に提示し、4つに分けたグループ内で面接方法戦略を討論する機会を設けた。症例A・BのSPに対し、各グループから選出された学生が代表で10分間の面接を行い、それ以外の学生は観察した。それぞれの面接終了後に、面接した学生の感想を聞き、その面接方法に関して各グループで20分間の討論を行った。この面接からグループ討論までの過程を各症例につき交互に2回ずつ合計4回行い、全体討論としてグループごとに討論内容を発表し合った。最後に、SPおよび指導教員によるフィードバックを行った。<BR>【結果と考察】今回の医療面接の特徴は、第一点が情報収集を目的とするのではなく、受容的、共感的な基本的態度の習得を目的としたこと、第二点はトレーニングを受けている初対面のSPを対象としたこと、第三点は代表者による面接後グループごとに討論する時間を設定したことである。理学療法場面における医療面接では、医学的情報収集が中心となる傾向にある。今回の学習目的は、初対面の患者の話を拝聴し信頼関係を築くこととした。これにより、SPの訴えや思いなどを丁寧に聞いている学生の姿勢が認められた。また、初対面のSPとの面接を導入したことで、より臨場感あふれた状況の中で、学生が適度な緊張感を持って対応している場面が認められた。一巡目の面接では、SPに対して一方的に質問する場面が多くみられたが、二巡目ではSPが答えた内容に対して会話を展開させていく場面が際立った。これは、初回の面接終了後の討論により、面接者自身の反省や第三者の視点から得られた新たな方策を、次の面接に生かすことができたためと推測される。理学療法教育にSP参加型医療面接を導入することは、コミュニケーションスキルの向上を図るうえで有効な教育方法であると考えられる。 <BR>
著者
永瀬 外希子 伊橋 光二 井上 京子 神先 秀人 三和 真人 真壁 寿 高橋 俊章 鈴木 克彦 南澤 忠儀 赤塚 清矢
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.G3P1572, 2009

【はじめに】我々は第43回日本理学療法学術大会において、地域住民による模擬患者(Simulated Patient以下SPと略)を導入した医療面接の演習授業の紹介を行った.今回、授業後に行った記述式アンケートを通して、SP参加型授業による教育効果を検討したので報告する.<BR>【対象】対象は本学理学療法学科3学年21名で、本研究の趣旨と目的を説明し、研究への参加に対する同意を得た.<BR>【方法】医療面接の演習目的はコミュニケーションスキルの習得とした.演習方法は2症例のシナリオを作成し、2名のSPに依頼した.学生には1週間前に面接の目的と進め方、症例の疾患名を提示した.さらに面接30分前に症例の詳しい情報を提示した.グループを4つに分け、面接方略の討論後、各グループの代表者1名がSPと面接を行い、それ以外の学生は観察した.1回の面接時間は10分以内とし、面接後、学生間のグループ討議、SPならびに教員によるフィードバックを行った.演習終了後、授業に参加した学生を対象に、授業を通して学んだことや感じたことについて自由記載による記述式アンケート調査を行った.得られた記述内容を単文化してデータとし、内容分析を行った.得られた127枚のカードから3名の教官が学生の学びに関するカードを抽出し、同じ内容を示すカードを整理しサブカテゴリー化した.その後さらに関連のあるカードを整理してカテゴリー化し、それぞれの関係性について検討した.<BR>【結果と考察】「学び」に関与すると判断されたカードは40枚であった.それらを分析した結果、「SPと自分との乖離」、「自分自身の振り返り」、「基本的態度の獲得」、「対応技術の習得」の4カテゴリーが抽出された.「SPと自分との乖離」は、「表出されない相手の思い」、「思いを知ることの難しさ」のサブカテゴリーで構成されていた.また「自分自身の振り返り」は「基本的なコミュニケーションスキルの知識不足」、「疾患についての知識不足」、「話を発展させる技術不足」、「質問攻めの一方的なコミュニケーション」、「基本的態度の獲得」は「傾聴的な態度」、「共感的態度」、「相手を分かりたいという思い」、「対応技術の習得」は「患者をみる視点・観点」、「目をみて話すことの大切さ」、「相手に合わせた関わり方」のサブカテゴリーから構成された.これらの結果より、SPからのフィードバックを通して、SPと自分の感じ方や捉え方の違いや、言葉では表出されない思いがあることに気付き、それらを理解することの難しさを実感するとともに、学生自身の不足している点を認識したことがわかった.そして、相手と信頼関係を築くためには、相手を思い、傾聴し、共感するなどの基本的態度の大切さに加え、目をみて話すことや相手に合わせた関わり方などの対応技法の習得も必要であることを学んでいた.
著者
遠藤 恵子 井上 京子 菊地 圭子 豊田 茉莉
出版者
山形県立保健医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

思春期の知的障がい児は、人前でも自分の性器に触るといった特徴的な行動がみられ、社会的自立を視野に入れた性教育の必要性が明らかになった。知的障がい児に対する性教育には、生活を支える視点を教育者がもつこと、障がいの程度やニーズに合わせた個別的な指導、自慰行為などの手順を具体的に示した教材、家庭でも使用できるDVDやインターネットのサイトの作成、繰り返しの指導、自分の感情や意見を表出し自ら意思決定できる訓練が必要である。さらに、知的障がい児自身が教育計画立案や教育実践に参加できる体制が求められる。
著者
斎藤 亮子 山田 皓子 井上 京子 沼澤 さとみ 嶺岸 秀子 諸田 直実
出版者
山形県立保健医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

<研究計画>看護基礎教育において「がん看護学」を履修した学生や、履修して卒業した看護師は、がん患者の看護においてがんに対する認知的誤認が少なく、「患者とのコミュニケーションがより容易にとれ、患者の言葉を傾聴でき、患者とともにある」看護ができることを実証したいと考えた。そのために基礎教育用がん看護学を組み立て、講義し、受講した学生のその後のがん看護実践を追跡調査する。また、わが国の4年制看護系大学におけるがん看護学教育の実態調査を行なう。<実施および結果>平成16年度:看護系4年制大学の3年生を対象に、がん看護学20時間のカリキュラムを作成して講義し、教育評価を行なった。評価は概ね良好で期待するものであった。また、わが国の4年制看護系大学におけるがん看護学教育の実態調査を行なった。12%の大学でがん看護学(独立した科目)の講義が行なわれていた。平成17年度:対象学生は4年生になり、成人看護学実習(慢性期)3単位を行った。本実習においてがん患者の看護を体験した学生に対して、認知的誤認が少なく、がん患者とともにあることができる「がん看護学」の成果の判定(第一回調査)を行った。調査の結果は期待する以上のものであった。平成18年度:対象学生は卒業し、一部は医療施設にてがん看護を実践している。職場にある程度適応できた時点で、認知的誤認が少なく、がん患者とともにあることができる「がん看護学」の成果を判定する調査(第二回)を行った。新人看護師のがん看護の取組は期待する以上のものであった。<結論>今日まで、看護基礎教育において、がん看護学教育は高度の知識・技術を必要とするため困難であるとして、体系的には教育されて来なかった。しかし、看護基礎教育におけるがん看護学教育の最大の目的は、学生(若い看護師)のがん看護を困難にしている認知的誤認を軽減することであり、それによって、学生や若い看護師のがん看護実践に大きな変化が生じると考えられた。